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日経平均動き出した?上か下か?強弱材料をチャートから読む(窪田真之)

トウシル / 2024年7月1日 8時0分

日経平均動き出した?上か下か?強弱材料をチャートから読む(窪田真之)

日経平均動き出した?上か下か?強弱材料をチャートから読む(窪田真之)

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
日経平均動き出した?上か下か?チャートから強弱を読む(窪田 真之)

日経平均はレンジを上放れ?

 6月最終週(営業日6月24~28日)の日経平均株価は、1週間で986円(2.6%)上昇して3万9,583円となりました。8週にわたり狭い範囲で膠着(こうちゃく)してきた日経平均が、レンジの上へ抜け出す気配がみられます。

日経平均週足:2024年1月4日~6月28日

出所:楽天証券MSIIより楽天証券経済研究所が作成

 私は、日経平均は5年以内に5万円まで上昇すると予想していますが、そうは言っても、日本の企業業績が減速する見通しであることから、夏場に短期的には、いったん下落するリスクがあると考えています。

 私の考えが正しいか間違えているか、今日は、日本株の材料をチャートでチェックします。

 5月以降、日経平均が狭い範囲で膠着してきたのは、強弱材料が拮抗(きっこう)してきたからです。強材料として、円安(ドル高)と生成AI関連を中心とした米国株ラリー(上昇)があります。

 一方、弱材料としては、米国のインフレ・金利の高止まり、日本の企業業績モメンタム(当日の終値と過去の終値を比較することで相場の勢いや方向性を判断するテクニカル指標)低下があります。

 円安(ドル高)・米国株高が終わり、米国の金利高止まり・日本の企業業績モメンタム低下に懸念が高まれば、日経平均は下落に転じると思います。

 一方、円安・米国株高が続き、米国の金利先高感が低下、日本の企業業績見通しが上方修正トレンドに入れば、日経平均は一段高になると思います。

 どちらになるでしょうか?

円安(ドル高)いつまで?

 先週、ドル/円為替レートは1ドル=160円を超えました。4月29日~5月2日にかけて、政府・日本銀行による巨額の円買い(ドル売り)介入によって、一時急激な円高が進んだことから、介入への警戒感で円安が進みにくくなっていましたが、ついに、前回介入のレベルを超えて、一時161円台をつけ、37年ぶりの円安水準となりました。

ドル/円為替レートの動き:2024年1月2日~6月28日

出所:楽天証券MSIIより楽天証券経済研究所が作成

 FRB(米連邦準備制度理事会)は相変わらずタカ派(利下げに消極的)、日銀はハト派(利上げに消極的)のイメージが定着、大きく開いた日米金利差がなかなか縮小しない思惑が広がっていることから、円を売りドルを買う流れが止まりません。先週は、円安が日本株が買われる要因ともなりました。

 長い目で見れば、FRBはいずれ利下げに転じ、日銀はいずれ利上げに転じると考えています。そうなると、日米金利差が縮小して、円高が進むと考えられます。短期的には、いつまでも円安が止まらなくなり、それが日本株を支えています。

米国株高・生成AIラリー、いつまで?

 生成AIラリーが続いているため、米国株は金利高止まりも問題とせず、上昇が続いています。ただ、時価総額で日本円換算100兆円を超える超大型株が、小型株のように急騰する流れが続いてきたため、さすがに過熱感が意識されるようになってきました。やや上値が重くなっています。

 生成AIラリーの中核に位置する米国の時価総額上位5社の株価チャートを見ましょう。

 5社の株価チャートを見ると、全般に上値が重くなってきたように見えますが、まだ、上昇トレンドが終わったと確信できる形とはなっていません。

時価総額第1位、マイクロソフト日足:2024年5月1日~6月28日

出所:楽天証券MSIIより楽天証券経済研究所が作成

 マイクロソフト(MSFT)は、上昇トレンドが崩れたようには見えません。6月28日に下がったことで、小休止する可能性はあると思います。

時価総額第2位、アップル日足:2024年5月1日~6月28日

出所:楽天証券MSIIより楽天証券経済研究所が作成

 アップル(APPL)は、高値圏でもち合いとなっています。上値がやや重くなってきた感じです。

時価総額第3位、エヌビディア日足:2024年5月1日~6月28日

出所:楽天証券MSIIより楽天証券経済研究所が作成

 エヌビディア(NVDA)は、上昇トレンドがいったん終了する可能性があります。高値から急落してから、戻り売りと押し目買いが交錯してもち合っていますが、短期的にはさらなる下げもあり得ると思われます。

時価総額第4位、アマゾン・ドット・コム日足:2024年5月1日~6月28日

出所:楽天証券MSIIより楽天証券経済研究所が作成

 アマゾン・ドット・コム(AMZN)も、マイクロソフトと同様、上昇トレンドが崩れたとは言えません。目先、やや上値が重くなる可能性はあります。

時価総額第5位、アルファベット(グーグル親会社)A株日足:2024年5月1日~6月28日

出所:楽天証券MSIIより楽天証券経済研究所が作成 注:アルファベットは、A株(議決権あり)とC株(議決権なし)を上場させている。両方合わせると、時価総額でアマゾンを抜くが、A株だけでは時価総額第5位となる

 アルファベット(グーグルクラスA:GOOGL)は、上昇トレンドが継続しているように見えます。生成AI関連銘柄として、エヌビディアとともに、中核銘柄として期待されています。

日本株の投資戦略

 日本株の投資戦略について、結論はいつもお話ししていることと同じです。日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいとの見方は変わりません。

 短期的には、日経平均が夏場にスピード調整する可能性に注意が必要と考えています。ただし、短期的な動きについては決め打ちはできません。日本株を持ち過ぎないように注意するとともに、日本株を売り過ぎてしまうこともないように、「中立」ポジションを維持するのがよいと思います。

 円高に反転する時、米国の生成AI関連株がスピード調整に入る時には、日経平均も調整する可能性があると思います。

 以下、ご参考まで、日本株にも米国株にも季節的に夏場に調整することが多いというアノマリー(明確な根拠はないが、株式市場などのマーケットの規則性や経験則)はあります。今年そうなると決め打ちはできませんが、そうなる可能性はやや高いと考えています。

日経平均の月別、平均騰落率:1994年1月~2024年5月までの平均

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

S&P500株価指数の月別、平均騰落率:1994年1月~2024年5月までの平均

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

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(窪田 真之)

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