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知っているようで意外と知らない?「債券」にかかる税金の話

トウシル / 2024年8月3日 11時0分

知っているようで意外と知らない?「債券」にかかる税金の話

知っているようで意外と知らない?「債券」にかかる税金の話

資産運用における「債券」という選択肢

 個人投資家で、「債券」に投資している方は意外と少ないように感じます。株式や、株式の投資信託が個人投資家の投資対象としてはメジャーですが、大口の投資家は、債券をメインの投資対象の一つとして捉えています。

 ポートフォリオを組むときも、株式オンリーだとかなりリスクが高くなってしまうので、債券もミックスして、リスクが高くなりすぎないようにしつつ、より安定的なパフォーマンスを目指す、というのが、多額の資産を運用する機関投資家の投資スタンスです。

 日本の年金資金を運用しているGPIFも、ポートフォリオの中に相当な割合の債券を組み入れています。

 個人投資家であっても、例えば個人向け国債に投資することもできますし、上場会社が発行する社債に投資することも容易です。

債券の「利息」にかかる税金は?

 では、国債や社債などの債券の税金は、どのような扱いになっているのでしょうか。債券の税金は、「利息」にかかるものと、「譲渡損益(売却損益)」にかかるものと二つあります。

 まず「利息」にかかる税金です。債券の利息は「利子所得」となります。そして、利息を受け取る際に20.315%の源泉徴収がされます(源泉分離課税と呼びます)。

 この利息は、上場株式等(この中には証券会社で取り扱う投資信託や債券も含みます)の譲渡により生じた損失(譲渡損)と損益通算することができます。

 その場合、債券の利息を申告分離課税により確定申告する手続きが必要です。

 なお、源泉徴収有りの特定口座で、特定口座内に債券の利息を受け入れている場合、譲渡損と債券の利息は自動的に損益通算されます。

配当金との違いを確認

 債券の利息の税金の取り扱いは、株式等の配当金と似ていますが、違うところもあります。

 最も大きな違いは、配当金は確定申告をする際、「総合課税」と「申告分離課税」のどちらか有利な方を選ぶことができますが、債券の利息を確定申告する際には総合課税を選択することはできず、「申告分離課税」のみという点です。

 言い換えれば、配当金については、他の所得が少ないような方であれば総合課税を選択することで、源泉徴収されている20.315%の税率より低い税率を適用させることが可能です。

 一方、債券の利息は源泉徴収されるのも20.315%ですし、申告分離課税で確定申告しても20.315%の税率と、税率が固定されているのが配当金との違いです。

 もちろん、債券の利息を申告分離課税で確定申告し、株式等や投資信託、債券の譲渡損と損益通算することにより、債券の利息にかかる税額を事実上ゼロにすることもできます。

売却損益の扱いは上場株式等と同じ

「売却損益」については、上場株式等と同じ扱いです。売却益については20.315%の税率による分離課税となり、一般口座や源泉徴収無しの特定口座であれば確定申告が必要です。

 源泉徴収有りの特定口座の場合は、売却時に税額が源泉徴収されますので、確定申告は不要となります(確定申告した方が有利な場合は確定申告もできます)。

 譲渡損が生じた場合は、確定申告することで上場株式等の配当金や債券の利息と損益通算することができます。なお、上述の通り、源泉徴収有りの特定口座で、特定口座内に配当金や債券利息を受け入れている場合は、譲渡損と配当金・利息が自動で損益通算されます。

 そして損益通算後も譲渡損が残っているのであれば、確定申告をすることで最長3年間損失を繰り越すことが可能です。

 債券の税金につきまとめると、次のようになります。

・利息
 20.315%の税率で源泉徴収されるが、確定申告することで、株式や債券などの譲渡損と損益通算できる

・売却損益
 20.315%の税率による申告分離課税。源泉徴収有りの特定口座であれば、確定申告不要。譲渡損は配当金や債券利息と損益通算でき、残った譲渡損は確定申告することで最長3年間繰り越せる


 ややこしく、難しい証券税制ですが、知っていれば得をする、知らなければ損をするというのが税金の世界。ぜひある程度の知識は身に付けておくことをお勧めします。

(足立 武志)

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