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虫とり小僧さん親子対談!子どもに教えたいお金との付き合い方5カ条

トウシル / 2024年6月20日 7時30分

虫とり小僧さん親子対談!子どもに教えたいお金との付き合い方5カ条

虫とり小僧さん親子対談!子どもに教えたいお金との付き合い方5カ条

 

※この記事は2022年5月27日に掲載されたものです。

 

▼Profile

虫とり小僧さん
家族4人で暮らす、サラリーマン兼個人投資家。子供の頃、昆虫採集が大好きな虫取り少年だったことがハンドルネームの由来。2005年に投資を始め、主にインデックスファンドの積み立てで国際分散投資を続けている。
ブログ:いつか子供に伝えたいお金の話
Twitter 虫とり小僧 (@mushitori) 
金融庁の連載「教えて虫とり先生」
Aくん(息子さん)
虫とり小僧さんの長男、中学2年生。スポーツに夢中で、お父さんの身長体重を追い越しつつある健康優良児。

***********

 自身のブログ「いつか子供に伝えたいお金の話」が話題となり、金融庁のWEBサイト内で「教えて虫とり先生」というコンテンツを連載していた個人投資家、虫とり小僧さん。自身の成功だけでなく、後に続く次世代の若者への発信力が魅力です。

 今回はその虫とり小僧さんと、その息子さん(13歳)との親子対談を実施! 虫とり小僧さん一家のマネー教育についてお話を伺いました!

おこづかい、何歳から、何円で始めた?

 虫とり小僧さんのブログにも、子どもを持つ親が悩みがちな「我が家のマネー教育」の基礎になるような内容が書かれていましたよね。「お金に関する5カ条」は特に説得力がありました。

お金に関する5カ条
一.入ってくる(稼げる)以上に使うな
二.原則として、貸し借りはするな
三.節約と浪費はどちらもほどほどに
四.リスク資産への投資という選択肢もあるぞ
五.なるべくお金にとらわれない生き方をしたいね
はすごく含蓄のある内容ですね…。

 よく読んでみると当たり前のことしか書いてないんですが(笑)、そう受け取っていただけるとうれしいです。
 上記に関してはあとで詳しくお伺いしますが、まずは虫とり小僧さん一家の、お金との付き合い方についてのスタンスを伺いたいです。虫とり小僧さん一家では、おこづかいは何歳で、いくらくらいから始めましたか?
 うーん。おこづかい制度になったのは、多分、小学校1年生? 2年生くらいだっけ?
 小学校1年生くらいまでは、おこづかいナシで、風呂掃除したら10円とかもらってたと思います。
 それに対して「10円かよ!」みたいな不満はなかった?
 その当時は、お金を使うことってほとんどなかったので、お金の額に関しては、不満はなかったと思います。今になると「安っ…」と思うけど。
 でもさぁ、お手伝い報酬制だった時代、あげたお金って、すぐに使い切っちゃってたじゃん。
   それを見て「お金って使ったらなくなっちゃうんだよ」ていうことをそろそろ教えないといけないんだなと思って、定期的にお金が入ってきて、自分で管理しなきゃならない「おこづかい制度」を導入し始めたんです。
 多分、おこづかい制度を始めたのは小学2年生くらいからだったはず。その時に、「おこづかいをもらったら全額使わず、半分は貯金箱でもなんでもいいから貯金してとっておきなさい」というルールを作ったんです。
Aくんはそのルール、どう思いました?
え…ほんとは嫌だったけど、怖いから親には逆らえなくてしかたなく(笑)。
 あ、そこ大事かもしれないですね。まだ親を論破できないうちに始めるという(笑)。
ですね(笑)。

子どものお祝い、半分は貯金、半分はインデックス投資。納得してる?

 おこづかいのほか、お年玉やお祝いなど、Aくんがまとまったお金を得た際、半分を預貯金に、もう半分はお父さんである虫とり小僧さんが、国際分散インデックス型のバランスファンドに投資しているとブログに書いてありましたが、これは、「おこづかいは全額使うな」という教えの延長でしょうか。
 はい。子供が生まれたり、入園や卒業、七五三など、子供の成長過程で、高額のお祝い金が入ってくるイベントがけっこうあるじゃないですか。
   息子が生まれる数年前くらいから投資は始めていたので、子供のお祝いを単純に貯金していたのでは効率がよくないと思ってしまいまして。
そこで、半分は貯金、半分はインデックスファンドに真っ二つに分けたんです。
 でもこれって、例えば20年間運用したとしたら、投資が勝つのか、預貯金が勝つのか、一目瞭然でしょ。将来、結婚するときにでも全額渡すつもりですけど、そのとき、投資で運用するとどれくらいの倍率で利益が出るのかを身をもって知ってもらえるなら悪くない教育かなと。
「2通りの貯め方増やし方を実践し、預金と運用の差を見せたいんです。就職するときか、結婚するときに「ほら、これぐらい違うんだぞ」と恩着せがましく見せてやろうという、壮大な計画があります(笑)」(虫とり小僧さん)
おじいちゃんやおばあちゃんからもらったお祝いは自分の懐に入らないわけだけど、Aくんは、そこは納得してるの?
今はそんな高い物いらないから、特に不満は感じてないです。
人気のゲーム機など、わりと高額なものが欲しくなったらどうするの?
 おじいちゃんとかおばあちゃんに頼んでます。
お父さんじゃなく?(笑)
 お父さんだと、「難しいドリルを毎日10ページやれ」とか、キツイ課題がでちゃうんで。前にDS欲しいって言ったら、家で空手の稽古を何カ月もやれって言われて、大変だった(笑)。
 Aくんは、投資信託の仕組みとかは理解してるんですか?
いや、まったく分かんないです。
 今はそれでいいんだよ。そもそもまだ教えてないし。本人の能力を踏まえて、段階的に教えていくのがいいのかなと思っています。おこづかいをもらってるだけの小学生に、難しいファンドのしくみを教えても、まだ本当の理解はできないんじゃないかなと思ってて。
   今は、全額もらっても、半分は貯金して、「全部使い切ってしまわない」、ということを習慣づけてくれればそれでいいかな。

