円安はいつ終わるのか!?
トウシル / 2024年4月25日 17時6分
円安はいつ終わるのか!?
ドル/円が155円をブレイク!
昨日4月24日のロンドン外国為替市場で円安が一段と加速し、ドル/円相場は155円をブレイクした後、現在155円40銭台まで円安が進んでいる。これは、1990年6月以来、およそ34年ぶりの円安ドル高水準となる。
ドル/円(日足)
「国がうまく運営できていないときの第一の万能薬は通貨のインフレであり、第二は戦争である。どちらも一時的な繁栄をもたらすが、どちらも永久的な破滅をもたらす。しかし、どちらも政治的、経済的日和見主義者の隠れ家である」
(アーネスト・ヘミングウェイ)
経済の停滞、巨額の政府債務、経済と金融市場を維持するために金融市場を支配しなければならない中央銀行…。いま、FRB(米連邦準備制度理事会)も日本銀行も同じ立場に置かれている。
日本人は「通貨インフレ」という詐欺的増税に見舞われている。投資家が直面している一番の問題はインフレだろう。
インフレが一時的なものではないことは明らかだ。それは金融市場にとっておそらく最大の脅威であり、一般社会に対してそうだろう。歴史的経験が何かを教示してくれるとすれば、それは私有財産が文明と密接に絡み合っていることだ。われわれは社会主義化する世の中の新しい現実に備えて、資産防衛の準備をするしかない。
日本では円安が顕著となっているが、MMT(現代貨幣理論)による法定通貨の下落(購買力の劣化)は世界的な現象である。現実はドルも円も劣化している。為替レートは2国間の相対評価なので、それが見えにくいだけである。現在の最強通貨はゴールドである。
ゴールドCFD(日足)
4月23日のゼロヘッジの記事『円キャリートレードはいつ終わるのか?』では、
十数年にわたる日本のマイナス金利政策が終了した。これは、かつて外国為替市場で最も人気のあった取引のひとつであった20兆ドル規模の円キャリートレードの終焉を意味し、世界経済に連鎖的な影響を及ぼす可能性がある。円キャリートレードとは、投資家が円を借りて、金利の高い米ドルなどの高利回りの外貨建て資産を買うことだ。中東の紛争は悪化の一途をたどっている。イランとイスラエルの対立は、核武装の危機に瀕し、外国からの介入をさらに引きずり込むだろう。もし原油が円に対して急騰しすぎて、日銀がそれを救うためにパニックに陥れば、世界的なマージンコールが起こり、株価の暴落と広範囲な経済崩壊のドミノ効果が始まるかもしれない。日銀は円安を打ち消すために債券利回りを上昇させ、投資家を日本国債買いに戻し、米国とEUの債券利回りを押し上げる。これは短期的には米国とEUの利払いが増えることを意味し、その利払いはより多くの借金で賄うしかない。キャリートレードが完全に解消すれば、経済の他の部分も巻き添えにするほどの大爆発になるかもしれない
と、日銀が意図せぬ利上げに追い込まれることによって、現在の円安の巻き戻しを警戒する声も出ている。
NY原油CFD(日足)
日銀は世界の中央銀行による型破りな政策の大実験の終結を示すことになるだろう。これまで日本の異常低金利と量的緩和が、世界のエブリシングバブル(なんでもバブル)を支えてきた。そしてドル/円の上昇(円安)はエブリシングバブルの象徴である。
円売りのゲームに参加しているのは日本の個人投資家だけではない。日銀が異常低金利を続ける中、円は調達通貨となり、20兆ドル(約3,100兆円)のキャリートレードが行われているという。米国の利下げ観測が後退する中、円キャリートレードの巻き戻しはもう少し先になりそうだが、大円安の次に警戒すべき事態である。
先週、米国株式市場は1兆3,000億ドルの損失を出した
先週、米国株式市場は1兆3,000億ドルの損失を出した。エヌビディアは現在、正式に弱気相場に入っており、わずか1カ月前に記録した史上最高値から20%下落している。この株は3月8日以来、時価総額でなんと4,000億ドルも減少した。
一方、スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)は、最近の最高値から40%下落している。大手半導体株は、過去数カ月間の上昇と同じ速さで下落している。AIの誇大宣伝は衰え始めているのだろうか?
エヌビディア(日足)
昨日4月24日のメタプラットフォームズの決算は、売上高が27%増加(2021年以来最高の前年比成長率)、純利益が117%増加、営業利益率が38%(前年の25%から上昇)だった。メタプラットフォームズの株価は時間外取引で15%下落している。
ブルームバーグのテック・アナリスト、マンディープ・シンは「投資家は恐れている。この会社が支出を増やすと話すたびに、警鐘が鳴り始める」と語った。
メタプラットフォームズ(日足)
今週は米企業の決算発表ラッシュだ。ここで相場のリバウンドがなければ、5月相場は波乱の展開になるかもしれない。現在の中途半端な押し目局面で、はたして日本人の新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)による「爆買い」が出てくるのだろうか?
