国内・海外のバランス投資で30億円【振り分け型富裕層】の投資術
トウシル / 2024年6月19日 7時30分
国内・海外のバランス投資で30億円【振り分け型富裕層】の投資術
※この記事は2019年5月15日に掲載されたものです。
国内・海外のバランス投資で30億円【振り分け型富裕層】の投資術
今回は、日本景気と世界景気の変動で影響を受けすぎないために、円投資と米ドル投資を絶妙に分配している「H崎H雄氏」の投資法をご紹介します。世界株安でも強みを発揮できる、「振り分け型」投資術とは?
日本の未来を信じすぎない!リスク分散運用
国内株式から新興国関連への投資まで一通り試してきたH氏。いろいろと試行錯誤した結果、H氏は最終的には自分の考えや投資スタンスをダイレクトに反映できる「仕組債」を中心に運用を行うようになりました。仕組債は、許容できるリスクをベースにオーダーメイドで金融商品を仕立てるもので、超富裕層の資産運用に積極的に活用されています。
ただ、多くの金融商品を活用している場合、外貨の保有バランスにまで気が回らないことがあります。どのように資産運用を行うかということの前に、どのような通貨配分で資産を保有していくか、ということが実はとても重要なポイントなのです。
日本には、実は人口が減少していくリスクや、政府の財政状況の悪化から国の借金が増加し続けるリスクなど、先行きに複雑なリスクを抱えています。将来、労働力が減少して企業の経済活動が停滞すると、収入も減少して景気は悪化してしまいます。
そうなると、日本の借金を減らすことはさらに難しくなり、日本全体が弱くなってしまいます。海外から見た円の価値が下がり、円を保有する魅力が失せ、円を売る圧力が強くなることから、円安が進行していく可能性があります。
そこでH氏は、円安が進行した場合に備えて、保険的な意味合いで外貨資産を保有することを検討。生活の場は日本であるため、資産は円が基本ですが、その日本経済への不安の度合いだけ、米ドルを中心とした外貨資産を保有することにしたのです。
もちろん、H氏もすぐに日本円が売られるような展開は予想していません。しかし、高度経済成長期を経て成熟した日本の現状と将来を考えると、息子や孫に引き継ぐ資産の行く末も考慮して外貨資産の必要性を考えました。世界情勢と通貨の動きを読み、積極的に利益を取りに行く投資ではありません。遠い将来を見据えて、まずは基軸通貨であるドルを資産として保有する、という明確な目的があるのです。
通貨は投資対象ではなく、あくまでも資産!
H氏は、現在、金融資産の半分を米ドルで保有して運用しています。その額はおよそ10億ドル強。運用しているのは米ドル建ての仕組債や劣後債、株式型投信などで、何も特別なものではありません。
ポイントは、投資という点では円資産とドル資産を、それぞれ分けて検討するという点にあります。例えば米国株式に投資をする国内投資信託は避けます。なぜなら、投資信託の基準価額は米国株式と通貨の変動がミックスされて表示されるため、通貨もいずれクローズする投資対象になってしまうからです。
富裕層が分散ポートフォリオを組む場合、投資先資産(アセットクラス)と通貨は切り離して考えます。H氏も資産の約半分をドルで保有し、その上でドル資産の運用と円資産の運用は別途検討しています。富裕層ならではの、膨大な資産を長期運用する場合に必要なスタンスを貫いているのです。
真似できる!富裕層投資戦略
H氏の投資の極意をまとめると、以下のようなものになります。
日本の公的年金の運用資産では、基本の資産構成割合として、約4割を外貨資産に充てています。我々も同様に、日本景気を楽観せず、円安進行やまさかの不況に常に備えておきたいもの。その際、何に備えて、資産の何割くらいを外貨で保有したらよいか、しっかりした考えを持って配分を決めるべきです。
日本の将来を楽観せず、常にリスクを想定して動くH氏の運用スタイルは、ぜひ真似したいものです。
(山口 聰)
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