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ドル/円急上昇、149円台へ。来週前半の円安のメドは?

トウシル / 2024年8月16日 10時12分

ドル/円急上昇、149円台へ。来週前半の円安のメドは?

ドル/円急上昇、149円台へ。来週前半の円安のメドは?

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「ドル/円急上昇、149円台へ。来週前半の円安のメドは?」

今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは149.95

下値メドは147.65 

 

インフレ期待:世代によって購入する商品が異なるから、インフレ期待も世代によって異なる 
ブラックリスト:米国のクレカの支払い滞納件数増加、コロナ前の件数超える 
米中貿易摩擦:国内消費を伴わない生産による成長目標達成計画は、貿易制裁の影響を受けやすい
生活防錆:ウォルマートCEO「消費者は食料品のような必要不可欠な商品以外の支出は減らしている」
スイス利下げ:政策金利1.25%、SNBは9月に再利下げ

前日の市況

 8月15日(木曜)のドル/円相場は前日比2.04円の「円安」。

出所:楽天証券作成

 2024年164営業日目は147.21円からスタートして、東京時間昼過ぎに147.05円まで下落したが、大台を割ることはなく、しばらくもみ合いを続けた。

 米小売大手のウォルマートが「個人消費に陰りは見えない」とコメントするなかで、NY市場に発表された米国の小売売上高の7月は前月比1.0%増と市場予想(0.4%増)を大きく上回り、2023年1月以来の大幅な伸びとなった。雇用関連のデータも堅調で、今月初めの米雇用統計発表以来くすぶっていた米国の景気後退不安が払しょくされた。米国株式市場ではS&Pが5,500ドルを回復。ドル/円は急上昇して、149円台に乗せると明け方には149.38円まで円安に動いた。終値は149.37円。24時間のレンジ幅は2.32円。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

週末から来週前半の「円安・円高のメド」

円安のメドは、
149.37円
149.78円
150.89円
153.90円
155.22円

円高のメドは、
147.05円
146.07円
145.42円
144.25円
143.61円

ドル/円:短期

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 短期:円安
 8月1日から8月15日までのドル/円のレンジは、141.68円から150.89円。
 レンジ幅は9.21円。
 高値と安値の50%(中間点)は、146.29円。

 安値と中間点の50%は143.98円。
 高値と中間点の50%は148.59円。現在のレートはこの水準より円安に位置。

ドル/円:中期

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 中期:円高
 7月1日から8月15日までのドル/円のレンジは、141.68円から161.95円。
 レンジ幅は20.27円。
 高値と安値の50%(中間点)は、151.82円。現在の水準は、中間点よりも「円高」。
 安値と中間点の50%は146.75円。現在のレートは、この水準よりも「円安」。

ドル/円:2024年

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 長期:円高
 2024年のドル/円のレンジは140.79円から161.95円
 レンジ幅は21.16円。
 高値と安値の50%(中間点)は、151.37円。
 現在の水準は、中間点よりも「円高」。

 安値と中間点の50%は146.08円。現在レートはこの水準よりも「円安」。

主要指標 終値

今日の為替ウォーキング

今日の一言

前進をしない人は、後退をしているのだ – ゲーテ

Can the Can

 円のキャリートレードは、黒田日銀がアベノミクスのもとで金利を著しく低下させて、円を金利の無い通貨に変えてしまって以来、増殖を続け最盛期にはその残高は約1兆ドル規模にまで膨れ上がった。

 新型コロナの世界流行でFRB(米連邦準備制度理事会)が緊急利下げに踏み切った時に米国との金利差は一時的に縮小した(日銀は利下げしなかった)が、2021年以降のFRBの利上げサイクルに転じたことで再び拡大に転じた。2024年前半も日米金利差は縮小することなく、 ドル/円が38年ぶりとなる161円台まで円安が進むなかで、円キャリートレードに対する需要は続いた。しかし、積み上げられたポジションの大きさは、同時にキャリートレードを解消するときのリスクの大きさでもある。

 キャリートレードは為替が安定してボラティリティ(値動き)が小さいことが重要な要素である。キャリートレーダーは金利差の変化に敏感だが、金利差の絶対水準よりも、その変化(拡大か縮小か)に対して強く反応する傾向がある。

 1998年10月に、米ヘッジファンドLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の破綻をきっかけとしてキャリートレードが急激に解消された時は、ドル/円は一日で10円の円高に振れ、さらにその後4日間で20円近く円高が進んだ。今回の場合は、金融システムに重大な問題が発生したわけではなく、株式市場も短期間で回復したため、大幅な円高につながることは避けられたようだ。

 最近の資料によると投機筋は、円クロスを含む円ショートポジションの80%をすでに手仕舞いし、ドル/円のロングポジションも1/3まで縮小した模様だ。ポジション解消に伴う急激な円高リスクは低下したようだ。

 FRB利下げサイクルにおけるキャリートレードの平均収益率は、平常時の半分程度に低下するというデータがある。FRBと日銀の金融政策の方向を考えるなら、キャリートレードが以前のような人気を取り戻すのは、しばらく先のことになるだろう。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成

今日の注目テクニカルレベル

出所:楽天証券作成

Winners & Losers

出所:楽天証券作成

(荒地 潤)

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