中学2年生のおこづかい事情を教えて!

今はおこづかい制度ですよね? 中学2年生になって、おこづかいはいくらもらってるの?
中学2年生だから2,000円です。
年齢ごとに上がるしくみなんですね。
 はい。でもね、実は迷ったんですよ。中学1年で1,000円、2年生で2,000円、3年生で3,000円とアップしていくのと、1年生から一律2,000円にするのと、全部合計して初年度にいっぺんにあげちゃうのと、比べてみると、同じ7万2,000円じゃないですか。
 
   だから、年額アップ形式と、一律2,000円形式と、全額支給方式で迷って、本人に聞いたんです。そしたら「毎年上がる普通のパターンでいい」って言われてしまって。だから、年額アップ形式と、一律2,000円形式と、全額支給方式で迷って、本人に聞いたんです。そしたら「毎年上がる普通のパターンでいい」って言われてしまって。
「全額ド~ン!」はちょっと自信なくって(笑)。実はちょっと前に、すごくハマってたカードゲームがあって、半分よけてたお金以外、全額使っちゃったことがあったんです。その後お金がなくて、かなり大変だった。そういうこともあるんで、やっぱりいっぺんにもらうのは怖いです。
 カードに散財してるのも分かってたし、その時はいいけど、後になるとカードに価値を感じなくなることもあるだろうとは思ってました。でも、半分は使わないでおいておく、というルールは守れていたし、使うとなくなるぞ、ということが分かるいい機会になるだろうと思ってたから、何も言わずに傍観してました。
「強いカードがどんどん欲しくなるカードゲームや、課金しないと勝てない仕組みのスマホゲームは子どもの財布の大敵。親の目の届く間に、使い過ぎが招くプチ貧乏を経験させておくことも大事かも」(虫とり小僧さん)
 入ってきたお金を全部は使うな、という教えは身についてるんですね。
 はい。失敗もしてたけど、それができてるのを見て、「ああ、そこが守れてるなら大丈夫かな、だったらわざと失敗させて学ばせよう」、と思いました。
   オトナになって給料もらい始めたとき、「イェーイ!」ってタガが外れて大金を使っちゃうことがあっても、それでも事前に半分取り除けておくことさえできれば大丈夫だし、もしそれができるなら投資しなくてもなんとかなると思ってます。

投資はいつ教える予定?

  お父さんは、筋肉もスゴイけど(笑)、金融庁から意見を聞かれたり、個人投資家から人気のある、投資の世界でも有名な人なんですけど、それって知ってました?
 つい最近まで知らなかったです。この前、急に聞かされて驚きました(笑)
 書籍や参考資料とか、自分あてに物が送られてくる際、あて先に、●田●男様(虫とり小僧様)みたいに、本名とハンドルネームを併記される場合があるんですよ。それで子供にバレ始めて。もう中2なんで、インターネットで調べたりできるようにもなったので、そろそろカミングアウトしてもいいかなと。
 自分が知ってるお父さんと違う顔を知って、どう思いました? みんなに意見を聞かれたり、金融庁から連載依頼が来るほど、虫とり小僧さんって、ほんとにすごい人なんだよ?
 いやいや、べつにすごくないよ(ツンデレ顔)。
 えー、あー、すごいなーと思いましたー(棒読み)。
 言わされてる感、スゴイ(笑)。
 そんなことないです(笑)。
 息子さんは今、中学2年生で、勉強の傍ら、夢中になっているスポーツもあるということですが、なりたい職業とか、将来の夢はありますか?
 
