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「信用取引を始めてみたい!」と思った方へ。ベテラン投資家からのアドバイス(その2)

トウシル / 2024年4月11日 11時0分

「信用取引を始めてみたい!」と思った方へ。ベテラン投資家からのアドバイス(その2)

「信用取引を始めてみたい!」と思った方へ。ベテラン投資家からのアドバイス(その2)

信用取引のリスクが高いのは「レバレッジ」が理由

 前回のコラムにて、信用取引でないとできないことや、リスクが高いという点をお伝えしました。今回は、なぜリスクが高いのか、そして大失敗を避けるためにどのような点に気を付けるべきかをお伝えしたいと思います。

 信用取引がなぜリスクが高いかといえば、自分の持っている資金を超えた額の株取引をすることができるからです。これを「レバレッジ」と呼びますが、信用取引の場合は手持ち資金のおよそ3.3倍の株取引をすることが可能です。

 例えば300万円の資金を全てA社株式に投じるとしましょう。株価が30%下がると、損失は「300万円×30%=90万円」です。300万円が210万円に目減りする計算です。

 もしこの300万円の資金を担保にして目いっぱいA社株式を買うと、1,000万円分買うことができます。この状況で株価が30%下がると、損失は「1,000万円×30%=300万円」です。もともと投資元本は300万円ですから、買った株の株価が30%下がると投資資金全てが吹き飛んでしまうのです。

信用取引の失敗要因は大きく三つ

 なぜ上記のようなことが生じてしまうのでしょうか。それには、大きく三つの理由があります。

  • 「レバレッジをかけすぎている」
  • 「銘柄の資金分散ができていない」
  • 「損切りをしない」

 これらについて一つずつ解説していきます。

レバレッジをかけすぎている

 まず一つ目の「レバレッジをかけすぎている」です。上の例で、株価が30%下がっただけで資金が吹き飛ぶのは、300万円の資金で1,000万円分の取引を行っているという、レバレッジを最大限かけた状態になっているからです。

 もし300万円の資金で信用取引を用いて500万円分だけA社株式を買うと、A社株の株価が30%下がっても、損失は150万円ですから、投資元本は150万円残ります。

信用取引で集中投資は超ハイリスク・ハイリターン

 二つ目の「銘柄の資金分散ができていない」とは、一つもしくは少数の銘柄に集中して信用取引をしているということです。

 上の例でも、A社株のみに全資金を集中してしまっているので損失が大きくなってしまっています。

 例えば、もしレバレッジがマックスにかかっていても、A社株を含めて10銘柄に10%(100万円)ずつ信用取引で投資していたら、A社株が30%下がっても、損失は30万円に抑えることができます。

 なお、信用売り(空売り)の方はもっとハイリスクになります。例えば空売りしている銘柄に画期的な新商品の発売、新薬の開発などのニュースが出た場合、株価がストップ高買い気配で何日も推移する可能性があります。

 そうなれば、投資資金がゼロになってしまうどころか、担保で証券会社に差し出している資金では足りず、証券会社に対して借金が生じる可能性すらあります。

 ですから筆者は信用取引で買うときも空売りするときも、少数の銘柄に資金を集中させないように気を付けています。具体的には1銘柄当たり、投資可能資金の数%までしか行わないようにしています。

とにかく損切りはルール通りに素早く!

 三つ目の「損切りをしない」は改めて説明するまでもないことですが、現物取引と違って、信用取引では損切りをせずに放置しておくと、担保が不足して強制決済になり、事実上投資資金の大半を失うことになりかねません。

 上の例では、30%株価が下がっても損切りしなかった結果、投資資金がなくなってしまったわけですが、もし10%下がったところで損切りをしていたら、損失は100万円で抑えられ、200万円は手元に残すことができるのです。

 筆者は、「適時適切な損切りができない人は絶対に信用取引を行ってはいけない」と常に申し上げています。特に大きな下落相場であれば、まさに適時適切な損切りをしないと、レバレッジがかかる分大きな損失を被ってしまいます。

その他の注意点

 それ以外に信用取引で筆者が注意している点としては次のようなものがあります。

・流動性が低い銘柄は信用取引をしない

 信用取引で失敗しないためには適時適切な損切りが必要ですが、流動性が低い銘柄は損切りする際に現時点の株価からかなりかけ離れた株価がついてしまったり、そもそも他の投資家からの注文がなく売買そのものができない恐れがあります。
 

・貸借倍率(信用倍率)が低い銘柄の空売りはしない

 貸借倍率(信用倍率)が低い銘柄というのは、空売りが大量にたまっている状況を表します。

 空売りというのは潜在的な将来の買い需要(買い戻すときに買い注文を入れる必要がある)となります。そのため、株価が上がりやすく下がりにくい状態といえるので、空売りは避けるようにしています。中にはヘッジファンドなどがあえて買い上がって空売りの踏み上げを狙うケースもあるので注意してください。
 

・株価が大きく変動する可能性がある株は信用取引をしない

 例えばバイオ関連株は、画期的な新薬や研究結果が発表されれば、株価は大きく上昇する可能性があり、空売りをしていると想定外の大きな損失に見舞われる恐れがあります。

 また信用買いをする際も、小型成長株は値動きが大きいので、信用取引の損失が容易に膨らんでしまう恐れがあります。
 

 信用取引の注意点をしっかり理解して、効果的に信用取引を活用できるようにしましょう。

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