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新NISAで中小型株!戻り圧力が少ない割安中小型株6選

トウシル / 2024年4月3日 14時15分

新NISAで中小型株!戻り圧力が少ない割安中小型株6選

新NISAで中小型株!戻り圧力が少ない割安中小型株6選

<指数パフォーマンス比較~バリュー株orグロース株どっち優勢?~>

3月の中小型株ハイライト「期末に売りが減ったバリュー株優勢」

 この3月も日経平均株価(以下:日経平均)が目立つ存在でした。大きな節目の4万円を4日に突破し、ザラ場ベースでは22日の4万1,087円まで高値を切り上げました。日経平均は東京エレクトロンやアドバンテストなど、大型半導体株の持ち上げ影響が強まっていました。

 それら半導体株は生成AIがカタリストだったため、その中心にある米エヌビディア株の動向に、世界中の投資家が神経を尖らせています。

そのエヌビディア株の大幅調整、そして3月の日本銀行会合でのマイナス金利解除確率UPを示唆するリーク報道…これら強力な売り材料が重なったこともあり、日経平均は7日の高値から12日に付けた3月安値まで、わずか3営業日で「最大2,201円下落」する場面も。

 山高ければ谷深し…ここまでの超絶上げの反動に警戒が高まりましたが、その下げ分を全部取り返し、22日の高値に到達したわけですので「この相場、末恐ろしいな」と感じたプレーヤーは多かったのではないでしょうか。

 半導体株が一服する場面でも、出遅れ株や、バリュー株へと資金がシフトし、「日経平均はやたら上がっているけど、下げている銘柄がやたら多い地合い」から「日経平均は上がっていないけど、上がっている銘柄が多い地合い」に変化。

 19日の日銀会合で大規模な金融緩和の終了が決まったものの、「どっちにしても、緩和的な政策はまだまだ続くってことだよね」の解釈から、金利上昇ネガティブ業種の不動産株がぶち上がったのも印象的でした。

 また、3月は日本では「年度末」です。今年は債券に対して日本株、海外株に対して日本株がアウトパフォームしましたので、年度末にかけ、国内の機関投資家によるリバランス(ウエートの高まった日本株は売り)の影響も重しとなりました。

 ただ、軟調場面ですかさず買い手に回ったのが個人投資家でした。3月決算企業の配当取りも考える時期でしたので、配当株には下値のクッションがあったように思われます。

 正直なところ、中小型株に循環物色で資金が回って来ている感じはありません(売買増加は一切起きていない)。その中で、TOPIX(東証株価指数)スモールバリュー指数は月間4.0%上昇と高パフォーナンスで、これは日経平均(同3.1%上昇)を上回っていました。

 3月決算の配当株に関しては、「せっかくなら配当の権利を取ろう」という意識が売りを減らす効果があるし、配当シーズンだからこそ「大きく下がるなら買おう」という意識も下支え効果になります。いずれも、今年から始まった新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)のプラス効用にも感じますし、これは今後も続きそうです。

 一方、こうした高配当株が少ない(東証グロース市場に関してはほぼ皆無)、円安メリット株も少ない(同上)中小型のグロース株には期末要因など関係ありませんでした。

 3月序盤まで盛り上がっていた三井E&S、さくらインターネット、住石ホールディングスや、グロース市場でいえばLaboro.AI、KudanなどAI関連株が同時に暴落した影響も、ギャンブル売買勢の気勢を削いだ面があり、これも影響したのではないでしょうか。

 また、3月後半はIPO(株式の新規公開)ラッシュ(21~29日に15社上場する詰め込みスケジュール)でした。ギャンブル売買勢が初値形成後の激しい値動きを狙い、直近IPO株に資金を振り向けた影響も既存銘柄の流動性低下要因になります。

 次から次にIPOが来ることで、当該IPO銘柄の人気も短命に終わるのが常。小型IPOの過半が、バタバタ値崩れするよく見る光景になりました。

東証グロース市場時価総額上位20(3月末時点)

