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円高ショックで日経平均急落、夏枯れ相場の始まり?(窪田真之)

トウシル / 2024年7月16日 8時0分

円高ショックで日経平均急落、夏枯れ相場の始まり?(窪田真之)

円高ショックで日経平均急落、夏枯れ相場の始まり?(窪田真之)

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
円高ショックで日経平均急落、夏枯れ相場始まり?

円高ショックで日経平均急落

 先週(営業日7月8~12日)の日経平均株価は、1週間で278円上昇し、4万1,190円となりました。11日には一時、4万2,426円まで上昇しましたが、12日に円高急伸を嫌気して前日比1,033円安と急落したために、先週末の終値は4万1,190円となりました。

日経平均株価の週足:2024年1月4日~7月12日

出所:楽天証券MSIIより作成

 6月末から日経平均を急騰させた要因として4つあります。

【1】円安

 一時1ドル161円台まで進み、外国人投資家による日本株買いを誘いました。

【2】米国株高

 生成AI関連株のラリー、ナスダック総合指数の最高値更新が続いています。

【3】日米の金融環境

 米国で金融引き締めが続いていますが、年内に利下げが見込まれています。日本は年内に利上げが見込まれますが、急激な引き締めはなく、緩和的環境が続くと期待されています。

【4】4-6月決算への期待

 これから本格化する日本の4-6月決算は良好と期待されています。

 ところが、先週12日に日経平均が急落したことによって、日経平均週足は「長い上ヒゲ」となり、テクニカルに見て上値が重くなりそうです。日本株の強材料、上記【1】~【4】のうち、先週崩れたのは、【1】円安だけです。先週も、ナスダック総合指数は最高値を更新しており、生成AIラリーはまだ健在です。日米で当面、良好な金融環境が続く期待は続いています。

ナスダック総合指数の週足:2024年1月2日~7月12日

出所:楽天証券MSIIより作成

 なぜ、急に円高に転じたのでしょうか? 私の考えを解説します。

なぜ今、急に円高?

 3つの理由があると思います。

【1】政府日本銀行による為替介入(正式発表は無いが、実施されたのはほぼ確実)
【2】6月の米CPI(消費者物価指数)が市場の想定以上に鈍化
【3】7月に入った発表された米指標に景気鈍化を示すものが多い

【2】【3】によって、9月にも米利下げがあるとの期待が高まったタイミングで、為替介入があったため、急激な円高が進んだと考えられます。

ドル円為替レートの週次推移:2024年1月2日~7月12日

出所:楽天証券MSIIより作成

 急激な円高が進んだのは、日本時間で7月11日21時30分から、つまり米労働省が6月の米CPIを発表した直後からでした。6月の米CPIは、米国のインフレ鈍化を印象づけ、9月にもFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを始める期待を強めるものでした。

米国インフレ率(CPI総合指数・コア指数の前年比上昇率)推移:2020年1月~2024年6月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所作成

 総合インフレ率、つまりCPI総合指数の前年同月比上昇率は3%まで低下しました。さらに特筆すべきは、同指数が前月比マイナス0.1%と減少に転じたことです。インフレ収束が鮮明になってきたと解釈されます。

 この数値が出た直後、政府日銀による円買い介入があったのはほぼ確実です。介入効果と、6月CPIを受けた9月利下げ期待の高まりもあって、急激な円高が進みました。

 9月の米利下げ期待が高まった背景には、CPI以外の景気指標もあります。

米雇用統計:非農業部門の雇用者増加数(前月比)

出所:米労働省より楽天証券経済研究所作成

米雇用統計:完全失業率

出所:米労働省より楽天証券経済研究所作成

 非農業部門の雇用者は前月比で20.6万人増加しました。20万人以上増えていれば、米景気は好調と解釈されます。ただし、ひところに比べ雇用の勢いは低下していると解釈されます。6月の完全失業率は4.1%でした。まだ低い水準ですが、ひところに比べ、上昇しつつあります。総じて、雇用はまだ強いものの、勢いが低下している印象となりました。

ISM製造業・非製造業景況指数:2020年1月~2024年6月

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

日本株の投資戦略

 日本株の投資戦略について、結論はいつもお話ししていることと同じです。日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいとの見方は変わりません。日経平均は5年以内に5万円まで上昇すると予想しています。今年の年末の日経平均の予想値は4万2,000円に引き上げています。

 とはいえ、最近、米国株も日本株も上昇ピッチがやや速すぎると感じています。また、年内に米利下げが見込まれる中、一時的に円高が進む可能性もあると考えています。さらなる円高があれば、夏場に日経平均が短期的にスピード調整する可能性もあると考えています。

 ただし、短期的な相場動向を正確に予測するのは困難です。あまり短期的な見通しにベットする(賭ける)ことなく、長期的に時間分散しながら日本株を買い増ししていくことが、長期のやや資産形成に寄与すると考えています。

 最後に「株トレ」新刊出版のお知らせです。ダイヤモンド社より8月1日ごろ私の新刊が出版されます。

「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編」

 一問一答形式で、株式投資のファンダメンタルズ分析を学ぶ内容です。

 2021年12月に出版した前作「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ」の続編です。前作で、テクニカル分析(チャートの読み方)を学び、今回出版する続編でファンダメンタルズ分析(決算書の読み方など)を学びます。株式投資で個別株投資にチャレンジしたい方、決算書くらい読めるようになりたい方に役立つ内容です。

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(窪田 真之)

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