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「金利のある世界」にNISAで買いたい日本株5選

トウシル / 2024年5月29日 13時58分

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「金利のある世界」にNISAで買いたい日本株5選

日経平均、方向感に乏しい展開

 国内株式市場では決算発表が一巡し、証券会社が出すアナリストレポートで個別株が上下に動いていますが、日経平均株価の方向感は乏しくなっています。5月27日の東証プライム市場の売買代金は今年最低の3兆3,000億円となりました。

 英国や米国が祝日のため参加者が減少したことも影響しましたが、月平均の売買代金を算出すると一目瞭然です。

 1月は4兆3,200億円、2月は5兆1,600億円、3月は5兆1,200億円、4月は4兆4,500億円、5月は4兆4,300億円。2月、3月との比較では、5月は一日平均7,000億円減少しています。基本的には「売買代金=市場のエネルギー」ですので、エネルギーは徐々に減少している状況といえます。

 ちなみに、5月30日はTOPIX(東証株価指数)の定期見直し、31日はオールカントリーが連動するMSCI全世界株指数の定期見直しに関する売買がそれぞれ入りますので、売買代金は5兆円前後に膨らむと思いますが、この商い増加は需給イベントによるものですのでスルーしておいてください。

日銀が金融政策を修正すると、金利が上昇するのはなぜ?

 さて、売買代金が減少しているので日経平均はじめ日本株の方向感が乏しくなっていますが、売買代金減少の原因はなんでしょう? 信用取引の買い残(買いポジション)がだいぶたまっているとか、米国金利の引き下げ時期が不透明だ、などさまざま挙げられますが、基本的には、日本の金利上昇が大きく影響していると考えます。

 27日の国内債券市場では、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時、前週末比0.020%高い1.025%に上昇しました。金利上昇の要因として、日本銀行が国債買入の減額を再度行うとの思惑が挙げられます。

 この日銀の金融政策修正と金利上昇の関係を簡単に整理すると、日銀が国債買入を減額する、つまり国債の買いを減らすとその分売りが強まりますので国債価格は下落します。

 基本的に債券は債券価格が下落すると債券利回りは上昇する関係にありますので、国債価格が下落しますと国債利回りは上昇します。そして、日本では新発10年物国債利回りが長期金利の指標となっていますので、足元の「長期金利が上昇」していると言われているのです。

 また、日銀の内田真一副総裁は27日、日銀が開いた国際コンファレンスに出席し、「デフレとゼロ金利制約との闘いの終焉(しゅうえん)は視野に入った」「今回こそはこれまでと違う」と強調しました。

 こうした「脱デフレ」を想定させる日銀関係者の発言を材料に、日銀の金融政策の正常化が早まる、つまり「日銀が早いタイミングで追加利上げに動く」との観測が根強くあるのです。

 もともと年内のどこかでは、日銀が金融政策の正常化(追加の利上げ)に踏み出すと見込まれていました。それが、足元の円安進行に対する日銀の対応が足りないといった声が強まったことなどから、円安進行を是正する意味での「国債買入の減額」「追加の利上げ」への思惑が高まったのです。

 日本の経済状態を考慮して、日銀が追加利上げや国債買入の減額を検討・実施するのではなく、足元の円安進行を阻止するために日銀が動かなくてはならない、というのは何やら違和感が残ります。それだけ、政府・日銀が円安進行への対応で追い込まれてしまったというわけです。

 でも、5月13日に日銀は国債買入の減額を昨年12月以来、約半年ぶりに実施して以来、日本の長期金利はじりじりと上昇し、為替は1ドル=157円前後を推移しています。

 うーん、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)による海外投資信託買いによって数兆円が円売りドル買いに流れていることを考慮すると、政府・日銀だけに円安進行の対応を求めるのは酷な気がします。

株式市場の先行きに警戒感、今投資するならどうする?

 話を元に戻しますが、足元の金利上昇によって、債券市場、為替市場だけではなく、株式市場も日銀の金融政策の早期正常化実施に対する疑心暗鬼が強まっています。

 欧米中央銀行のように開催される会合ごとに0.25%を断続的に利上げする想定ではないのですが、今期の上場企業の最終利益見通しが前期比4%減の減益見通しとなったことなどが影響して、株式市場は先行き警戒感が強まっている状況です。

 まさに今の株式市場は、投資家の心理状態が悪化した、という表現が適切かと思います。投資家心理が悪化したことで、株式市場は積極的な買いが手控えられ売買代金は細っていく、という流れに陥っていると思います。

 では、こうした地合いになった場合、どうしたらいいでしょう。考え方としては、「今後日本の金利が上昇するのであれば、金利上昇がプラス材料になる銘柄を購入しておく」がオーソドックスではないでしょうか?

