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SPECIALTALK 前編 私が過去、欲しかったもの森永康平さん×DAIBOUCHOUさん×ミニマリストゆみにゃんさん

トウシル / 2024年9月1日 11時0分

SPECIALTALK 前編 私が過去、欲しかったもの森永康平さん×DAIBOUCHOUさん×ミニマリストゆみにゃんさん

SPECIALTALK 前編 私が過去、欲しかったもの森永康平さん×DAIBOUCHOUさん×ミニマリストゆみにゃんさん

 充実した暮らしや老後の安心など「欲しいもの」を手に入れる手段の一つは、言うまでもなく「お金」です。しかし、いつの間にか目的と手段がすり替わり、お金を増やすことが目的になってしまうことがあります。その結果、本来の目的を見失ってしまうことも珍しくありません。

 そこで、金融教育などにも携わる経済アナリストの森永康平さん、山あり谷ありの投資人生を送ってきたカリスマ投資家のDAIBOUCHOUさん、YouTuberとしても活躍するミニマリストゆみにゃんさんの3人をお招きし、お話を伺いました。前編は、ご自身の失敗談を振り返りつつ「自分が過去欲しかったもの」と、「それによって得たもの、失ったもの」について掘り下げます!

(参加者)

森永康平さん
株式会社マネネCEO 経済アナリスト
証券会社や運用会社でアナリスト、ストラテジストとしてリサーチ業務に従事の後、アジア各国にて法人や新規事業の立ち上げに携わる。国内外複数のベンチャー企業の経営も手掛ける。2018年6月、金融教育ベンチャー、マネネを創業。現在はテレビやネットなど各種メディアでも活躍中。
X:森永康平|闘う経済アナリスト(@KoheiMorinaga
DAIBOUCHOUさん
個人投資家
投資を始めてわずか4年で、資産2億4,000万円を達成したカリスマ投資家。その後、資産10億円の大台に乗せるが、ライブドア・ショックで半分に減らすなど、山あり谷ありの投資人生を送る。投資関連記事の執筆や、投資セミナーの講師など幅広く活躍している。
X:DAIBOUCHOU(@DAIBOUCHO
ミニマリストゆみにゃんさん
YouTuber、ミニマリスト
大学卒業後、大手ゲームメーカーに就職。結婚、離婚などを経て、必要最低限のものしか持たないミニマリズムと出会い、自ら実践する。現在は、シンプルな生活スタイルや節約術などをYouTubeなどで発信。インデックス投資をメインに投資も行っていて、11年間で資産9,000万円を築いた。
ブログ:ミニマリストゆみにゃんのブログ
YouTube:ミニマリストゆみにゃん
X:ミニマリストゆみにゃん@10年で資産8,000万円でFIRE(@yuminyan_mini

手に入れてみたら、欲しいものとは違った

トウシル:まずは皆さんに、過去、皆さんが欲しかったものと、それを手に入れた結果、どう思ったのか、について、伺います。DAIBOUCHOUさんは、当然、「何かが欲しい」と考え、投資を始めたと思うのですが、いかがですか。

DAIBOUCHOUさん:最初は多くの人たちと同じで、資産を増やしたい、余裕のある暮らしを送りたいという思いで始めました。幸い、早いうちに資産1億円を達成できたので、その頃からは、会社を辞めて自由な暮らしを送りたいという思いが強くなりました。

トウシル:その後すぐ会社を辞め、専業投資家としてスタートされました。目的はいったん達成、ということですね。

DAIBOUCHOUさん:はい。ただ、その後は決して順風満帆ではなかったんですよ。信用取引を行っていることもあり、リーマン・ショックやライブドア・ショックのときには資産を半分に減らしてしまいました。このままFIRE生活を続けられるのか、そんな不安に襲われたこともあります。

トウシル:欲しいものを手には入れたものの、それを失いかけたこともあったということですね。

DAIBOUCHOUさん:はい。それでも投資を止めてしまうことなく、気持ちを奮い立たせてマーケットに立ち向かいました。失う怖さを一度知っているので、逆に今は何が起こっても動じない強さを手に入れられたと思っています。

