配当金は月約42万円!赤字から黒字転換の転機は?兼業投資家・なのなのさんインタビュー[前編]
トウシル / 2024年4月28日 11時0分
配当金は月約42万円!赤字から黒字転換の転機は?兼業投資家・なのなのさんインタビュー[前編]
高配当株を長期運用し、会社員と兼業ながらも資産1億7,200万円を達成したなのなのさん。年間の配当金は512万円と日本人の平均給与を上回ります。
大学生の時に株を始めるも毎年赤字が続きました。転機は投資手法を模索したとある実験。その後の投資手法が固まり、資産は劇的に伸びていきます。兼業ながら株式で手堅く不労所得を得る方法とは? なのなのさんにお話を聞きました。
<なのなのさん プロフィール>
会社員兼業投資家。大学時代から株式投資を開始。資産1億7,200万円を実現。
初著書『月41万円の“不労所得”をもらう億リーマンが教える 「爆配当」株投資』も2万部を超えるなど好評発売中。
・セントラルマジカルアカデミー 株式錬金術専攻の兼業投資家
・中長期での高配当株投資がメイン
・メディア:ダイヤモンドZAi、日本経済新聞、日経マネー、SPA!などに多数掲載あり
お年玉を貯めて初めて買った株
トウシル:株式投資のきっかけについて教えてください。
なのなのさん:中学生の頃、「メガドライブ」というセガ・エンタープライゼス(現在:セガサミーホールディングス:[6460])が1988年に発売した家庭用ゲーム機を持っていました。たまたま新聞の証券欄を見ていたら、セガの証券コードがあることに気が付いたんです。
毎日チェックしていると、その銘柄の株価が上昇しているのに気付き、そこで初めて株に興味を持ち「将来、株式投資をしてみたい」と思ったのが原点ですね。
トウシル:実際の投資デビューはいつでしたか?
なのなのさん:初めて株を買ったのは2000年の1月、大学1回生の冬でした。お年玉やアルバイトなどで貯めた30万が資金でした。
トウシル:堅実ですね! 貯めたお年玉で株を買ったのですね。
なのなのさん:子どもの頃からあまりお金を使わなかったので、お年玉も全部貯金していました。当時はネット証券がサービスを開始し始めたころで、私は手数料が安かったという理由からセンチュリー証券(現:日産証券)で口座を開きました。
トウシル:どんな銘柄を購入したのですか?
なのなのさん:一番初めに買ったのは商船三井(9104)でした。当時一株180円ほどで1,000株購入したので、合計18万円かかりました。たまたま買ったマネー雑誌の銘柄紹介袋とじの中で紹介されていて、それまでに貯めた30万円でも買えるなと思い、何をやっている会社なのか全然知らないままとりあえず買ってみました(笑)。
トウシル:利益は出ましたか?
なのなのさん:ほとんど出なかったです。2、3カ月保有してプラスマイナスゼロぐらいで売った記憶があります。当時はポリシーもなく、なんとなく買って、なんとなく売っていました。
トウシル:まだ投資手法が固まっていなかったのですね。
なのなのさん:そうですね。大学院を含めた7年の大学在学中、ずっとアルバイトの収入で株を買っては損して…の繰り返しでしたね。読んだ本に、「PER(株価収益率)が低い方が割安だ」と書かれていたことから、 あまり深いことは考えず、東証2部(東京証券取引所の当時の区分。
現在はプライム・スタンダード・グロースの3部構成に組織再編)の割安株を買ったりもしました。でも全然値動きがなく、結局株価も上がらず、放置状態となることもしばしばありました。当時は本当に「なんとなく投資をしていた」だけでしたね。
投資の失敗と学んだこと
トウシル:投資の失敗談と、そこから学ばれたことを教えてください!
なのなのさん:学生時代に「上場廃止」の怖さを知りました。当時、深く考えず、メディア・リンクス(大阪の情報システム開発会社)という会社の株を保有していました。しかし、1週間ほど沖縄旅行に行くことになり、「旅先でも株価を気にして過ごすのは嫌だな」と思って、出発前に保有していた全銘柄を売却したんです。
そうすると、旅行中にメディア・リンクスの「上場廃止」が決定し、冷や汗をかきました。手放していなければ、投資していた30万円を危うく溶かすところでした。
また、空売り(証券会社から株式を借りて売り建て、決済期日までに買い戻して株式を返却し、その差額で利益を狙う取引)にも苦い思い出があります。丸山製作所(6316:農林業用機械などの製造・販売や不動産賃貸事業)の株を空売りして短期利益を狙ったのですが、株価がどんどん上昇して、学生ながらもすごい損失を被ってしまったこともあります。
空売りというのは、株価が下落する際でも利益を得られる手法です。なのに、どんどん株価が上昇していき、損失がどんどん膨らんでいきました。一極集中で投資していたら、何かあったときのリスクを全て食らってしまう。分散投資の重要性に気付いたきっかけにもなりました。
赤字が続き投資手法を見直し
トウシル:社会人になっても投資を続けていたのですね。
なのなのさん:はい。大学院を修了後、一般企業に就職しました。社会人になった後も投資を続けていましたが、それでもやはり赤字続きだったんです。そこで、それまでのように「なんとなく売買」するスタイルでは利益は出せないとようやく気が付きました。
利益を出せて、しかも再現性がある方法を見つけなきゃいけないと思って、まずはどの手法が一番利益が出せそうか、実験してみることにしたんです。まず、三つのネット証券会社に口座を開き、証券会社ごとに異なる手法で株を購入したんです。
トウシル:どんな手法に挑戦したんですか?