 投資家心理が悪化している状況下、金利上昇がメリットとなる銀行や保険といった業種でもさほど反応していない銘柄もあります。金利上昇という流れは数カ月で終わるものではありません。まさに数年という長期的な投資期間で考えるテーマですので、NISA投資にはうってつけと言えるでしょう。

「金利のある世界」にNISAで買いたい日本株5選

 今回は金利上昇が追い風となる5銘柄をご紹介します。

【選定ポイント】
 単純に「金利が上がるから」だけではなく、プラスαの観点も含めて考えてみました。NISAの長期投資で、日本が数十年ぶりに体験する「金利のある世界」をじっくり味わってみましょう。
 
銘柄名 証券コード 株価(円)
(5月28日終値)
ポイント
住友金属鉱山 5713 5,234 ニッケル価格が上昇基調。業績への寄与に期待
FPパートナー 7388 4,275 住宅ローン金利や保険の見直しに関する相談が増えると想定
ふくおかFG 8354 4,432 金利上昇のメリット大。半導体関連銘柄としても注目
MS&ADHD 8725 3,331 金利上昇のメリット大。高配当銘柄としても注目
ANAHD 9202 3,031 円安進行の一服で、燃料コスト低下と海外旅行客の増加に期待

※FGはフィナンシャルグループ、HDはホールディングスの略

住友金属鉱山(5713)

 金や銅など非鉄関連の大手企業です。金利上昇に伴いインフレも進む、という観点で同社を注目します。ニッケル価格の下落は、2025年3月期の業績見通しでネガティブ要因となりましたが、5月に発生したニッケル原産国のニューカレドニアの暴動を受けて、2023年9月以来の水準まで価格を戻しています。

 金の価格上昇はもちろん、日本の電線需要や中国の景気回復期待などを背景にニッケル価格が上昇していることで、同社への関心は引き続き高まると考えます。

FPパートナー(7388)

 生命保険を中心とした訪問型、来店型の無料FP(ファイナンシャル・プランナー)サービス「マネードクター」を全国で展開しています。金利上昇によって、住宅ローンや既存の保険契約の見直しなどライフプラン相談の需要が増加すると考えます。

 とりわけ、住宅ローンに関しては、関東や関西など都心部を中心としたマンション価格の高騰を背景に、さまざまな選択肢に悩む相談者が増えているもよう。変動型から固定型への変更、借り換え、マンション売却など相談ごとには尽きません。金利上昇局面が続くことでこういった引き合いは増加すると想定します。

ふくおかフィナンシャルグループ(8354)

 福岡銀行、熊本銀行など九州地方銀行4行を抱え地銀トップクラスの総資産を誇っています。銀行は金利上昇によるメリットが大きいことで注目していますが、同社は福岡銀行、熊本銀行に半導体関連融資の専門チームを創設するなど半導体関連企業に対する融資に積極的です。

 台湾の半導体受託製造最大手のTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)の熊本工場設立で九州は盛り上がっていますので、金利上昇+半導体関連という目線で同社に注目します。

MS&ADホールディングス(8725)

 傘下に三井住友海上、あいおいニッセイ同和をもつ損保大手企業です。保険業も銀行業と並ぶ金利上昇によるメリットが大きい業種ですので注目します。同社は2025年3月期推定の配当利回りが4%を超えることから、高配当銘柄としても関心が高いと考えます。

 2023年に発覚した企業保険のカルテル問題で、金融庁から行政処分を受けたことはネガティブな事象ですが、政策保有株の売却を2029年度末までに実施し、一部を成長投資に振り向けると発表しました。経営資源の効率化で同社のガバナンスは一層向上すると想定します。

ANAホールディングス(9202)

 言わずと知れた空運業大手です。「なんで? ANAが?」と思った方もいらっしゃるでしょうが、金利上昇によって日米金利差が縮小し円安進行が一服することで、燃料代が下がりコストが低下する上、海外旅行に向かう日本人も回復するといったロジックです。来日する訪日外国人は富裕層が多いので、少しの円高は障壁にならないでしょう。

 ライバルである日本航空(9201)は最近トラブルが相次ぎ、国土交通省から厳重注意を受けたため、除外しました。「円高に振れるならば、ニトリホールディングスだってメリット銘柄じゃないか?」といったご指摘もあるでしょうが、燃料代低下といった複合的なメリットも併せて考えています。

 金利上昇の後、どういった経済状態になるか?という連想ゲームは、株式投資を行う上で非常に重要なポイントだと思います。あまり突拍子もない発想ですと誰もついてこない(まるで株価が反応しない)ときもありますが…。

(田代 昌之)

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