一獲千金からの大暴落、そこからの回復、そしてさらに再暴落、とマーケットの底と天井を何度も経験したDAIBOUCHOUさん。「2024年夏の急騰急落も、ノーガードで食らい、大損に。信用取引をしており、信用比率が危険水準にならないように、売却もしました。暴落の損失は必要経費と諦めています」

トウシル:ミニマリストゆみにゃんさんも、投資などで資産を築いて会社を退職し、今はミニマリストという生活スタイルを実現して、多方面でご活躍されています。DAIBOUCHOUさん同様、今や、欲しいものを手に入れてしまった状態ですね。

ゆみにゃんさん:はい、ただ、私は最初からミニマリストを目指していたわけではないんです。子供のころ、家庭の事情から不登校になり、ゲームに没頭する毎日を送っていました。それで、いつしか自分が好きだったゲームを出している会社で働きたいという夢を抱くようになりました。

 つまり、当初、私が欲しかったのは、その会社でゲームに関わる仕事をすることだったんです。

トウシル:それは手に入れることができましたか?

ゆみにゃんさん:はい、大学卒業後、運よくその会社に就職できました。ただし、いざ手に入れてみたら、思っていたようなものとは違っていたんですよ。

 私が入社したのはリーマン・ショックの翌年ですが、まだ業績が低迷していて、リストラ真っ盛りで、新卒採用も制限し、後輩がしばらく入ってこない状態で、一人当たりの仕事量がハンパではなく、残業の連続で、月の残業時間は170時間を超えることもあって疲弊していました。

 それでも、ずっと憧れていた会社だったし、手放したくなくてがんばっていたのですが、徐々に精神的に追い詰められ、仕事は楽しいけど過労で体と心が壊れていきました。その結果、買い物でストレスを発散するようになりました。月々の給与やボーナスが入ると、洋服や靴、バックなどを手当たり次第、買いまくっていました。いわゆる買い物依存症です。

トウシル:今とは真逆ですね。

ゆみにゃんさん:はい、ミニマリストではなく、マキシマリストでした(笑)。ただ、買い物しまくったからといって現状抱えている問題が解決するわけではないので、結局、半年間休職することになりました。心療内科を訪れたら適応障害と診断されたんです。

欲しかったものを手に入れたが、逆に「手放してはいけない」という自縄自縛に苦しんだ、というミニマリストゆみにゃんさん。体が先に悲鳴を上げ、いったんそれを手放すことで「本当にこれって必要?」と考え直すきっかけになった。

トウシル:欲しいものを手に入れて、幸せになれるはずだったのに、現実は全く違っていた。逆に自分を追い詰める結果となってしまったわけですね。

ゆみにゃんさん:その通りです。

トウシル:森永さん、お2人の話を聞いて、どう思われましたか。ゆみにゃんさんのように、欲しいものを手に入れたと思ったら、想像していたものとは違ったというケースはよくあると思いますが。

森永さん:そういう経験のある人は少なくないでしょうね。僕の周りにも、ゆみにゃんさんのように、夢にまで見た会社に入ったのに職場の人間関係や労働環境に悩まされて、結局、それを手放すことで平穏に至った人も少なくありません。欲しいものが手に入っても、手放さないようにがんばることで余計に苦しくなるなら、手放したほうが楽になれますよね。

 また、DAIBOUCHOUさんのように、投資を手段として欲しいものを手に入れようとした方の中にも、「現状から逃げたい」という理由で投資に励んでいる方も多いのですが、残念ながらFIREに成功したという話はあまり聞きません。

 FIREできても、新たな悩みが降ってきてしまってるケースも多い。つまり、現実から逃避するために何かを始めてもそううまくはいかないということでしょう。

現実逃避が背景にあると、欲しいものを手に入れたとしても充足感は得られにくい、と森永康平さん。「今が嫌」を動機に動くと、目標に到達できても「思ってたのと違う」「やっぱり、これじゃない」が再発しやすい。

