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米FOMC年内利下げは1回?日銀国債買い入れ減額も焦点、為替は乱高下か

トウシル / 2024年6月12日 16時0分

米FOMC年内利下げは1回?日銀国債買い入れ減額も焦点、為替は乱高下か

米FOMC年内利下げは1回?日銀国債買い入れ減額も焦点、為替は乱高下か

米5月雇用者数は予想大幅に上回り、利下げ年内1回の見方優勢に

 まもなく、米国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)の結果が発表されます。先週7日(金)に発表された米5月雇用統計によって、市場ではFRB(連邦準備制度理事会)が9月に利下げに踏み切るとの観測は後退しました。

 米5月雇用統計の非農業部門雇用者数は、予想の前月比18.5万人増を大きく上回る27.2万人の増加、失業率は4.0%と前月の3.9%から悪化しましたが、平均時給は前月比0.4%増と前月(0.2%)も予想(0.3%)のどちらも上回る強い内容でした。

 この結果を受けて、長期金利は上昇しドル高に、9月利下げ観測は後退し、据え置きとの見方が上回ったことで、利下げは11月か12月の年内1回との見方となったようです。

FOMCの政策金利見通し、利下げ年内1回ならドル高か

 今週は11~12日にFOMCが、13~14日に日本銀行金融政策決定会合がそれぞれ開催されるため、週後半は乱高下が予想されます。

 まず、FOMCについては、政策金利(5.25~5.50%)は維持されるとの見方が大勢です。従って、注目は金利見通し(ドットチャート)になります。

 3月時点では今年末の金利見通しは4.6%でした。現在の5.25~5.50%から0.25%刻みで利下げを年3回する見通しでしたが、上方修正されることが予想されます。注目は3月時点の4.6%から4.9%になるのか、5.1%になるのかという点です。4.9%であれば年2回の利下げ、5.1%であれば、年1回の利下げとなります。

 4.9%に上方修正された場合、年1回ではなく2回との期待からドル安に動く可能性もあるため注意が必要です。

 一方、5.1%に上方修正された場合はドル高につながりそうです。ただし、次回9月の利下げ観測も根強く残っているため、ドル高、金利高は限定的だと思われます。9月までのデータ次第では9月利下げ観測再浮上の可能性もあるため、市場のドル買い意欲も慎重になると予想されます。

 9月のFOMC開催までに月次の雇用統計やCPI(消費者物価指数)はそれぞれ3回発表される予定なので、発表の都度、利下げへの見方が変わる可能性があります。

 年内利下げなしというシナリオもありますが、FRBとしてはデータ次第でやはり時期は示さなくても利下げ方針は変えないのではないでしょうか。そして8月下旬の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でFRBのパウエル議長は9月以降の利下げを示唆するのではないかとみています。

 ジャクソンホール会議でのFRB議長の講演は、その後の金融政策を示唆する講演が多いため毎年、世界の関心を集めています。

 今回のFOMCで発表される金利見通しは、今年末だけでなく、来年2025年末の見通しにも注目する必要があります。3月時点の見通しでは3.9%となっており、2024年から3回の利下げ見通しとなっていますが、2024年が上方修正された場合、2025年も上方修正される可能性が高いです。

 そのため、2025年の利下げ回数が3回より少なくなるのか多くなるのかに注目すると、来年以降の緩和姿勢を読み取ることができます。

 そして今回のFOMC会期中の12日には5月CPIが発表されます。横ばいか上昇鈍化予想となっていますが、FOMC決定に影響を与える指標が出るのかどうか注目です。

日銀、国債買い入れ減額は既定路線!?減額規模や今後の出口戦略が焦点

 13~14日の日銀金融政策決定会合では、追加利上げはないとの見方が大勢ですが、国債買い入れの減額が期待されており、どの程度の減額規模なのかが注目されています。

 植田和男総裁は6日の参議院財政金融委員会の答弁で、「今後、大規模な金融緩和からの出口を進めていく中で、減額することが適当だ」と述べていることもあり、市場も今回の会合での減額を期待しています。そのため減額なしの場合は失望感から円安となることが予想されます。

 減額されても規模が小さかったり、その後の減額方針が示されなかったりした場合にも円安になることが予想されます。

 逆に、減額規模が小さくても、その後の減額方針が示されれば、円高に反応する可能性があります。

 ただ、追加利上げについて慎重姿勢であれば、金融緩和からの出口戦略については総じて慎重であると受け取られ、その失望感から円安の方が上回ることが予想されるため注意が必要です。

日米金融政策の構図に変化なければ、円安地合い続く

 このようにFOMC後のパウエル議長の記者会見や、日銀会合後の植田総裁の記者会見で、円高あるいは円安に振れることもあります。

 しかし、日米の金融政策の構図が変わらなければ、これらの動きは一時的な動きになると思われます。

 つまり、今回の会合で、

  • FRBは、利下げ方針は維持しても、利下げ時期は慎重姿勢
  • 日銀は、国債買い入れ減額や追加利上げなど、金融緩和方針からの転換はかなりの慎重姿勢

 と確認された場合、記者会見などで一時的に円高に振れても、この構図が変わらなければ、再び円安地合いに戻りそうです。ただし、介入警戒感もあり、円安の勢いも減退していくことが予想されるため、

 1ドル=160円超えは遠い水準になっているかもしれません。

 構図が変わるとすれば、FRBが今年末近くよりできるだけ早い時期に利下げに踏み切ったときか、日銀が慎重姿勢から積極姿勢の方針を発信するときと想定されます。円高に動くとすれば、いまだ米国要因によるところが大きいかもしれません。

マクロン仏大統領の解散選挙の「賭け」でユーロ上値重く

 欧州が揺れ始めています。先週6日のECB(欧州中央銀行)の利下げ後、ラガルド総裁が今後の利下げは約束しないと発言したことによってユーロ売りとはなっていません。

 しかし、米雇用統計(ドル高)と欧州議会選挙(政局不安)の結果を受けてユーロの上値が重たくなってきています。

 欧州議会選挙で極右勢力(EU(欧州連合)懐疑的、移民抑制)が躍進したことから、フランスのマクロン大統領は議会下院解散し、選挙を決断しました。6月30日が第1回投票、7月7日が決選投票とのことです。

 極右勢力を早めに抑えるために、決選投票では極右の票が伸びにくいとの計算からマクロン大統領は決断したとのことですが、「マクロンのギャンブル」ともいわれており、マクロン大統領の思惑通りに進むかどうかは不透明な状況となっています。

 来月26日からパリでオリンピックが始まりますが、その前にフランス政局が混乱する可能性があります。そのことを嫌気して、ユーロの頭が重たくなっているようです。

 6月に入って、欧州の政局混迷が一挙に相場材料として浮上してきました。政治混迷というユーロ売り材料がどの程度影響するのか現段階ではまだ分かりませんが、先行き不透明感からユーロの頭が重たくなる相場地合いは続きそうです。

 ユーロが売られれば、ユーロ円も下がり、ユーロ円の円高がドル円の円安を抑制する可能性があるため、ユーロ円の動向に注目する必要があります。

(ハッサク)

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