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今月の質問「パリオリンピック、あなたが注目した競技は!?」

トウシル / 2024年8月9日 16時0分

今月の質問「パリオリンピック、あなたが注目した競技は!?」

今月の質問「パリオリンピック、あなたが注目した競技は!?」

はじめに

 今回のアンケート調査は、2024年7月29日(月)~31日(水)にかけて実施しました。

 アンケート期間終了日の7月末の日経平均株価は3万9,101円で取引を終えました。前月末終値(3万9,583円)からは482円安と、月末の終値同士の比較では、株価水準をやや切り下げた格好ですが、月間の値幅(高値と安値の差)は4,800円を超えていて、値動きはかなり荒かったと言えます。

 実際に7月の相場展開を振り返ると、月初からの日経平均は上値をトライする動きとなりました。

 FRB(米連邦準備制度理事会)が9月にも利下げを開始するとの見方が強まり、半導体関連株や大手テック株などが上昇、日本株もその流れに乗る格好となったほか、日米の金利差縮小見通しの中でも、為替市場では円安ドル高が進んでいたことも追い風となりました。日経平均は7月11日に4万2,000円の大台に乗せ、3月以来の最高値を更新する場面もありました。

 しかし、その後は下落基調へと転じました。米共和党の大統領候補のトランプ氏が銃撃される事件が起こり、選挙戦を有利に進める見方が強まりました。

 そして、同氏の政策姿勢をめぐる「トランプ・トレード」の流れとなり、日本円や人民元に対するドル高を懸念する発言をきっかけに、為替市場が円高方向へとかじを切ったことで、利益確定をはじめとする売りに押される場面が目立ち始め、さらに、日米の金融政策イベントが月末に控えていたことも株価上昇を抑える要因となりました。

 このような中で行われた今回のアンケートですが、2,400名を超える個人投資家からの回答を頂きました。

 日経平均の見通しDIは、3カ月先が株高見通しを強めたものの、1カ月先については見通しが後退したほか、為替のDIについては、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円のいずれも円高見通しを強める結果となりました。

 次回もぜひ、本アンケートにご協力をお願いいたします。

日経平均の見通し

「中期的な見通しの変化に注意」

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之

 今回調査における日経平均の見通しDIは1カ月先がマイナス9.18、3カ月先は+12.51となりました。前回調査の結果がそれぞれマイナス3.95と+5.88でしたので、1カ月先は見通しが悪化、3カ月先は株高の見通しが強まったことになります。

 7月の日経平均は最高値を更新した後、月末にかけて下落基調をたどっていたこともあり、今回のDIの結果からは、「目先は調整局面が続くかもしれないが、中期的な株高基調は変わらない」という様子がうかがえます。

 実際に、3カ月先の回答の内訳グラフを見ても、強気派の割合が34.59%と前回(29.72%)よりも増え、弱気派も前回の23.84%から22.08%へと減少しています。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成
※四捨五入の関係で合計が100にならない場合がある
出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成
※四捨五入の関係で合計が100にならない場合がある

 ただし、8月相場を迎えた日経平均は歴史的な急落から始まったことで、今回のDIが描いていたシナリオは修正を迫られることとなりました。

 月初からの3日間の下げ幅を終値ベースで確認していくと、1日(木)が975円安、2日(金)が2,216円安、5日(月)が4,451円安と、合計で7,600円を超え、インパクトの強い株価下落となっています。とりわけ、5日(月)の下げ幅は、1987年のブラックマンデー時の下げ幅を超えており、市場の一部からは「令和のブラックマンデー」という声も出ています。

 こうした株価の急落の要因としては、為替市場での円高が進行し、円キャリートレードの巻き戻しや国内輸出関連企業への業績下押し懸念が高まったこと、株価下落そのものが信用取引や先物取引の建玉の維持率悪化を招き、大量の追証発生とその解消が加速したこと、短期筋による売り崩しの動きなどが挙げられています。

 しかし、ここにきて、米国で景気後退への警戒感が浮上してきたことも注目されています。

 とはいえ、米国の景気については、確かに景気減速の兆候はあるものの、現在進行形で景気の悪化が進んでいるわけではなく、9月に米国が利下げを開始する見込みも変わっていません。

 注意が必要なのは、「経済データを確認しながら予定調和的に利下げを実施し、景気もソフトランディングしていく」というこれまでの見方から、「想定以上に景気が後退してしまい、FRBが利下げに迫られるかもしれない」という見方へと、同じ利下げ実施でも相場の視点が変化していることです。