お金で幸せを手にすることはできるのか

トウシル:欲しいものを手に入れるための手段の一つが「お金」です。皆さんにとってお金とは何なのか、人生においてどんな役割を果たすものなのか、教えてください。

ゆみにゃんさん:これは今、振り返って思うことなのですが、ゲーム会社で働いていた20代前半のころは、どれだけ収入があるか、どれだけお金(高価なブランド品やぜいたくな住まいなども含む)を持っているかで、自分の価値が決まると思い込んでいたような気がします。お金が人の偏差値を決めるというか。

 だから、周りの友人や同僚に負けまいと、一生懸命働いて稼ごうとしたり、高価な洋服やブランド品で身を固めたりしていました。でも、そうやって努力したところで、満足感や幸福感は得られなかったですね。

トウシル:お金で幸せはつかめないということなんでしょうか。

ゆみにゃんさん:でも、じゃあ、幸せをつかむのにお金は必要ないかといったら、それも違うと思います。例えば、私はミニマリストとして活動していますが、皆さん、ミニマリストというと、ものを持たない主義の人と考えると思うんです。お金は必要最低限しかいらないみたいな。

 でも、私の考えは違います。自分にとって本当に大事なものだけを持つ、そうではないものを、必要最低限にするというのがミニマリストだと思っています。つまり、自分にとって大事なものにはお金をかける。

 実際、私は大の動物好きで、13年共に暮らしている愛犬がいるのですが、その子には食費にせよ何にせよ、お金に糸目をつけません。私自身は安売りスーパーで買ってきたもので十分なのですが(笑)。

トウシル:ただ、お金があったほうが心の余裕が生まれるのも確かです。

ゆみにゃんさん:それは大きいですよね。私はペットや旅行代以外は、お金を使わない生活を送っていますが、幸いなことに投資などで増やした資産があります。だから、いざというときには何とかなるという安心感があります。それが心の支えになっているから、ミニマリストとして平穏な日々を送ることができると思っています。

トウシル:DAIBOUCHOUさんにとってお金とは何ですか。資産が何億円にもなると、そんなこと、いちいち考えないかもしれませんが(笑)。

DAIBOUCHOUさん:いえ、そんなことはありません。例えば今回、歴史的ともいっていいような大暴落が起こり、投資家の多くが資産を減らしました。私自身も、金融資産のほぼ全てを株式にあてるフルポジション(信用取引をやっているので、フルポジ以上といえるかもしれませんが)を貫いているので、人にちょっと言えないくらい損をしました。ですので、いろいろ考えることがあります。

トウシル:投資家さんの中には、二度と投資なんかするもんかと、投げてしまった人もいそうですね。

DAIBOUCHOUさん:これまで散々似たような経験をしてきましたし、私の場合、投資を止めるという選択肢はありません。それに、株式市場というのは、長期的には発展していくものと考えています。今回のような大暴落が起こっても、いずれは回復し、株価が上がっていくものだと。

 もちろん、保有している銘柄の会社が、経営危機に陥るなどしたら、話は違います。しかし、今のところ、どの銘柄も、会社自体に問題があるようには見えませんし、減配にもなっていません。だから、資産を失って辛いのは事実ですが、心の平静を保つことができています。

 ただし、そんな心持ちでいられるのは、まだ余力が残っているからでしょう。ご存じのように、昨年から今年にかけて株式市場は絶好調で、私自身、大きく資産を増やすことができました。今回の大暴落で、その大半を持っていかれましたが、まだ十分といえるくらい資産が残っています。長年の蓄積によって築いたものがあるので、暴落にも耐えることができたと思います。

トウシル:DAIBOUCHOUさんにとってお金とは、その余力を維持するものといえそうですね。DAIBOUCHOUさんほどの資産家になると、もう欲しいものはほとんど手に入れている状態なのでしょうか?

DAIBOUCHOUさん:いえ。そもそも私は、物欲がほとんどないんです。何かの記念日に妻にバッグをプレゼントしたりはしますが、それ以外、高価なものを買うことはほとんどありません。車も持っていませんし。強いて言うなら、株仲間と飲み会を開いたり、友人と食事するとき、お金を使うくらいですかね。モノよりも人との交流にお金を使うことが多いですね。

SPECIALTALK 後編「私が今、欲しいもの 森永康平さん×DAIBOUCHOUさん×ミニマリストゆみにゃんさん」へ続く>>

(トウシル編集チーム)

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