順位 コード 銘柄名 時価総額
(億円)
1 141A トライアルHD 3,436
2 4478 フリー 2,065
3 2160 ジーエヌアイ 1,551
4 5595 QPS研究所 1,533
5 5253 カバー 1,440
6 5842 インテグラル 1,354
7 7157 ライフネット生命保険 1,214
8 9166 GENDA 1,091
9 7342 ウェルスナビ 1,025
10 4485 JTOWER 1,018
11 9229 サンウェルズ 966
12 147A ソラコム 939
13 9158 シーユーシー 811
14 9348 ispace 786
15 6027 弁護士ドットコム 760
16 3479 ティーケーピー 759
17 4051 GMO-FG 757
18 5027 AnyMind Group 663
19 7806 MTG 659
20 9164 トライト 656

 その中で、セカンダリーでの良好な値動きで光ったのが、トライアルホールディングス(141A)ソラコム(147A)の2銘柄。ディスカウントストア大手のトライアルは、初値形成と同時に東証グロース市場の時価総額トップとなり、その後の大幅上昇で2位のフリーを大幅に突き放しています。

 東証グロース250指数に採用されるのは4月末ですが、トライアルのような小売株が東証グロース市場の最大銘柄になったのは初のこと。東証グロース市場の良き触媒となってほしいものですが…。

新NISAで中小型株!今月の銘柄アイデアは…「甚大な差がある需給の優劣」

 4月相場は「新年度相場」とも呼ばれますが、個人投資家には「年度」の概念がありません。個人投資家主体の中小型株市場は、新年度を理由に何かが大きく変わることはありません。

 ただ、大型株の場合、機関投資家の「益出し売り」対象になったり、他の資産とのリバランス対象になったりします。大きく値上がりしてきたことが、年度が替わることで逆流の形として現れることはよくあることです。

 年度が替わった4月1日、日経平均株価は取引時間中に大きく値崩れしました。自動車株、銀行株など大型株が主導する下落は「益出し売り」と市場で解釈されています。想像以上の下げになったことで、中小型株ももらい事故のような動きになりました。

 益出しの売りは一巡しますので、その後に大型株一辺倒だった機関投資家の資金が、中小型株に回るような変化が見られるか? これが焦点になりそうです。

 需給面では、3月より4月は改善方向と考えられます。何といっても、3月後半のIPOラッシュを通過したことが大きいといえそうです。東証グロース市場全体の約半分の売買代金を、3月IPOだけで計上するような日すらありました。IPO銘柄に流動性が奪われた影響は、IPO数の減少により緩和するはずです。

 業績材料の面では(日本株全体に共通しますが)、4月下旬から増加する決算発表が気になるところ。今回は3月決算企業の本決算ですので、25年3月期の期初計画(=ガイダンス)に注目が集まります。

 その上では、輸出関連企業の「為替影響」が気掛かりとなりそう。増益分の大半が円安効果だった企業も多く、期初の想定為替レート次第ではガイダンスが弱く出される可能性があります(これを「ガイダンスリスク」と呼びます)。

 とはいえ、為替影響によるガイダンスリスク…東証グロース銘柄を中心とした国内完結型のグロース株には全く関係ありません。また、中小型株の決算発表は5月のGW明け以降が本番ですので(ピークは5月10日)、4月の段階で過度に警戒するのは時期尚早でしょう。

 とはいえ、3月に決算発表したグロースの主力株GENDAやMacbee Planetの決算リアクションがあまりに悪かったことが気になるところ。これらの決算は良好な内容でしたが、ポジティブサプライズが無いという理由で驚くほど売り込まれました。これは成長期待が高く、知名度が高い人気銘柄でよく発生する現象です。

 こうした現象が起きる理由を考えると…昨今のグロース株不人気(配当株が人気)地合いで、機関投資家の関与が少なくなっていることが挙げられます。機関投資家の関与が少なくなるということは、相対的に個人投資家の関与率が高まるものと考えられます。

