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株安、円高でオールカントリーが値下がり。新NISA初心者が知っておきたい、為替リスクとの付き合い方

トウシル / 2024年8月6日 11時0分

株安、円高でオールカントリーが値下がり。新NISA初心者が知っておきたい、為替リスクとの付き合い方

株安、円高でオールカントリーが値下がり。新NISA初心者が知っておきたい、為替リスクとの付き合い方

オールカントリーの値下がり、株安と円高のダブルパンチ

 海外の株式市場が下がっているとき、海外市場へ投資する投資信託を保有していたなら値下がりが生じることは、個人投資家として理解していなければなりません。S&P500種指数をベンチマークとして運用する投資信託は、S&P500が10%下がれば10%値下がりする理屈になります。

 一般的には「国内の株式市場より海外の株式市場のほうが成長率が高い」と説明されますが、これは一時的な値下がりもしない、というわけではありませんので、急激に20%上がったのであれば、その値上げ幅分くらいは一時的に値下がりしてもおかしくありませんし、悪いニュースがあればそれ以上下がることもあるわけです。

 市場の下落に加え、「どうも海外の株価水準の下げ幅よりも値下がり幅が大きいのでは?」と思うことがあります。影響のひとつとして考えられるのは為替の影響です。

 ここしばらくは急速な円安基調が続いていましたが、調整か反動か、円高に揺り戻ししている傾向が見受けられます。長い目でみれば、1ドル=90円前後まで円高に振れていたわけですから、そこから1ドル=160円までのレンジは大きなものです。反動としてその一部が戻っただけであっても為替の差損だけで、5~10%あるいはそれ以上のマイナスになることはあります。

 S&P500やオールカントリーといった指数を「とりあえず投資をしていれば値上がりしてお金が増えるもの」というくらいに甘く考えている人は、株価の下落と円高基調がダブルで生じれば、ダブルで値下がりする可能性があることを改めて知っておく必要があります。

為替のリスクを回避することはなかなか難しい

 為替リスクは、国際的な取引を行う限り、回避するのが難しいものです。民間企業の決算も為替の影響を大きく受けます。私たちの食品価格やエネルギー価格の上昇も為替の影響があったのは周知のとおりです。

 為替をヘッジする投資手法もありますが、その分ヘッジコストが発生するため、運用利回りとしては縮小することになります。同一の投資信託で「ヘッジあり」「ヘッジなし」の2コースが設定されている投資信託の基準価額推移を見てみるとそれがよく分かります。

 そもそも、為替レートの変動が、国力の対比を真っ正直に反映するわけでもないのが、また困りものです。本当に日本経済の弱さを反映して円安になるなら、バブル崩壊後何十年も1ドル140円を超えなかったのは変ですし、3.11直後に超円高になるのも変な話です。この数年でいきなり国力が5割も弱くなったでしょうか。

 株価は、将来の成長を織り込んで目の前の資産価値以上の評価をつけることがありますが、為替はそれ以上にいろんな条件に振り回されています。少なくとも、経済成長とリンクして右肩上がりになるようなことはありません。

 海外へ投資する個人投資家は、「海外の企業の成長」から得られるリターンを日本で得ようとするとき、「為替」というやっかいな要素が間に挟まっていて、これは必ずしもプラスリターンを生み出すわけではない(つまり一方向に円安に動くわけではない)ことをよく考えておく必要があります。

 とはいえ、為替リスクが資産を全損させることは通常の投資信託や外国株取引ではありえません。信用取引もしくはFX(外国為替証拠金取引)のように、レバレッジをかけた場合には、為替の影響が資産を大きく食い尽くしてしまうことがありますが、これに手を出さなければいいわけです。

新NISA初心者は海外投資の為替リスクを過小評価してきたことが心配だ

 そうなってくると、2024年1月からスタートした、新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)では個人投資家が積極的に海外への投資を行っていることが気になります。

 全世界株式(オールカントリー系)やS&P500に連動した運用を目指す投資信託は、一気にその残高を積み上げてきましたが、資金を投じてきた投資初心者の中には、ここまでの大きな値上がりの一部が円安パワーであったことと、円高(といっても数年前の水準に戻ったわけではないのだが)の影響が生じうることを、軽く考えていた人がいると思います。

 むしろ、円安の傾向と海外の株価指数の上昇がダブルで資産価値を高めてくれているとイメージできていた人は、どれくらいいたでしょうか。

 最近、SNS投稿だと「オルカン投資詰んだ…」「S&P500はもうダメだ!」的な叫びがちらほら見受けられますが、インデックスそのものの下落の心配よりも、意外にも為替の影響による下落のほうを心配しているように見えます。

「インデックス下落」「為替の下落」というダブルパンチがあり得ることは、今回知っておきたいところです。そしてこれからの投資に生かす学びとしてほしいと思います。

それでも、投資信託を使った積立投資家はあまり焦らなくて大丈夫

 それでも、オールカントリーやS&P500で投資する魅力が失われたわけではありません。新NISAのつみたて投資枠でオールカントリーやS&P500系の投資信託を積立設定している人は、焦らず投資を継続していくことをおすすめします。

 新NISAの口座に限れば、年初からスタートしたばかりで、まだ金額は大きなものではない人がほとんどです(年初に240万円を成長投資枠で一括購入した人は初心者ではないと思います)。あなたが月数万円程度の積立をしているのであれば、これからも為替は変動し、インデックスも変動し続けていく中で、購入を続けることになるはずです。

 継続していけば、為替については購入時の平均より円安になる保証はなくても、外貨でみたインデックスはおそらく、長期的な上昇による資産増を実現できるでしょう。全体としてもプラスリターンを生み出す可能性が高いと考えられます。

(こう言われても、あなたがもし、1ドル=100円の世界に逆戻りすると確信しているのなら、投資を手じまいしてもかまいません。それは自由です。ただ、手じまいした後、投資をリスタートする判断はかなり難しいものとなるでしょう)

 そしてもうひとつ、投資資金の為替の上下動は経験によって慣れることができます。これも初心者のうちに得られたことに意義があります。そう考えてみると、為替の変動やいろんなニュースに触れておくことは財産(経験という名前の財産)です。

 あなたの新NISAの積立投資はまだ始まったばかりです。あなたの投資ゴールが5年あるいは10年先、それ以上であるなら、焦る必要はありません。これからも、経済の成長を信じて積立投資を続けていってください。

(山崎 俊輔)

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