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ナスダック・S&P500最高値!FRBは利下げに慎重でも5月CPI鈍化を好感(窪田真之)

トウシル / 2024年6月13日 8時0分

ナスダック・S&P500最高値!FRBは利下げに慎重でも5月CPI鈍化を好感(窪田真之)

ナスダック・S&P500最高値!FRBは利下げに慎重でも5月CPI鈍化を好感(窪田真之)

FF金利据え置き、量的引き締め継続

 米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)は12日(日本時間13日午前3時)、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を発表しました。FF(フェデラルファンド)金利の誘導目標を5.25-5.50%(中心5.375%)に据え置きました。2023年7月26日のFOMCでFF金利を0.25%引き上げて以降、7会合連続で、FF金利を据え置いています。

 また、量的引き締め(FRBが保有する米国債の保有削減)は継続すると発表されました。

米10年金利とFF金利の日次推移:2021年末~2024年6月12日

出所:QUICK・ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 FF金利据え置きは事前示唆どおりで全くサプライズ(驚き)はありません。注目されたのは、「いつ利下げが始まるか、年内何回利下げがあるか」について、どのような示唆があるかでした。

年内1回、来年4回の利下げ示唆

 今回発表されたFOMCメンバーによるFF金利予測(中央値)は、以下の通りでした。年内0.25%の利下げが1回、2025年に4回と示唆されました。

FOMCメンバーによるFF金利の予測(中央値)

出所:FRBより楽天証券経済研究所が作成

 株式市場では、年内2回の利下げ示唆を期待していました。年内1回のみの利下げ示唆では、ネガティブと捉えられる可能性もありました。

 FRBは利下げに慎重との見方が広がったため、ダウ工業株30種平均は前日比35ドル安の3万8,712ドルと小幅に下落しました。

 ただし、米長期金利はやや低下、ナスダック総合指数は前日比1.5%高、S&P500種指数は同0.9%高となり、連日で史上最高値を更新しています。金融市場の反応は悪くありません。

5月の米CPIがインフレ収束の期待を高めた

 12日のNY市場では、FOMC結果が発表される5時間前に、米労働省が5月の米国CPI(消費者物価指数)を発表していました。CPIが前月比横ばいで、前年同月比の伸び率が鈍化したため、インフレ収束への期待が出ていました。

 CPI発表を受けて、米長期(10年)金利は一時、4.4%から4.2%へ低下、それを好感して米国株が上昇していました。長期金利はその後、FOMC結果(年内利下げ1回のみの示唆)を受けて4.3%へ戻しています。

米インフレ率(CPI総合・コア指数前年同月比上昇率)推移:2020年1月~2024年5月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

 FOMCのFF金利予測で、年内1回の利下げしか示唆されなかったことはネガティブですが、米国株式市場では、その前に発表された5月CPIの方を、より重視したと考えられます。

 FOMC後のパウエルFRB議長の記者会見では、「FOMCメンバーの大半は、会議の途中でFF金利予測を変更することはない」と語っています。つまり、今回示唆された年内利下げ1回は、5月CPIを見る前の予測だったと考えられます。5月CPIを見た後ならば、年内の利下げ予測は2回となったとも考えられます。

 5月CPIと、FOMC結果の両方を勘案して、米インフレは緩やかに低下していき、それに対応して、FF金利も少しずつ引き下げられていく期待が続いたことが、12日の米国株の好反応につながりました。

パウエル議長の記者会見は穏当な発言に終始

 FOMCの結果発表後のパウエル議長の記者会見では、従来のスタンスを継続しており、とりたててサプライズとなる内容はありませんでした。

「インフレは大幅に緩和されたが、まだ高すぎる」「インフレが収束に向かう確信を強めるにはさらに良好なデータが必要」と述べる一方、「FRBはGDP(国内総生産)が昨年よりも減速すると予想」「雇用は堅調だが冷え込んでいる」など、米景気減速にも言及しており、総じて、タカ派とは取られない穏当な発言に終始していた印象です。

日本株の投資方針

 米5月CPIおよびFOMC結果を受けてナスダックが最高値を更新したため、13日の日経平均株価は上昇してのスタートが予想されます。当面、日本株も堅調に推移しそうです。

 ただ、ナスダックはやや過熱感があり、日本の企業業績モメンタムが低下していることを考えると、このまま一本調子の上昇は見込みにくいと考えています。どこかでスピード調整が起こる可能性はあると考えています。

 日経平均株価はこれからも、急落・急騰を繰り返しながら、上昇していくと考えています。時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考ええています。

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(窪田 真之)

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