 その個人の売買の約7割は、信用取引で行われています。個人に人気の銘柄が上昇基調の間は、信用売買の回転が効き、非常に強いモメンタムを作るエンジンにもなります。しかし、先月のAI関連株のように急落に転じると(理由が増担保規制のこともある)、塩漬け株に一変し、回転が止まります。この滞留したポジションは「戻り売り圧力」となります。

 この信用買い残(を持つ個人)は、好決算や新規の材料などが出てほしいと願い、リバウンドの機会を待ち望むような状態になります。その状況で出てきた決算が、「良好」程度では株価に上昇インパクトがかかりません。何かサプライズが発生し、「戻り売り圧力」全部飲み込まないといけません。ものすごいハードルが高くなっています。

 銘柄によって、流動性(普段の売買高)が異なるため一概には言えませんが、信用買い残比率(発行済み株数に対する信用買い残の割合)が10%以上になっているような銘柄で、かつ下落した状態(塩漬け株化している)銘柄はしんどい展開になりがち。

 東証スタンダード、グロースに上場する銘柄で、信用で買った個人の戻り売り圧力が多そうな銘柄を以下にリストアップしておきました。

【スタンダード・グロース】 信用買い残比率の高い主な3月下落銘柄
※信用買い残比率10%以上、過去1カ月で10%以上の下落率

コード 銘柄名 信用買い残
(億円)
信用買い残
比率
過去1カ月
騰落率
2160 ジーエヌアイグループ 159 10% ▲14%
7095 Macbee Planet 72 13% ▲21%
5574 ABEJA 49 13% 19%
7859 アルメディオ 46 21% 12%
6338 タカトリ 28 12% ▲11%
7061 日本ホスピスHD 22 16% 20%
4055 ティアンドエス 17 11% 12%
7692 アースインフィニティ 16 11% 31%
9553 マイクロアド 15 10% 15%

 需給要因でいえば、3月よりマシになると見られる4月の中小型相場。かといって、個別ベースでは、前述のような信用買い残比率が高く、足元で株価が下落したことで需給の悪い個別株は多くあります。そうした銘柄の対極にある、需給良好な割安株は無いものか? スクリーニングしてみました。

株価堅調!戻り売り圧力少ない割安中小型株
【条件】
(1)信用買い残比率3%未満、(2)3月末終値が25MA以上
(3)5MAが25MA以上、(4)予想PER20倍未満
(5)今期予想増収率、営業増益率10%以上
(6)次の決算発表日が6月以降 ※予想PER低い順

コード 銘柄名 予想
PER(倍)
信用買い残
比率
2991 ランドネット 6.0 2.8%
7126 グローバルスタイル 9.7 1.5%
1436 フィット 11.3 2.9%
8927 明豊エンタープライズ 14.8 2.3%
5889 Japan EyewearHD 19.4 2.7%
1444 ニッソウ 19.8 2.2%
※水色の網掛けは東証スタンダード銘柄

 数ある東証スタンダード、グロース上場銘柄の中で、需給環境の良しあしを複数の条件でふるい分けてみました。まず、信用買い残比率が3%未満と低く(悪くいえば人気が無い)、その中で株価位置が高い銘柄を好需給と判断。3月末終値が25日移動平均線を上回り、その25日移動平均線を5日移動平均線が上回る短期上昇トレンドの銘柄だけ残しました。

 この時点で銘柄数は大幅に絞られますが、さらに好業績で割安感(今期二桁増収・営業増益見通しで、予想PER(株価収益率)20倍未満)も備え、さらには決算発表という「イベントリスク」からも遠い方が尚良し。次の決算発表が6月以降の銘柄のみを残してみました。

 すると…二つの市場で2,182銘柄ある中で、残ったのは、わずか6銘柄でした。あくまで3月末の終値時点でスクリーニングをかけていますので、該当銘柄は今後増減していきます。ただ、個別株ごとに需給の良しあしの差がすさまじく大きく付いていますので、そうした面も意識した銘柄選びは重要といえそうです。

(岡村 友哉)

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