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小型成長株の候補2社、すぐ買ってもいいのはどっち?

トウシル / 2024年5月11日 8時0分

小型成長株の候補2社、すぐ買ってもいいのはどっち?

小型成長株の候補2社、すぐ買ってもいいのはどっち?

「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第28回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

今日のクイズ:すぐに買ってもいいのはどっち?

 A社とB社はどちらも小型成長株の候補で、買ってみたいと考えている銘柄です。

 すぐ買っていいのはどっちでしょうか?買わずに様子見をした方がいいのはどっち?下の株価チャートを見て判断してください。

<A社株価週足チャート:2018年1月4日~2019年1月25日>

<B社株価週足チャート:2018年1月4日~2019年1月25日>

出所:筆者作成。A社は実在の会社をモデルとして作成

長期の資産形成でも、小型株を買う時はチャートを見ましょう

 本コラムは「クイズでわかる!資産形成」。長期投資でじっくり資産を増やしていくことを考えている方に、しっかり読んでいただきたい内容を書いています。先週と今週は、小型成長株投資でチャートを読むクイズを出題しています。

「短期トレードをしようとしているわけではなく、長期でじっくり投資しようとしているのに、チャートまで見る必要あるの?」と疑問に思った方もいるかもしれません。

 確かに、読者の皆さまが日経平均インデックスファンドなどに積み立て投資をしようとしているのならば、必ずしもチャートまで見ないでもいいと思います。短期的な上昇下落は気にせず、毎月3万円など一定額をたんたんと積み立て投資をしていけばいいでしょう。

 ただし、個別銘柄に投資する場合は、話が別です。特に、値動きが激しい小型成長株では、投資する前に、株価チャートも見てください。今にも崩れ落ちそうなチャートの時は、すぐには買わないで、様子見をすべきです。

 といっても、テクニカル分析の分厚い教科書を勉強する必要はありません。ぱっと見て直感で「ちょっとやばそう」と思ったら買いを控えてください。皆さまの直感、野性のカンで結構ですから、チャートを見て感じたことに素直に従ってください。

 この後、クイズ正解の後に、テクニカル分析の詳しい解説がありますので、そこを読んで勉強してください。皆さまの直感と、私の解説が合っているか、確認してください。

100%当たるチャートシグナルはない

 先週のチャート・クイズでもお話しましたが、チャートに基づく投資判断は、100%当たるものではありません。

 ただし、チャートのパターンを見ることで、統計的に今後上がる可能性が高いか、下がる可能性が高いか判断することは可能です。統計的に7割の確率で上昇するチャートのパターンがあれば、それは立派な買いシグナルです。7割の確率で当たるとしたら、3割の確率で外れるということです。それでも、チャートのシグナルを見ながら売買するのは意味があることです。

 ファンダメンタルズ(成長性や株価割安度)の判断が間違えている時に、チャートのシグナルに救われることもあるからです。

クイズの正解:すぐに買ってもいいのはB社

 A社はテクニカル(チャート分析)だけで判断するならば「売り」、

 B社は、テクニカルだけで判断するならば「買い」です。

 従って、すぐに買ってもいいのはB社、買わずに様子見をした方がいいのはA社です。

 A社チャートは、以下4点において、短期的に下値リスクを警戒した方がいい状態です。

<再掲:A社チャート(解説用)>

出所:筆者作成

 チャート中に、テクニカル分析で重要な四つのポイント【1】~【4】を書き入れています。その解説について、以下をお読みください。

【1】13週移動平均線、26週移動平均線とも「下向き」に転じる

 13週・26週移動平均線は、ファンダメンタルズの変化にともなって、緩やかに変化します。2018年は上昇トレンドが続いていましたが、2019年に入り「下向き」に転じました。ファンダメンタルズに何らかの異変があり、株価トレンドが変わる可能性があります。

 なお、足元の株価(5,180円)は、直近の高値(7,150円)から28%下げた水準です。20%を超える急落は、なんらかの悪材料によって起こったと思われます。

【2】上値に「しこり」を抱えた

 株価は、2018年に売買高が一番大きかった株価水準(5,800円)を下回りました。ここで買った投資家の多くは、「しまった、売りタイミングを逃した」と悔しがっており、今後、戻り売り姿勢に転じる可能性があります。株価がすぐに反発しないと、諦めて損切りする投資家が出る可能性もあります。

【3】高値圏で売買が減少していた

 株価6,000~7,000円の高値圏で、売買高が減少しつつありました。つまり、高値で買う投資家が減少していたことが分かります。

【4】株価急落時に、売買高が急増している

 なんらかの情報に基づいて、大慌てで売ってきている投資家がいることが分かります。

 B社チャートは、A社チャートの上下をひっくり返して作っています。上下が逆さまになっていますので、テクニカル判断は、B社とちょうど正反対となります。

<再掲:B社チャート(解説用)> 

出所:筆者作成

【1】13週移動平均線、26週移動平均線とも「上向き」に転じる

 2018年は下降トレンドが続いていましたが、2019年に入り「上向き」に転じました。ファンダメンタルズが改善して、株価トレンドが変わる可能性があります。

【2】上値の「しこり」が解消

 株価は、投げ売りで売買高が一番大きかった株価水準(4,300円)を上回りました。ここで買った投資家の多くは、一時含み損を抱えて、戻り売り姿勢になっていた可能性があります。ところが、足元の株価急騰で含み損が含み益に変わったため、押し目買い姿勢に転じる可能性があります。

【3】安値圏で売買が減少していた

 株価3,000~4,000円の安値圏で、売買高が減少しつつありました。つまり、安値で売る投資家が減少していたことが分かります。

【4】株価急騰時に、売買高が急増している

 なんらかの情報に基づいて、大急ぎで買っている投資家がいることが見て取れます。

 以上の理由から、B社はすぐに買っていいが、A社の買いは見送りとすべきです。

2,000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ

 最後に、テクニカル分析を書籍で勉強したい方に、私が2021年12月にダイヤモンド社から出版した「株トレ」をご紹介します。既に12万部以上売れています。

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 私が25年の日本株ファンドマネジャー時代に得たテクニカル分析のノウハウを初心者にも分かりやすく解説しています。クイズ60問を解いて、トレーニングする形式です。株価チャートの見方が分からなくて困っている方にぜひお読みいただきたい内容です。

(窪田 真之)

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