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日銀なんちゃって利上げで、ドル/円160円逆戻りも

トウシル / 2024年7月31日 10時17分

日銀なんちゃって利上げで、ドル/円160円逆戻りも

日銀なんちゃって利上げで、ドル/円160円逆戻りも

今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは154.60

下値メドは152.00 

経済的幸福:国民の経済的な幸福は、「個人の財政状況」という偏った視点を通して判断されている
FRB利上げ:ボウマン理事「2023年のインフレ低下は一時的だった可能性」  
政策金利:リッチモンド連銀総裁「現在の金利水準でインフレを2%に引き下げられる」
豪ドル:2024年利上げ予想があるのはG7でRBAだけ 
中国不動産市場:V回復は期待できないが、底入れ安定の兆し

前日の市況

 7月30日(火曜)のドル/円相場は、前日比1.35円の「円高」だった。

日銀が現在開催中の会合で「利上げを検討している」との憶測記事でドル/円は2.50円下落した。「タカ派日銀」に対する投資家の期待度の大きさを示す動きだった。

 前回6月の会合で日銀は、国債買い入れ減額を期待させながら、結局話し合いだけでマーケットを大いに失望させた。利上げについても、今回は検討することを検討するだけに終わる可能性がある。

 マーケットは国債買い入れの減額と利上げまですでに織り込んでいる。日銀がその期待を超える結果を出すことは難しいだろう。つまり、リスクは円高よりも「円安」ということになる。

出所:楽天証券作成

 2024年152営業日目は153.91円からスタートして、東京時間夕方に4営業日ぶりとなる155円台にのせてこの日の高値155.22円をつけた。しかし、「日銀が追加利上げ検討」のニュースが出た後、明け方には152.64円まで大きく円高に動いた。終値は152.69円。24時間のレンジ幅は2.57円。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 先週のドル/円は約6円も円高に動いた。7月を通してみると、為替介入で4円、先週の下落が6円で、合計10円以上も円高だ。値幅の大きさも、方向が円安ではなく円高だったということも、想定外だったといえる。個人投資家の約8割は、7月は円安に動くと予想していた。

 この円高は、トランプ前大統領が円安(ドル高)に不満を表明したことがきっかけだった。米リセッション懸念が再び頭をもたげるなかでメキシコペソやブラジルレアルなどの景気敏感通貨が下落。2年間高パフォーマンスを上げていた円キャリートレードの手じまいが始まり、円やスイスが買い戻された。

 雇用市場の失業率が急激に悪化していることを受けFOMCは(0.25%)ではなく0.50%の大幅利下げを実施するとの予想もでている。日銀の利上げで円高になれば為替介入に2兆円も使う必要はなかったかもしれない。

出所:楽天証券作成

 円安のメドは、155.27円、155.99円、157.10円、157.60円 
 円高のメドは、151.93円、151.37円、150.96円、150.79円

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の為替ウォーキング

今日の一言

困難な時期というものは永遠に存続しない。だが困った人々というのは常に存在する

Dust in the Wind

 日銀は今年3月にマイナス金利を解除し、2007年2月以来となる利上げに踏み切った。そして今回の会合で追加利上げを検討している。しかし、日本は17年前に比べて何か変わったのだろうか。

 変わったかもしれないが、良くなったとは断言はできない。むしろ悪化しているかもしれない。日本の対GDP(国内総生産)比債務は約250%まで膨れ上がった。2007年の約180%、2013年のアベノミクス開始時の220%よりも増えている。

 都合のいいことに、日銀も政府もアベノミクスが何だったのか忘れてしまったようだ。日本経済の再構築と銘打たれたアベノミクスは、経済成長を加速させ長期的な潜在成長率を引き上げることを目的に掲げ、外国からの投資を呼び込み、国内雇用を増大することで日本の財政は劇的に改善するはずだった。インフレ率2%も、高度で高速な経済成長のアウトプットという位置づけであり、それ自体が目的ではなかった。

 現在のインフレは、日銀ではなくロシアのプーチン大統領が引き起こしたものだ。そこに企業が利益を上乗せしてさらに物価を高くした。日銀は、自ら作り出したものではないインフレを最大限に利用しているだけだ。

 アベノミクスの世界では、企業は働き手を奪い合うようになり、需要主導による所得増加が実現するはずだった。現実はどうかというと、物価高に追いつかせるためのいわば供給主導による所得増加が行われているにすぎない。2024年のベア平均は5.28%伸びたが、食料品の平均値上げ率19%には追いついていない。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成

今日の重要ブレークアウトレベル

出所:楽天証券作成

コーンチャート分析

出所:楽天証券作成
出所:楽天証券作成

(荒地 潤)

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