なのなのさん:まず一つ目が、高配当銘柄だけ、二つ目は証券会社や雑誌、ネットで話題の流行銘柄だけ、三つ目は、配当は高くないけれどバリュー株といわれる割安株だけ、この三つに分けて運用を開始してみたんです。
トウシル:証券会社の口座ごとに投資手法を分けた着眼点がユニークですね。
なのなのさん:はい。同じ口座で、異なる投資手法を試しても、売買を繰り返すうちに「どの方法が効果的だったのか検証できなくなる」と、思ったからなんです。
トウシル:確かに、混じっちゃいますよね。実験結果はどうでしたか?
なのなのさん:一番、運用成績がよかったのが、一つ目の「高配当銘柄」だけを購入した証券会社でした。検証期間は1〜2年ほどでしたが、一番パフォーマンスが良く、安定して利益を出すことができました。そこで、「高配当銘柄が強い!」と確信して、それ以降は高配当銘柄を中心に運用しています。
トウシル:その、高配当銘柄中心のポートフォリオの収益はどのくらいだったのでしょう。
なのなのさん:安定したキャピタルゲイン(値上りによる利益)に加えて、2010年の年間配当受け取り金額は、だいたい年間17万円くらいでした。当時は、配当金は口座振り込みではなく、郵便局へ行き、現金で配当金を受け取るという時代でした。配当金が振り込まれる時期になると、通知が送られてくるので、それを握りしめて仕事の合間に郵便局の窓口に行っていました。
最近投資を始めた人からすると、配当金を現金でもらうなんて信じられないですよね(笑)。現在では何百銘柄も保有しているので、現金での受け取りなんてやっていられませんが、やはり「現金をその手で受け取る」という経験は、とてもうれしかったです。
高配当株の投資する手法を確立
トウシル:配当金はどのように使っていますか?
なのなのさん:再投資に回して株を購入しています。株が趣味なので「もっとお金を増やしたい」というよりも、「趣味にお金を使う」という感覚ですね。
トウシル:高配当投資に手法を切り替えてからの成果を教えてください。
なのなのさん:株式投資を始めて、2000年から2005年までは毎年赤字でした。2006年は景気自体が回復基調にあったため、いったん黒字になったのですが、2007年は再び赤字で100万円近い損失を出しました。
2008年から利益がプラスで安定し始め、2009年ごろ、高配当投資に手法を変えてから、ようやく本格的に赤字を脱することができました。それ以降は基本的に右肩上がりで推移しています。
株式投資の資産は増えていく
トウシル:資産が増え始めるようなターニングポイントはあったのでしょうか。
なのなのさん:資産が急に増え始めたのは2013年のアベノミクスの頃ですね。株式市場に追い風が吹いてきた時がそうです。当時の安倍政権による、政治主導の経済政策の波にうまく乗れたのかなと思います。
トウシル:ちなみに、赤字が長く続いていた時は株式投資をやめようと思わなかったのでしょうか。
なのなのさん:やめようとは思いませんでしたね。私にとって、株の売買は「趣味」なので、毎年100万円の損失が出ていたとしても、試行錯誤を繰り返しながらずっと続けていたと思います。
トウシル:初心者は損失が出ると投資を止めてしまう方も多いと思います。なのなのさんが投資を続けられた理由はなんでしょうか。
なのなのさん:投資が好きだからというのが一番ですが、基本的に、株は長期で保有し続けていれば、上がっていくものと思っているからです。米国株の株価推移を見ると、1802年から現在まで、1873年恐慌、世界恐慌、オイルショック、ITバブルやリーマンショックといった経済危機を乗り越えながら右肩上がりで成長を続けています。
目先の株価に一喜一憂せず、長期保有を続けていけば、報われる時が来るという長期目線でのメンタルが大切です。
トウシル:なのなのさんのポートフォリオの中には、含み損を抱えたまま、塩漬けになっている株はありますか?
なのなのさん:塩漬け株はあります。購入時のシナリオが崩れていないときは、塩漬けで継続保有することも多くあります。ただし、基本的に徹底した分散投資をしているので影響は小さく、ポートフォリオの中でも目立っていません。仮にこれが特定銘柄への集中投資だとパフォーマンスに大きなマイナスの影響がでてくるかもしれません。
>>後編「総資産1億円超え!それでも会社を辞めない理由 兼業投資家・なのなのさんインタビュー[後編]」を読む!
(トウシル編集チーム)
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