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次の景気後退はいつ?日本株投資で勝つための「景気1サイクル投資」(窪田真之)

トウシル / 2024年6月18日 7時0分

次の景気後退はいつ?日本株投資で勝つための「景気1サイクル投資」(窪田真之)

次の景気後退はいつ?日本株投資で勝つための「景気1サイクル投資」(窪田真之)

株で資産形成:景気悪化をどう乗り切るかが鍵

 このコラムで私は、「日本株は割安、長期的に上昇余地が大きいと判断しているが、短期的にはスピード調整のリスクがある」と申し上げています。

 株式への投資は、長期的な資産形成に不可欠と考えています。ただ、注意が必要なのは、株は短期的に急落・急騰を繰り返すことです。景気が減速・悪化するときには大きく下がります。

 日経平均株価(225種)のボラティリティ(1標準偏差で変動する値幅)は20%くらいあるので、日経平均インデックスファンドを買って景気後退局面に当たれば20%くらい下げることは、よくあることです。全財産を突っ込んで過剰なリスクを取ったとき、いきなり20%も値下がりしたら大変です。そうならないように、きちんとしなければならないのが「リスク管理」です。

<日経平均(2012年末=100、指数化)の動き:2012年末~2024年6月(17日)>

出所:2012年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 今、米国景気も日本景気も堅調で、景気が急速に悪化するリスクは小さいと考えられています。ただし、景気の先行きは、予断を持つべきではありません。誰も予想しないタイミングで世界景気が急に悪化することも、誰も予想しないタイミングで世界景気が急回復することも、よくあるからです。

 いつ急に世界景気が悪化してもいいように、適切にリスク管理すべきです。米景気に死角はないように見えますが、米国株はやや過熱していて、流れが変わるリスクはいつでもあります。

 というと、不安があるので、今のうちにさっさと株を売ってしまおうと思う人もいるかもしれません。そこにも落とし穴があります。リスク管理とは、「常に適正なリスクを取り続けるように」することです。過度に大きな投資リスクを取るべきでないと同時に、「リスクを取らな過ぎるリスク」も問題です。

 私が考えるメインシナリオでは、2024年は、米景気はソフトランディング(軟着陸)、日本の景気も堅調を維持します。2025年も、現時点で、急激に景気が悪化するとは考えていません。それならば、日経平均が急に大きく売られることはないと予想されます。今、景気後退を懸念して日本株を売ってしまうと、リバウンド局面で指をくわえて見ているしかなくなります。

 ただし、永遠に景気が拡大し続けることはありません。景気は循環します。いつまでも景気が良いことはありません。いつか、必ず景気後退局面が来ます。また、永遠に景気が悪いままということはありません。

 いつか、必ず景気回復が来ます。景気が良いときは、次に景気が悪くなるときのことを考え、景気が悪いときは次に景気が良くなるときのことを考えて、運用管理する必要があります。

<米国GDP成長率(四半期別・前期比年率%)、米景気後退局面は21世紀以降3回だけ:2000年1-3月期~2024年1-3月期(速報値)>

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成、赤字で書き込んでいるところが、米景気後退局面「ITバブル崩壊不況」「リーマンショック」「コロナショック」

 いつ景気が悪くなるか、予想することは困難です。私の予想が外れて、世界景気が突然、深刻なリセッションに入ると、株は大きく下がることになります。

 緩やかな景気拡大が長期化しても、急に景気が悪くなっても、どちらになっても問題ないように、適切なポジション管理が必要です。株価下落局面で致命的なダメージを受けず、株価上昇局面の恩恵を「人並みに」受けることができるような投資ポジションを、景気が良くても悪くても常に保有し続けるのが妥当だと思います。

景気予測に過度に賭けるべきでない、「景気1サイクル投資」の勧め

 景気判断は水物です。将来の景気を正確に予想するのは至難の業です。景気予測はよく外れるので、景気予測に過度に賭けた投資ポジションを取るべきでありません。

 私たちは資産運用において、どういうことに気を付けたらよいでしょうか? 私は、過去25年間、日本株のファンドマネージャーをやり、公的年金や投資信託の運用をしてきました。

 私が日本株ポートフォリオを組むときにいつも心がけていたのは、「景気1(ワン)サイクル投資」です。景気は良くなると、いつまでも良いと勘違いしがちですが、いつか必ず悪くなります。景気が悪くなると、いつまでも悪いと勘違いしがちですが、いつか必ず良くなります。

 いつ景気が良くなるか、悪くなるか、思い込みで投資して外れると、大けがします。そうならないように、いつでも、景気1サイクル、株を持ち続けるつもりで株の銘柄を選別することです。

 景気が良いときに買った株は、その後、景気が悪くなり、また良くなるまで持つのが、景気1サイクル投資です。景気が悪いときに買った株は、その後、景気が良くなり、また悪くなるまで持つのが、景気1サイクル投資です。

 誰もが景気が良くなるときだけ株を保有し、悪くなるときは株を持っていないようにしたいと思っています。ところが、景気予測は簡単に当たるものではありません。多くのエコノミストが強気のときに、景気は急に悪くなります。

 皆が悲観の底に沈んでいるときに、突然、景気回復が始まります。誰も、コロナショックの世界不況を予見できなかったし、その後の急回復も予見できなかったでしょう(まぐれ当たりした人はいるはずです)。

 景気を当てて、いいタイミングで売買しようという思いが強すぎると、かえって高値買い・安値売りになります。

 私は、ファンドマネージャー時代に投資銘柄を選ぶときは、常に「景気1サイクル」をもって、ベンチマーク(東証株価指数)を上回るパフォーマンスが得られると思うものを選んできました。

 私は今、日本株は割安で、長期投資で資産形成に寄与するとみています。個別銘柄を選別することに自信が持てない方は、日経平均インデックスファンドに「景気1サイクル投資」していくだけでも、良好なリターンが得られると予想しています。

 景気1サイクルですから、今後、景気が一度悪化、あるいは、悪化ぎりぎりまで減速して、そこから回復するまで持つということです。相場が短期的に急落・急騰することを意識しつつ、リスク管理しながら、ポジションを取っていく必要があります。

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(窪田 真之)

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