 今後の株式市場は少なくともこれまでのような上昇パターンの再来は難しくなったと考えられ、経済指標や企業業績などの結果に一喜一憂しながら、実際の景気後退の進行度合いやスピード感を探りつつ、株式市場が先走って急落したことに対する「答え合わせ」をしていくことになりそうです。

今月の質問「パリオリンピック、あなたが注目した競技は!?」

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 ここからは、テーマを決めて行っている「今月の質問」について書きます。7月のテーマは「パリオリンピック、あなたが注目した競技は!?」でした。

 質問1では、パリオリンピック(2024年)で日本人選手がいくつ金メダルを獲得できると思うかを尋ねました。参考情報として、ロンドン大会(2012年)が7個、リオデジャネイロ大会(2016年)が12個、東京大会(2020年)が27個だったことを記した上で、六つの選択肢から選んでいただきました。

質問1:パリオリンピック(2024年)で日本人選手は、いくつ金メダルを獲得すると思いますか?

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成
※四捨五入の関係で合計が100にならない場合がある

 最も多くの人が選択したのが12個~26個(38.3%)でした。次いで7個~11個(36.2%)、わからない(12.7%)でした。12個~26個は、リオデジャネイロ大会と同じかそれよりも多く、かつ東京大会よりは少なくなるという選択肢で、7個~11個はロンドン大会と同じかそれよりも多くなるという選択肢でした。

 8月7日時点で12個と、リオデジャネイロ大会と同じ数を獲得しています。11日の大会終了まで主要な競技が残っているため、リオデジャネイロ大会より多くなる可能性もあります。

 質問2では、最も注目している競技について尋ねました。

質問2:パリオリンピックで最も注目している競技を教えてください(複数選択可)

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成
※四捨五入の関係で合計が100にならない場合がある

 最も多く選択されたのが、「柔道」(12.4%)、次いで「サッカー」(11.5%)、「バレーボール」(8.5%)でした。柔道やサッカーは、アンケート調査の実施期間に競技が開催されていたこともあり、より多くの注目を集めたのかもしれません。

 また、東京大会(2020年)からオリンピックの競技となった「スケートボード」(6.0%)や、今回のパリ大会から採用されたダンススポーツの「ブレイキン」(5.9%)など、オリンピックとして新しい競技も比較的多くの注目を集めました。

 質問3は、「オリンピック関連で注目できそうな株や業界はありますか?」として、今回の大会がどのような点で経済的な影響がありそうかを尋ねました。(128文字以内で自由記入)

 旅行業界やスポーツ業界、メディア業界、家電業界などに好影響があるのではないか? 有力選手が活躍した場合、その選手が所属する企業の株価が上昇するのではないか? 選手が使用するユニフォームやシューズなどを手掛ける企業に注目している、といった趣旨のコメントがありました。

 また、撮影用のドローンや、バレーボールでラインにかかるボールのイン・アウトの判定機器、赤外線を通さないユニフォーム、SNSの監視など、新しい技術が導入されていることに関心を示した方もいました。

 今大会では採用が見送られた「eスポーツ(エレクトロニック・スポーツの略で、コンピューターゲームなどを使って行うスポーツ競技)」が、将来的にオリンピックの競技になることを期待するコメントもありました。

 ここまで、「パリオリンピック、あなたが注目した競技は!?」というテーマで行った各種質問の回答結果をまとめました。今後もさまざまなテーマを用意し、個人投資家の皆さまのお考えを伝えていきます。

為替DI:8月のドル/円、個人投資家の予想は?

楽天証券FXディーリング部 荒地 潤

 楽天DIとは、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものです。DIがプラスの時は「円安」見通し、マイナスの時は「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示します。

出所:楽天DIのデータを基に筆者作成

 DIは「強さ」ではなく、「多さ」を測ります。DIは、円安や円高の「強さ」がどの程度なのかを示しているわけではありませんが、個人投資家の相場観が正確に反映されていると考えるならば、DIの「多さ」は同時に「強さ」を示すことになります。

「8月のドル/円は、円安、円高のどちらへ動くと予想しますか?」

 楽天証券がドル/円相場の先行きについてアンケート調査を実施したところ、個人投資家1,745人のうち67%の1,168人が、8月のドル/円は「円高/ドル安」に動くと予想していることが分かりました。前月は22%でした。

