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日経平均急落、ここは良い買い場?さらなる下落を警戒すべき?(窪田真之)

トウシル / 2024年7月29日 8時0分

日経平均急落、ここは良い買い場?さらなる下落を警戒すべき?(窪田真之)

日経平均急落、ここは良い買い場?さらなる下落を警戒すべき?(窪田真之)

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
日経平均急落、ここは良い買い場?さらなる下落を警戒すべき?

日経平均急落、テクニカルに弱気局面入りか

 先週(営業日7月22~26日)の日経平均株価は、1週間で2,396円下落し、3万7,667円となりました。7月11日に一時、史上最高値の4万2,426円をつけましたが、そこから10営業日で4,789円(約11%)の急落となりました。

 日経平均には、テクニカル分析から「弱気局面入り」する可能性が出ました。ダブルトップ(二番天井)をつけて下げる形となったからです。あと2週間くらい3万8,000円前後で日経平均がもみあうと、13週移動平均線が26週移動平均線を上から下へ抜けるデットクロス(弱気シグナル)も出て、さらに弱い形となります。

 そうならないためには、今週から日経平均が急反発する必要がありますが、難しいかもしれません。

日経平均株価の週足:2024年1月4日~7月26日

出所:楽天証券MSIIより楽天証券経済研究所が作成

 日経平均急落のひきがねを引いたのは円高です。日経平均が最高値をつけた7月11日以降、急激な円高が進みました。円安進行時に投機筋が積み上げていた日経平均先物の買いポジションが、円高転換で解消に向かい日経平均急落につながりました。

ドル/円為替レートの週次推移:2024年1月2日~7月26日

出所:楽天証券MSIIより楽天証券経済研究所が作成

 円高反転の理由として以下四つがあります。

【1】米景気鈍化を示す指標が増え9月利下げが確実視されるようになったこと
【2】年内に日本銀行が利上げする可能性があること
【3】7月11日に政府日銀による為替介入と見られる動きがあったこと
【4】「ドル高は問題」と考えるトランプ氏が米大統領選で優位となったこと

 その後、米国の生成AI関連株の下落が、日経平均に追い打ちをかけた形です。米国株をけん引してきたハイテク株や半導体株が下落して、リスクオフの流れを作りました。行き過ぎた円安と生成AIラリーに修正が入り、それに伴って日経平均も売られたと言えます。

ナスダック総合指数の週足:2024年1月2日~7月26日

出所:楽天証券MSIIより楽天証券経済研究所が作成

 ナスダック総合指数の週足チャートを見るとまだ上昇トレンドが終わったと判断できるほど弱くはなっていません。ただし、生成AIブームの中心にあったエヌビディアなど半導体関連株は、上昇局面がいったん終了したと思わせるきつい下げとなっています。

米景気は「ほどよい減速」か?急速に冷え込むリスクは?

 突然の円高と日経平均急落、これが単なるスピード調整か、あるいは新たな下げトレンドのスタートか、現時点で明確に判断できません。鍵を握るのが米景気の先行きです。

 米景気がほどよく減速するだけならば、今回の下げは単なるスピード調整にすぎず、日経平均の底入れは早いでしょう。ただし、米景気がここから冷え込み、米金利が低下してさらに円高が進むようだと、日経平均の下げはさらに大きくなるでしょう。

 気になるのは、米景気が冷え込むリスクが見え隠れしている点です。インフレの累積効果で米国では生活必需品の価格が高騰して消費に悪影響を及ぼす可能性が出ています。コロナの補助金も底をついてきました。

 米景気減速を受けて、9月の米利下げが確実視されるようになったことは株式市場にプラスです。問題は、ほどよい減速にとどまるか否かです。想定外の悪化がないか、慎重に見極める必要があります。

 そこで話題となったのが、米商務省が25日に発表した、4-6月期GDP(国内総生産:速報値)です。前期比年率2.8%増と高い伸びでした。うち個人消費は同2.3%増でした。

米国GDP成長率推移:2018年1-3月期~2024年4-6月期

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 4-6月のGDP統計を受けて、米景気が冷え込むリスクは低いとの見方も出ました。私は、4-6月のGDP統計の見方には二つあると思います。

【1】米景気はほどよく減速、冷え込むリスクは低い
【2】4-6月の消費好調は、低価格の生活必需品買いだめによるもので、消費の冷え込みが今後明らかになる

 現時点で、どちらが正しい見方か分かりません。8月に入ってから出る、7月の米景気指標を見ながら考える必要があります。

 以下、参考まで、米景気が弱くなるリスクを意識させた6月の景気指標を再掲します。8月に発表される、これら指標の7月の値が注目されます。

米国インフレ率(CPI総合指数・コア指数の前年比上昇率)推移:2020年1月~2024年6月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

米雇用統計:完全失業率

出所:米労働省より楽天証券経済研究所作成

ISM製造業・非製造業景況指数:2020年1月~2024年6月

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

日本株の投資戦略

 日本株の投資戦略について、結論はいつもお話ししていることと同じです。日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいとの見方は変わりません。ちょうど日経平均が大きく下落したところですから、長期的には、良い買い場と思います。

 とはいえ、短期的にはさらなる円高が進み日経平均がさらに売り込まれるリスクもあり、注意が必要です。時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。

 最後に「株トレ」新刊出版のお知らせです。ダイヤモンド社より8月1日ごろ私の新刊が出版されます。

「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編」

 一問一答形式で、株式投資のファンダメンタルズ分析を学ぶ内容です。

 2021年12月に出版した前作「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ」の続編です。前作で、テクニカル分析(チャートの読み方)を学び、今回出版する続編でファンダメンタルズ分析(決算書の読み方など)を学びます。株式投資で個別株投資にチャレンジしたい方、決算書くらい読めるようになりたい方に役立つ内容です。

▼著者おすすめのバックナンバー

2024年7月25日:「半導体関連株」今、買っていい?もう遅い?(窪田真之)
2024年7月22日:円安は終わり?円高反転4つの理由。どうなる日経平均?
2024年7月18日:セブン&アイ、イオン:コロナ後の成長が見えてきた「小売株」投資戦略(窪田真之)

(窪田 真之)

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