新たな信用バブルを支える財源はもうない!?
トウシル / 2024年6月20日 16時9分
![新たな信用バブルを支える財源はもうない!?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_45582_0-small.jpg)
新たな信用バブルを支える財源はもうない!?
過去24年間は、グローバリゼーションと金融化のダイナミクスによってリスクが低下した時代
6月17日のゼロヘッジの『Prepare For The Repricing Of Risk Globally(世界規模でのリスクの再評価に備える)』という記事に、これからの相場を観る上で重要な指摘がなされている。
【次のメルトダウンに備えるための「貯金」はもうない。過去24年間は、グローバリゼーションと金融化のダイナミクスによってリスクが低下した時代と見ることができる。
中国が「世界の工場」として台頭したことで、製品価格の低下というデフレの波が押し寄せ、2000年以降、世界経済が150兆ドルの債務を増やしたことによるインフレの影響を鈍らせた。公的、私的を問わず、世界の債務は現在315兆ドルを超え、世界GDP(国内総生産)の333%を占めている。
グローバリゼーションによるデフレの影響がなければ、この膨大なマネーの増加がインフレを引き起こしただろう。金融化によるマネーの膨張がなければ、グローバリゼーションが可能にした生産と消費の拡大は起こらなかっただろう。
同時に、中央銀行は金利を着実に引き下げる政策を調整し、2009年以降、実質ゼロ金利またはマイナス金利(インフレ調整後)に達した。歴史的規範をはるかに下回る金利の引き下げにより、債権者は債務返済費用が減少しても、より多くの借金をすることができた。
金融化によってレバレッジが大幅に高まり、信用・負債が商品化されたことで、新興市場国や企業、消費者が世界的に借入・支出を増やせるようになった。
世界貿易の増加によるデフレ圧力が逆転した今、グローバル化と金融化の崩壊によって生じるインフレ圧力に対抗するものは何もない。担保はすでに「レバレッジ・アップ」されているため、新たな信用バブルを支える担保プールはもうない。
例えば、アメリカの商業不動産では、数年前に2億ドルで売れたビルが、今では差し押さえを受け、1,000万ドル以下で競売にかけられている。金利をゼロに戻すことはできないからだ。
言い換えれば、次の市場メルトダウンのために利用できる「貯蓄」はもうないのだ。
もうひとつのシステミックなリスク源は、ブノワ・マンデルブロが著書『市場の(誤った)行動』で説明している。(本書の2004年の当初の副題は、「リスク、破滅、報酬のフラクタルな見方」であった。)
しかし、マンデルブロが説明したように、このような壊滅的な洪水は100年に1度起こるものではなく、5年に1度程度である。自然はフラクタルであるため、突然不安定になりやすいのだ。
ナシーム・タレブは著書『The Black Swan: The Impact of the Highly Improbable(ブラック・スワン:起こりえないことの衝撃)』の中で、予測不可能(起こりえないリスク)の本質を探っている。
2000年から2020年までの数十年間は比較的安定していたため、グローバル・システムは非常に強固で、安定をもたらす機関(中央銀行)は非常に強力であり、リスクは払拭されないまでも管理可能で、容易にヘッジできると私たちは自己満足的に信じていた】
出所:『Prepare For The Repricing Of Risk Globally(世界規模でのリスクの再評価に備える)』 6月17日ゼロヘッジ
「難しい。世界情勢、国内情勢全て難しい。相場が難しい…」。足元の相場についての、ある著名運用者の言葉だ。しばらく相場は秩序のないランダム相場となるだろう。
なぜ、エブリシングバブルが続いているのか? それは、2020年以降のインフレ調整後の米国政府支出が、以下の支出の合計を超えているからだ。
第1次世界大戦
第2次世界大戦
1970年から1990年
インフレ調整後の連邦政府赤字
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/c/d/-/img_cd580269438dce2f8a62b1993dd0639845119.png)
米国の負債と未返済債務はすでに米国の全資産を上回っている。ワシントンの支出は完全に制御不能である。連邦政府は一世帯あたり平均3万7,300ドルの税収を得るが、それでも一世帯あたり1万4,500ドルの赤字を出している。
米国政府の利払いは1兆ドルを超えた
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/4/3/-/img_432c7a57077a5053964b767684a5bea541498.png)
資産と負債の両方を膨らませる両建て経済(ポンジスキーム)が現在進行中である。
【ブラック・スワン的なイベントに備えるファンド(ブラックスワン・ファンド)を運用するユニバーサ・インベストメンツのマーク・スピッツナーゲル最高投資責任者(CIO)は、株式市場は今後大きく値上がりするだろうとし、その後米金融当局が利下げに転じると急転する可能性が高いとの見方を示した。スピッツナーゲル氏は「その時が本当にひどい状況になる」と語った。同氏は10年以上にわたる低金利と国債買い入れプログラムを通じて、市場が米金融当局の支援に過度に依存していることへの懸念を強めている】
出所:『ブラックスワン・ファンドの運用者、FRBが利下げに転じた時を懸念』 2023年11月10日(ブルームバーグ)
【歴史的に2つのことが起こりやすいことがわかっている。
第一に、「資産バブル」に続いて、「最悪の経済的結果」が生じる傾向があること。
第二に、私たちの業界の大きな原則は「連邦準備制度と戦うな」ということである。私は今、これまで見た中で最大かつ最も広範な資産バブルを見ている。それは10年から11年続いており、今やグランドフィナーレを迎えている。
私はここに座って、おそらく最大かつ最も広範な資産バブルを目の前にしている。これまで見てきたことや、これまで研究してきたことは忘れてほしい】
出所:YouTube『キリル・ソコロフ、スタンレー・ドラッケンミラーと対談』
ドラッケンミラーは「2、3年後には信じられないようなチャンスが到来する。チャンスが訪れるまで資金を温存しておくことが大切だ」と語っている。
経済の仕組み(FRBの後始末戦略)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/4/d/-/img_4d2c9b7515a078d6444ebfbca9c1f18550041.png)
覚えておいてください。本当の情報は大手メディアによって抑えられている。テレビでは放映されないし、新聞でも報道されない。
6月19日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
6月19日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、荒地潤さん(楽天証券FXアナリスト)をゲストにお招きして、「介入主義のキシダノミクスは、米民主党のバイデノミクスに連動している」「個人投資家のポジション動向」「相場は大統領選挙後に大変動か?」というテーマで話をしてみた。ぜひ、ご覧ください。
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/9/1/-/img_915aa0c3119f56050708afc16a205e3444451.png)
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![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/7/4/-/img_74c67040d789776a9318ccb3987ea01535150.png)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/3/e/-/img_3eb6d14b7313fb25a36eb4ec69b7407435893.png)
ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
6月19日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/6/3/-/img_63c7ba141f96115c93b46cf0a802dddc39126.png)
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(石原 順)
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