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3回目介入を警戒? ドル/円はいったん様子見

トウシル / 2024年5月10日 9時53分

3回目介入を警戒? ドル/円はいったん様子見

3回目介入を警戒? ドル/円はいったん様子見

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「円安は問題なのか?」FXマーケットライブ

今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは156.00

下値メドは155.00 

欧州戦争:10年以内にロシアとNATOが軍事衝突する可能性高まる  
RBNZ:利上げサイクル終了。しばらく政策金利据え置いた後、11月から利下げ開始  
インフレと環境:ECB理事「グリーンエネルギーへの投資がインフレ加速の原因になる」
欧州賃金:賃金の伸び4.45%にやや低下も、ECBのインフレ目標達成3.5%にはほど遠く
タイ経済:タイ首相「経済は危機的状況」。タイ中銀に緊急利下げ再要請 

前日の市況

 5月9日(木曜)のドル/円相場は、前日比0.14円の「円高」だった。今週はすでに「3円も円安」に戻している。160円台への再チャレンジは来週のCPI(米消費者物価指数)で燃料補給してからになるだろう。

 CPIといっても、米国のインフレが今後も上昇するかどうかは、マーケットにとってはどうでも良いことだ。彼らにとって重要なことは、FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレに対してどう反応するかである。今年の初め、マーケットはFRBが「6回(1.5%)利下げ」すると予想していた。それが4カ月の間に、わずか1回(12月に0.25%)の予想までに減ってしまった。ただ5月雇用統計が弱かったために0.50%(2回)という予想が再び増えている。

 利下げ開始時期については、7月、あるいはその次の9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)が候補になるが、大統領選挙直前の9月に大幅な金融政策を変更することは政治的に難しいとの見方だ。すると7月がなければ、今年の利下げは11月と12月の最大2回になる公算が大きい。

 しかし米経済の強さが今後も続くならば、議論の中心は、利下げから「利上げ」に移っていくことになる。FRBの利上げが妥当なのか、あるいは可能なのか。それはこれからの経済データによって決まる。

 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁は「インフレが再燃した場合、FRBは今年利下げを
見送る可能性がある」と発言している。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 2024年94営業日目のドル/円は、155.42円からスタート。東京時間の朝に少し円高になってから大きく円安に動くパターンは今日も続いた。東京時間朝に155.15円まで下落して安値をつけてから反転して夜の初め頃には155.95円まで上昇してこの日の高値をつけた。156円には届かなかった。終値は155.47円で4営業日ぶりの前日比円高となった。24時間のレンジ幅は0.80円。

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の為替ウォーキング

今日の一言

ビジネスの世界では、進化をしないことこそが「危機」にあたる。- ジェフ・ベゾス(アマゾン創設者)

Working For The Weekend

 米国ではここ数カ月のインフレ率が下げ止まっていることもあり、FRBは利下げをより慎重に進めようと意識しているようだ。FRBはデータ重視の姿勢を強調するが、いつ利下げをするかどうかははっきりしていない。9月と12月の2回、そうでなければ12月の1回というのがマーケットの予想だが、年内の利下げを見送る可能性もゼロではない。

 パウエルFRB議長は、 インフレ率がいまだに高い水準に居座っていることに懸念を示している。PCE(個人消費支出)指数の半分を占めるヘルスケア、食品サービス、運輸、宿泊施設などのいわゆる「非住宅サービス部門」の値上がり率が、金利引締めもかかわらず、あまり下がっていないことが懸念材料だ。これらの部門は、金利感応度が低いこともあるが、賃金コスト上昇の影響を強く受けていることが下げ止まりの原因になっている。

 FRBは、家計が支出を抑制する水準まで債務返済コスト(金利)を引き上げることによって「総需要と総供給を均衡させる」必要があると考えている。ところが、非住宅サービス部門のインフレが下げ止まるなかで、今度は住宅サービス部門のインフレ率が上昇し始めた。FRBにとってインフレ再燃は最悪であり、「利下げ見送り」の強い動機となる。

 パウエル議長は、金利水準はすでに「引締め状態」まで高くなったとの認識を持っているが、米経済は減速せず、個人消費は増加し、雇用市場は依然として過熱状態にある。ということは、中立金利(デフレにもインフレにもならない金利)は、FRBの想定よりもさらに高い可能性があり、現在の水準は、まだ「緩和状態」と「引締め状態」の中間地点にすぎないのかもしれない。FRBでも中立金利の適正水準については意見が分かれている。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成

今日の注目テクニカルレベル

出所:楽天証券作成

ヒートマップ分析

出所:楽天証券作成
 

(荒地 潤)

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