出所:楽天DIのデータを基に筆者作成
※四捨五入の関係で合計が100にならない場合がある

 円安見通しを持つ個人投資家の割合から円高見通しの割合を引いて求めたDIは、マイナス34になりました。円高予想が円安予想を上回ったのは昨年12月以来で、前月は+56でした。

 DIは、マイナス100から+100までの値をとり、DIのプラス値が大きくなるほど、円安見通しの個人投資家の人数が多いことを示し、逆にマイナス値になるほど円高見通しの個人投資家の人数が多いことを示します。ただしDIは「多さ」の指標であって、円高・円安の「強さ」を表すものではありません。

 7月のドル/円は、大幅な円高相場となりました。7月11日と12日の「為替実弾介入」で4円下落したあと、月末にかけては日本銀行の利上げを受けて、さらに8.50円に下落しました。8月に入っても円高は止まらず、米雇用統計が発表された2日には1ドル=146円台まで下落しました。7月の高値1ドル=161.99円から、わずか1カ月間で15.50円も円高に動いたことになります。

 個人投資家のほとんどは、秋までは円安相場が続くと予想していたので、値動きの激しさはもちろんのこと、円高にも十分な準備ができていなかったようです。

出所:楽天DIのデータを基に筆者作成

 円安は、中央銀行の政策相違を反映したファンダメンタルズ的な動きであることは明らかです。もし本当に「円安は好ましくない」と思っていたなら、日銀はもっと早く利上げすればよかったのかもしれません。そうすれば、20円以上も一気に円高になるような動きは回避できました。

 世界の主要中央銀行はデータに基づいた金融政策を行っているのに比べて、日銀はデータに基づかない金利引き締めを行っているために、マーケットに不要な乱高下を引き起こすと考えられます。

 日銀は、2013年4月に「量的・質的金融緩和」政策を導入して以来、10年以上も異次元緩和を続けてきました。

 しかし、その効果のほぼ全ては金融部門が吸収し、実体経済の支援にはなっていません。マイナス金利のおかげでゾンビ企業(経営が破綻しているにもかかわらず、金融機関や政府機関の支援によって存続している会社)が生き延び、日本経済の活性化を妨げているとの批判も多いです。それでも、日銀が金融緩和に固執したのはなぜでしょうか。

 それは「金融抑圧」をするためです。金融抑圧とは、インフレと低金利を組み合わせることによって、政府の債務を非常に低い金利でファイナンスし、究極的には膨張した政府の借金の棒引きを図ることを目的とする政策です。

 インフレとはモノの値段が上がることですが、相対的に円の価値が下がるということでもあります。借金をしている人(政府)は、インフレになれば返済するお金が少なくなります。

 お金の貸し手側(投資家や預金者)から見ると、受け取るお金の価値が減りますが、その分金利上昇による運用益(利息)が増えるため、市場原理が正常に機能している市場においては、プラスマイナス・ゼロになります。

 ところが日銀が人為的に国債利回りを低く抑えつつインフレを発生させることによって、借金をしている政府は、低利息で利払いを軽減させながら、お金の価値を減少させることで債務残高を縮小することが可能になります。

 インフレ率を2%以上にして、国債金利を0.25%に固定する状況を安定的に達成できたなら、日本政府の借金は30年後に実質的には半分近くまで減少するとの計算があります。これが緩和政策の究極の目的だといわれています。

 金融抑圧は、増税や歳出削減など痛みを伴う改革を行わずに済ませることができるので、借金を抱える政府にとっては良いことずくめでしょう。しかし、そのしわ寄せは貸し手である国民に来ます。

 緩和政策の副作用が円安となって現れているのははっきりしているのに、為替は管轄外だと日銀は見て見ぬふりをしてきました。政府も、問題なのは円安の「速度」だと強弁して、円安の悪影響を認めることは最後の最後まで拒んでいます。本音では「もっと円安になれ」と願っているからでしょう。

 しかし「円安」というのは、観光業など一部のセクターを除くと、多くの日本企業にとってかつてのような利益をもたらしていないのが事実です。製造業のほぼ4分の1はすでに海外に移転し、かつてのような為替レートとの関係も今は薄れています。