スーパー・マイクロ・コンピューター(日足)
アップル(日足)
テスラ(日足)
マイクロソフト(日足)
米国の金融当局は日本の郵貯に米国債を買わせ、次にGPIF(年金)に米国債と米国株を買わせた。現在は新NISAで家計金融資産の2,100兆円(半分の1,100兆円は預貯金)を岸田文雄総理が開放し、米国に送ると述べている。日本株(日経平均株価)の動きは結局ナスダック100と同じで米国株連動である。
日経平均CFD(日足)
ナスダック100CFD(日足)
AI運用によって、昨今の市場には大きな変容がみられる
さて、相場の世界ではもうAI運用がどうなっているのかは分からない。筆者は2001年にシカゴで某巨大ファンドを訪ね、AI運用の実践取引をみてきた。20年以上も前にAIは既に熟練取引者のような取引をしていたのである。
以下の記述は、日本で最も相場で財をなした人の最近の発言だ。
もうすでにAIは将棋界タイトル八冠の藤井聡太よりも強くなる、強くなっている。AIは数年後には人間の叡智の総数を越えるとされている。AIはすでに自律性や適応性は持っている。ただこれでは、カシオの電卓の能力が飛躍しただけだから心配ない。人間よりも演算能力が何億倍あろうと、人間のような感情を持っていないので、単なる機械なのだ。しかし、もしAIが感情をもったならば話しは違ってくる。映画「アーカイブ」ではアンドロイドロボットが感情をもつ。ロボットが嫉妬して自殺までする。科学者は、ある命題のもとにいろいろな実験をやりたがる、きっとAIに感情を持たせようとする。いつかきっとそれが成功する。感情の一つに支配欲があり、これを今までの支配者の何億倍ものレベルになるから恐ろしい、トランプが可愛く思える。瞬時のうちに、まず世界中のAIはコントロールされ、スマホやさまざまなアプリはすべて監視用のために使われる。コンピュータで制御されている物は全て思い通りに動かさられる。この危険性は、AIの生みの親たちは全員認識している。映画「ターミネーター」では時空を越えて人類は、機械に挑んで何とか勝利しているが、現実になると人間に全く勝ち目は無い。最近の相場は、AIロボットの影響がものすごく大きい。20年ほど前からルネッサンス・テクノロジーはAIをすでに導入していたが、最近では次々とAIを使い始めている
AI運用によって、昨今の市場には大きな変容がみられる。ドル/円にほとんど押し目がないのもAIやアルゴリズムが上値を買うからだといわれている。
だが、相場はいつも同じだ。ジェシー・リバモアは、「ウォール街にあるいは株式投資・投機に新しいものは何もない。ここで過去に起こったことは、これからもいく度となく繰り返されるだろう。この繰り返しも、人間の本性が変わらないからだ」と述べた。
米国株式市場は非常に過大評価されており、大幅な調整が起こりやすい。この調整がいつ、どのように起こるかは予測できないが、スタンレー・ドラッケンミラーは最近の相場は1987年のブラックマンデーの前と酷似しているという。
Peruvian BullのXへの投稿によれば、
S&P500のパフォーマンスを世界金融危機以降の連銀のバランスシートで割ると、線は平坦になる。これは、2008年以降、株価に実質的な成長がほとんどなく、マネープリンティング(紙幣の増刷)による価格上昇のみがあったことを意味する
という。
S&P500のパフォーマンスを連銀のバランスシートで割った線
スタンレー・ドラッケンミラーはYouTubeの対談で以下のように述べた。
歴史的に2つのことが起こりやすいことがわかっている。第一に、「資産バブル」に続いて、「最悪の経済的結果」が生じる傾向があること。第二に、私たちの業界の大きな原則は「連邦準備制度と戦うな」ということである。私は今、これまで見た中で最大かつ最も広範な資産バブルを見ている。それは10年から11年続いており、今やグランドフィナーレを迎えている。私はここに座って、おそらく最大かつ最も広範な資産バブルを目の前にしている。これまで見てきたことや、これまで研究してきたことは忘れてほしい
出所:YouTube『キリル・ソコロフ、スタンリー・ドラッケンミラーと対談』
先週、金曜日にエヌビディアの株が10%も急落したのは、スタンレー・ドラッケンミラーがエヌビディアのポジションを売却したという未確認のうわさが流れたためだ。今年はセル・イン・メイに注意が必要かもしれない。
4月24日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
4月24日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、土居雅紹さん(楽天証券 株式・デリバティブ事業部長)をゲストにお招きして、「人口動態とポートフォリオ」「土居さんのNISA運用の提案」「相場は不透明!?買う・売る・休む」「ゴールドは最強通貨!?」というテーマで話をしてみた。ぜひ、ご覧ください。
ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
4月24日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
(石原 順)
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