資産バブルの後は最悪の経済が待っている!?
トウシル / 2024年3月28日 16時35分
資産バブルの後は最悪の経済が待っている!?
株価が史上最高値なのにFRBは利下げなんてするの?
昨日はダウ工業株30種平均が477ドル高と今年最大の上げ幅となり4万ドルに接近した。日本経済新聞の報道によると、「FRB(米連邦準備制度理事会)が年央にも利下げに転換し、米景気の底堅い成長が続くとの見方が買い安心感となっているとの声があった」という。
●NYダウCFD(日足)
だが、冷静に考えると上記の利下げの指摘はおかしいのではないだろうか?
- S&P500種指数、NYダウ、ナスダック総合指数:史上最高値
- 住宅価格:史上最高値
- ビットコイン:史上最高値
- ゴールド:市場最高値
市場はまさにエブリシングバブル(なんでもバブル)の状況にある。
S&P500CFD(日足)
ナスダック100CFD(日足)
ゴールドCFD(日足)
なぜ、エブリシングバブルが起きているのか? それは、2020年以降のインフレ調整後の米国政府支出は、以下の支出の合計を超えているからだ。
- 第一次世界大戦
- 第二次世界大戦
- 1970年から1990年
資産と負債の両方を膨らませる両建て経済(ポンジスキーム)が現在進行中である。
インフレ調整後の米国政府支出
米政府は1兆2,000億ドルの歳出法案を可決した。2024年になってまだ3カ月もたっていないのに、米国の負債総額はすでに6,000億ドルも増えている。米国の負債総額は34兆6,000億ドルに達し、6月には35兆ドルに達する勢いだ。これで、不況になったら、いったいいくらのカネがばらまかれるのだろうか?
内容は悪いものの失業率は3.9%と低く、インフレ率(CPI(消費者物価指数))は35カ月連続で3%以上となっている。FOMCのドットプロットによると、FRBは今年0.25%の利下げを3回予定しており、最初の利下げは6月に行われる予想となっている。
株価が史上最高値更新している中での利下げというのは、実施されれば前代未聞の事態である。米大統領選挙をにらんだ株価操作と受け取られて、FRBは市場の信認を失いかねない。
利下げは株価急落のトリガー!?
筆者はウォール街の大方の見方と異なり、FRBの利下げは株価急落のトリガーを引くと考えている。市場でこのような見方は少なく、FRBの利下げは株の買い材料と考えられているようだ。
筆者と同じく「利下げが市場の転換点になる」と考えているのは、ブラックスワン・ファンドの運用者であるユニバーサのマーク・スピッツナーゲルである。
【ブラックスワン的なイベントに備えるファンド(ブラックスワン・ファンド)を運用するユニバーサ・インベストメンツのマーク・スピッツナーゲル最高投資責任者(CIO)は、株式市場は今後大きく値上がりするだろうとし、その後米金融当局が利下げに転じると急転する可能性が高いとの見方を示した。スピッツナーゲル氏は「その時が本当にひどい状況になる」と語った。同氏は10年以上にわたる低金利と国債買い入れプログラムを通じて、市場が米金融当局の支援に過度に依存していることへの懸念を強めている】
出所:『ブラックスワン・ファンドの運用者、FRBが利下げに転じた時を懸念』 2023年11月10日(ブルームバーグ)
これは昨年11月の報道である。スピッツナーゲルの予測の通りその後株価は大きく上昇したが、利下げは株式市場の転換ポイントになりかねない。
歴史は「ピボット」が本当の暴落の引き金になることを示している
スタンレー・ドラッケンミラーはYouTubeの対談で以下のように述べた。
【歴史的に2つのことが起こりやすいことがわかっている。
第一に、「資産バブル」に続いて、「最悪の経済的結果」が生じる傾向があること。
第二に、私たちの業界の大きな原則は「連邦準備制度と戦うな」ということである。私は今、これまで見た中で最大かつ最も広範な資産バブルを見ている。それは10年から11年続いており、今やグランドフィナーレを迎えている。
私はここに座って、おそらく最大かつ最も広範な資産バブルを目の前にしている。これまで見てきたことや、これまで研究してきたことは忘れてほしい】
出所:YouTube『キリル・ソコロフ、スタンリー・ドラッケンミラーと対談』
ドラッケンミラーは「2、3年後には信じられないようなチャンスが到来する。チャンスが訪れるまで資金を温存しておくことが大切だ」と語っている。
ドル/円相場 1990年7月以来33年8カ月ぶりの円安水準に
ドル/円相場はおととしの10月につけた151円94銭を一時上回り、152円台に迫っている。日本銀行はマイナス金利を解除すれば円高になると考えていたのかもしれないが、「日銀は金利をゼロに戻すだけで、おおむね米大統領選挙までは何もしないだろう」と市場からは思われている。
昨日、日銀、外務省、金融庁が緊急会合を開催したが、物価やインフレの番人として円安を止めたいのであれば、介入ではなく利上げをすべきだろう。「ゼロに戻しただけで金利を上げないのだから、そりゃあ、円安になるでしょう」というのが市場の認識である。
ドル/円(日足)
ドル/円(月足)
この人工的な円安が継続するかぎり日本株や日本の不動産は上昇する傾向にある。現在、1980年代後半のような資産バブルが起きつつある。
日経平均CFD(日足)
日経平均CFD(週足)
日経平均(月足)
しかし、この物語には、「低金利と円安によって日本の資産バブルがこのまま進めば、貧富の差が社会問題となり、日銀は予想外の大幅な利上げに追い込まれる」という落とし穴がある。資産バブルに続いて、最悪の経済的結果が生じる傾向があることを頭に入れておくべきだろう。
3月27日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
3月27日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、今中能夫さん(楽天証券経済研究所チーフアナリスト)をゲストにお招きして、「資産運用の究極の目的はインフレヘッジ」「円の劣化と日本経済」「輸入業者の悲鳴」「資産バブルと日銀の利上げ」「バブルの後は最悪の経済」「キャピタルフライトとスタグフレーション」「今中さんの注目5銘柄」というテーマで話をしてみた。ぜひ、ご覧ください。
ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
3月27日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
(石原 順)
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