 アベノミクスは、日本を観光立国に変えてしまいました。2人に1人が大卒という超高教育国家の我が国において、国内の主要産業が「観光業」になってしまったのです。

 2023年訪日客の旅行消費額は計5兆2,923億円で過去最高となり、政府の目標である通年5兆円も突破しています。日本政府観光局(JNTO)によると、2024年5月の訪日外客数は304万100人(2019年比9.6%増)で、3カ月連続で300万人を超えており、円安が効果を上げているようです。

 このまま円高トレンドが始まってしまえば、インバウンド需要拡大で日本の景気を盛り上げるという政府のもくろみが崩れてしまうでしょう。政府は円高だけは絶対に阻止しようと考えているようです。

ユーロ/円

 楽天証券がユーロ/円相場の先行きについてアンケート調査を実施したところ、個人投資家1,311人のうち66%の861人が、8月は「円高/ユーロ安」に動くと予想していることが分かりました。前月は25%でした。

出所:楽天DIのデータを基に筆者作成
※四捨五入の関係で合計が100にならない場合がある

 円安見通しから円高見通しを引いたDIは、マイナス32になりました。前月は+50でした。対ユーロで円高予想が円安予想を上回ったのは昨年12月以来です。

出所:楽天DIのデータを基に筆者作成

豪ドル/円

 楽天証券が豪ドル/円相場の先行きについてアンケート調査を実施したところ、個人投資家1,184人のうち65%の768人が、8月は「円高/豪ドル安」に動くと予想していることが分かりました。前月は25%でした。

出所:楽天DIのデータを基に筆者作成
※四捨五入の関係で合計が100にならない場合がある

 円安見通しから円高見通しを引いたDIは、マイナス30になりました。前月は+50でした。対豪ドルで円高予想が円安予想を上回ったのは昨年12月以来です。

出所:楽天DIのデータを基に筆者作成

今後、投資してみたい金融商品・国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 今回は、毎月実施している質問「今後、投資してみたい金融商品」と「今後、投資してみたい国(地域)」で「特になし」を選択した人の割合に注目します。各質問の選択肢は、ページ下部の表のとおり13個です(複数選択可)。

図:「特になし」を選択した人の割合の推移

出所:楽天DIのデータを基に筆者作成

 2024年7月の調査で、「今後、投資してみたい金融商品」で「特になし」を選択した人の割合は6.85%、「今後、投資してみたい国(地域)」で「特になし」を選択した人の割合は5.85%でした。上図のとおり、今年3月以降、反発傾向が鮮明になっています。

「特になし」は、それぞれ13個ある選択肢のうちの一つです。「特になし」のほか、「今後、投資してみたい金融商品」には「国内株式」など、「今後、投資してみたい国(地域)」には「日本」などがあります。

「今後投資してみたい」具体的な事柄を選択する質問で「特になし」を選択することは、現時点で多くの事柄に投資意欲が湧いていないことを意味します。「特になし」を選択した人の割合が上昇する時は、投資家の皆さまの間で投資意欲が湧きにくくなっている時で、逆に割合が低下する時は、投資意欲が湧きやすくなっている時期であると言えます。

 上図のとおり、2020年の前半と2022年に「山」があります。前者は新型コロナショックの影響で投資してみたい金融商品や国(地域)が見つけにくく、投資意欲が湧きにくかった時期、後者は世界的な高インフレが進行したり、主要国の中央銀行が利上げを急いだりしたことにより、投資意欲が湧きにくかった時期に当たります。

 今年3月以降、新たな山ができつつありますが、その要因には、中東情勢が悪化したことや、それを一因として世界的なインフレが再燃しつつあること、米国の大統領選挙をめぐる動きに不透明感が出ていること、主要国の利下げへの思惑が後退していることなどが、挙げられます。

 実は今回のアンケートは、7月31日正午までの3日間にわたり行われました。つまり、今回のアンケートの結果には、日本銀行が追加利上げを決定したり、米国の雇用統計が極端に悪化したりしたことで発生した、世界的な同時株安はほとんど織り込まれていません。

 次回のアンケート調査は8月26~28日を予定しています。世界的な株安が終息していなければ、当該選択肢の回答割合はさらに上昇する可能性があります。まずは株価が反発するかどうかに、注目していきたいと思います。

表:今後、投資してみたい金融商品 2024年7月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータを基に筆者作成

表:今後、投資してみたい国(地域) 2024年7月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成

(楽天証券経済研究所)

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