ナスダック最高値でも日経平均上値重い。生成AIブームいつまで?
トウシル / 2024年6月17日 8時0分
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ナスダック最高値でも日経平均上値重い。生成AIブームいつまで?
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著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「ナスダック最高値でも日経平均上値重い。生成AIブームいつまで?」
先週の2大イベント、FOMCと日銀金融政策決定会合を無事通過
先週(営業日6月10~14日)の日経平均株価は、1週間で130円(0.3%)上昇して3万8,814円となりました。一方、先週のナスダック総合指数は、1週間で3.2%上昇して、史上最高値を更新しました。
日米の金融政策決定会合を無事通過したものの、日本株は依然として上値の重い展開が続いています。一方、米国株は強く、エヌビディア(NVDA)など生成AI関連を中心にナスダックの急騰が続いています。
日経平均・ナスダック総合指数の週次推移比較:2021年末~2024年6月14日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/6/3/-/img_635dd2c5382e21e6076283d9c0df079c73002.jpg)
ナスダックが強い理由として、二つあります。
【1】エヌビディアなど生成AI関連株のブーム続く
生成AI関連の中核である米半導体大手エヌビディアが強いことを受け、生成AI関連中心にナスダック上昇が続いている。
エヌビディア株の週次推移:2022年末~2024年6月14日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/d/4/-/img_d4f9b3a71fef35db204145375bc30cfd59712.jpg)
【2】米景気は堅調だが9月に利下げ期待ある。つまり米景気は強過ぎず、弱過ぎず、程よい景況と捉えられている
米景気がやや強すぎて、9月利下げが実現しない可能性があることに不安があります。ただし、米景気・インフレにやや減速の兆しもあり、いずれ利下げが見込まれると考えられています。この状態が、米国株にとって居心地の良い景況となっています。
FRBは利下げに慎重でも5月CPI低下で、9月利下げ期待続く
先週12日(日本時間午前3時)に発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果は、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げに対する慎重姿勢を再確認するものでした。FOMCメンバーによるFF(フェデラルファンド)金利予測(中央値)では、2024年末のFF金利が5.1%でした。
年内0.25%の利下げは1回のみ、つまり9月の利下げはないと示唆されました。普通ならば、これを嫌気して長期金利が上昇してナスダックは下がってもおかしくありませんでした。ところが、そうはなりませんでした。
FOMCメンバーによるFF金利の予測(中央値)
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同じ12日に発表された5月のCPI(消費者物価指数)で、インフレ鈍化が見られたからです。FOMCで示された年末のFF金利予測は、5月CPIを見る前の予測と考えられます。5月CPIを見れば、年内2回の利下げが見込まれていただろう、と市場で思惑が広がりました。つまり9月利下げがあると期待されました。
これを受けて米長期金利は4.2%へ低下し、ナスダックは上昇して最高値を更新しました。
米10年金利とFF金利の日次推移:2021年末~2024年6月12日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/5/c/-/img_5c0cbd6c8c08792f1c1d9a02fb48f8f574339.jpg)
米インフレ率(CPI総合・コア指数前年同月比上昇率)推移:2020年1月~2024年5月
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/c/6/-/img_c689e455066d95deb0f8aaf36add06fe63493.jpg)
二つの不安
米国株が強いことが日本株の下値を支えています。ただし、二つ、不安があります。
【1】生成AIブームいつまで?
生成AIが世界中のビジネスを変革することへの熱狂が、今の米国株をけん引しています。「生成AIが世界を変える」ことは、私も確信しています。ただし、それにしても、関連株の上昇ピッチはやや速すぎると思います。
エヌビディアの時価総額は約508兆円、これに対して東京証券取引所(東証)上場株の時価総額合計は約966兆円です。つまり、エヌビディア1社で、東京証券取引所時価総額の半分以上に相当します。
そのエヌビディアは、今年に入って株価が2倍以上に上昇しています。これだけの超大型株が、小型株のように急騰する時は、過去の経験則からは相場の過熱を警戒した方がよいと思われます。
【2】日本の企業業績モメンタムが低下
前期(2024年3月期)非常に好調だった東証プライムの企業業績は、今期は伸びが鈍化する見込みです。会社予想の集計では、微減益と予想。前期、非常に好調だった自動車産業にブレーキがかかります。
前期は、半導体不足の解消による生産回復・リオープンによる販売回復・円安に、米国でのハイブリッド車ブームも重なり、トヨタなど自動車産業の利益が高水準でした。今期は、その反動で減益となります。
気になるのは、自動車の認証不正問題です。国交省からは、国連の基準にも違反しているとの指摘があります。日本の自動車各社が、欧米でもペナルティを課せられると、ダメージがさらに拡大します。
東証プライム上昇主要841社の連結純利益(前期比)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/c/3/-/img_c30b0dbfb60e7f653d28cb27831583da30933.jpg)
日本株の投資戦略
先日のレポートで、日経平均が5年以内に5万円まで上昇する予想をお伝えしました。日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいとの見方は変わりません。
ただし、短期的には、日経平均がスピード調整する可能性に注意が必要と考えています。少しシートベルトを締め直した方がよい状況と考えています。
▼著者おすすめのバックナンバー
2024年6月4日:日経平均5万円、5年以内に達成と予想する理由(窪田真之)
(窪田 真之)
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