 しっかりと自立できていて、借金とかしない人間になりたいと思います。テレビとかで、借金してたいへんな状態になってるドラマやドキュメンタリーを見たりすると本気で怖い。スポーツではやっぱり、No.1を目指したいと思っています。
例えば、このまま強くなって、海外にスポーツ留学したいとか言い出した場合、やっぱり親なので、できる限りの支援はすると思います。ただ、価格と価値のバランスを考えて、家計が傾き、残りの家族が不幸になるような支援は無理かな。
   勉強に関しても、今は塾には行ってなくて、自主学習メインでたまに自分や妻が教えているんだけど、塾に行かなきゃいけないような学校に行きたいなら、塾に行くのも支援します。
いや、塾は絶っっっ対に行きたくない!
どうして?(笑)
夏期講習ツライとか、友達がめっちゃ嫌がってるもん。勘弁してほしいっす。

ネットリテラシーとマネーリテラシーは親の仕事

 改めてですが、虫とり小僧さんがお子さんに絶対教えたい5カ条を解説してほしいのですが。

一.入ってくる(稼げる)以上に使うな
二.原則として、貸し借りはするな
三.節約と浪費はどちらもほどほどに
四.リスク資産への投資という選択肢もあるぞ
五.なるべくお金にとらわれない生き方をしたいね

この5つって、改めて教えることじゃなくて、風呂ん中とかリビングとかでときどき話してることを改めて文章にまとめただけなんですよ。だから多分、息子の中ではある程度分かっている話だと思います。「リスク資産への投資」の話以外は。
投資に関してはこれから教える予定なんですね。Aくん、今の段階で、リスク投資以外に「特にこれが気になる」、という項目はありますか?
三の、「節約と浪費はどちらもほどほどに」です。ほどほどっていうのがよく分からないかも。
これはね、お金の無駄遣いもよくないけど、節約しすぎてけちけちしても楽しくないじゃんって話。どうせいつか死ぬのに、お金だけ貯めても、あの世に持ってけるわけじゃないし。今を楽しむことも、将来に備えることもどっちも大事でしょ。
   家とか車とか、高額なものにはシビアになってもいいけど、旅行とかたまにいい物食べるとか、そういうところでけちけちして心が貧しくなるのはよくない。極端に走りすぎずにちょうどいいバランスで楽しく生きようぜ、っていうこと。
 私が気になるのは、五の「なるべくお金にとらわれない生き方をしたいね」です。トウシルでFIRE特集を作ったとき、お金にとらわれない生活、特に老後を目指そうとすると、若いうちは、お金にめっちゃとらわれて、いろいろ準備をしないといけない場合もあって、そこが悩みどころだったんですが…。
 逆説的ですが、お金にとらわれないように生きるためには、ある程度のお金と知識は必要になってきますよね。
   お金がないことで起こる不幸はできるだけ避けたい。住むところの心配、病気の心配、いつもおなかがすいているのに、大嫌いな仕事に行かないといけない生活、ていうのは考えただけでもイヤでしょ。若いころから、入ってきたお金の半分を残しておく、さらに、できればそれを投資に回して少しでも増やす努力をしておけば、避けられる不幸もある。
逆に、お金があるからこそ起こる不幸や、投資のことを考えすぎて毎日、気が気じゃない生活もハッピーじゃないでしょ。増えたお金が減るたびに傷ついて立ち直れないっていうのもダメだし。これも結局バランスかなと思っています。
今、株安でインデックスも大幅値下がりしてますが、その辺の情報は家庭内で共有していますか?
 家庭ではまったくしていないですよ。それに僕自身、そもそも気にもしていないです(笑)。1年間で2~3割上がったり下がったりなんて当たり前でしょ。一時的に元本割れすることを許容したからこそ、長期で増やすスタンスが取れてるので、これくらい、なんでもないです。リーマンショックで半分になっちゃったときのことを思えば屁でもない(笑)。
さすが投資経験が豊富なだけありますね! お金に振り回されない、強いメンタルですね。

 最後にAくんから虫とり小僧さんにリクエストはありますか?
えっと。節約とか投資とか、ちゃんとしてるのは偉いんだけど、大人なのに、虫のおもちゃでしょうもないいたずらを仕掛けてくるのはもうやめてください。ゴム製の虫のおもちゃがいっぱい入った袋、1,000円くらいするでしょ? あれはもったいなくないの?
ええー。ああー。あれは、昔は使い道がいっぱいあったんだよ。でももうお前たちあんなのじゃビビらないしウケないじゃん。確かにあれは無駄遣いだった…デスネ…。
奥さんのポケットやAくんの靴の中に、虫のおもちゃを仕込んだんですね。しかもウケなかったとは…(笑)。
最近ひっかかってくれなくて(笑)。遊びも勉強もお金の使い方も、親が教えてやれる時間って、案外少ないんですよね。学校でも授業で投資を学ぶようになるのですが、ネットリテラシーとマネーリテラシーを教えるのは、基本、親の仕事だと思ってます。
 教え方としても、とにかく親の思い通りに動かそうとするのではなく、自分で判断できる材料を与えていくのが親の役目かなと。ほら、おもちゃが無駄だとか、僕が与えた材料を的確に判断してる証拠ですよね!?
そういうことにしておきましょう(笑)。今日はお二人ともありがとうございました!
 

企画/編集/執筆 安田由紀子 

(トウシル編集チーム)

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