アセット・アロケーションの決め方、GPIFの資産構成をタタキ台に
トウシル / 2024年6月29日 8時0分
アセット・アロケーションの決め方、GPIFの資産構成をタタキ台に
「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第35回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
今日のクイズ:GPIFの運用資産の構成割合はどれ?
長期の資産形成で、投資成果のほとんどはアセット・アロケーション(資産配分)によって決まります。国内株式、外国株式、外国債券、国内債券などの資産に、保有する投資資金を何%ずつ配分するかが重要です。
そこで、参考になるのが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用方針です。GPIFは、日本最大、かつ世界でも最大の公的年金で、運用資産224兆7,025億円を保有します(2023年12月末時点)。GPIFは、過去23年で合計132兆4,113億円もの運用益を獲得しています。
今日は、そのGPIFが基本としている運用資産の構成割合(基本ポートフォリオ)を当てるクイズを出します。
GPIFの現在の運用資産の構成割合を示しているのは、以下A、B、Cのうち、どれでしょう?
基本ポートフォリオとは、224兆円の運用資産のアセット・アロケーションを示すものです。決められた比率±6%あるいは±8%の範囲に、実際のアセット・アロケーションが収まるように管理しています。
アセット・アロケーションで、投資の成果はほとんど決まる
投資成果のほとんどはアセット・アロケーションによって決まります。国内株式、外国株式、外国債券、国内債券などの資産に、保有する貯蓄を何パーセントずつ配分するか、そこを最初に決めるべきです。
アセット・アロケーションの次に大切なのが銘柄選別です。まず、アセット・アロケーションを決め、次に銘柄を決めます。例えば100万円投資資金があったとして外国株に30%投資すると決めたとします。外国株を30万円持つと決めた上で、具体的に何を買うか次に考えれば良いことになります。
ところが、個人投資家には「何を買うか」だけ考えて、アセット・アロケーションをどうするか考えない方がたくさんいます。「これいいですよ」と言われた投資商品を次々と買った結果、雑多な投資商品をいくつも持って、全体でどういうリスクを取っているか分からなくなっている人もいます。
もし、皆さんが、以下のように質問されたらすぐに答えられますか?
【質問】あなたが今、保有する金融商品(投資信託、株、ETF(上場投資信託)、REIT(リート:不動産投資信託)、債券、銀行預金など)全体で、どういうアセット・アロケーションになっているか、分かりますか? 国内株式、外国株式、外国債券、国内債券、現金預金、その他にそれぞれ何%投資しているか分かりますか?
すぐに答えられる人はほとんどいないかもしれません。ちょっと調べた上で、きちんと答えられますか? 複雑な金融商品をいろいろなところで買っていて、全体でどうなっているか、調べようがなくなっている人もいると思います。
どういうリスクを取っているか分からない方は、分かるものだけ分類してください。
【国内株式】日経平均インデックスファンド・A社株…
【外国株式】全米株式インデックスファンド・G社株…
【外国債券】米国債…
【国内債券・現金預金】個人向け国債・銀行預金…
【その他】金プラチナ、複雑なリスクを取っている投資信託、暗号資産…
複雑なリスクを取って、そのリスクの中身が何であるか理解していない金融商品は、極力減らしましょう。理想的なのは、「プレーン・バニラ」といわれる単品商品だけでポートフォリオを組むことです。最初は、国内株式だけ、外国株式だけ、外国債券だけのように、取っているリスクがクリアで理解しやすいものから投資していった方が良いと思います。
正解:バランスが取れたB
正解はBです。GPIFの運用資産は現在、以下の通りとなっています。
<GPIF運用の基本ポートフォリオと、実際の資産構成(2023年12月末時点)>
GPIFは、決して特殊な運用をしてきたわけではありません。短期トレーディングで収益を稼いだわけでも、株価が倍になる成長株に集中投資して当てたわけでもありません。ごく当たり前の長期・国際分散投資をすることで、運用資金を増やしてきました。
私たちも、まねしようと思えば、簡単にまねができます。老後の準備として、運用で資産を増やすことを目指す私たちにとって、参考になるものです。
GPIFは、基本となる資産構成割合を定め、それに従って、分散投資を行っています。
現在の基本ポートフォリオ(中心)は、外国株式25%、国内株式25%、外国債券25%、国内債券25%です。株(外国株+国内株)半分・債券(外債+国内債)半分と、とてもよくバランスの取れたポートフォリオだと思います。国内投資(国内株+国内債券)半分・海外投資(外国株+外債)半分というのも、良いバランスだと思います。
GPIFの基本ポートフォリオは2014年10月までは、国内債券の割合が60%と高かったのですが、国内債券の利回り低下を受けて、比率をまず35%に引き下げました。その後、2020年4月に現在と同じ25%まで下げました。
個人投資家は、必ずしも国内債券に投資する必要はないと思います。長期(10年)国債の利回りが1%くらいしかなくて、国内債券では運用利回りが得られないからです。国内債券には投資せず、その分は、安全資産として銀行預金に入れておけば良いと思います。
あるいは、個人向け国債(10年変動金利、あるいは5年固定金利、3年固定金利)に入れておくのでも良いと思います。
GPIF型を応用したアセット・アロケーション
皆さまが資産形成するためのアセット・アロケーションとして、GPIF型をそのまま使っても良いですが、個人の事情に合わせて、以下のように修正しても良いと思います。
<GPIF基本ポートフォリオを応用したさまざまなアセット・アロケーション>
GPIFの基本ポートフォリオを、タタキ台として、皆さまにふさわしいアセット・アロケーションを工夫してください。
(窪田 真之)
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