円高再開か、円安復活か。 今夜の雇用統計、何を見たらいい?
トウシル / 2024年9月6日 10時35分
円高再開か、円安復活か。 今夜の雇用統計、何を見たらいい?
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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「「円高再開か、円安復活か。 今夜の米雇用統計、何を見たらいい?」FXマーケットライブ」
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは144.90円
↓下値メドは142.10円
前日の市況
9月5日(木曜)のドル/円相場は前日比0.27の「円高」だった。
今日は8月米雇用統計の発表日である。雇用統計の詳しい予想は「雇用市場が急回復なら、利下げは「なかったことに」?8月米雇用統計 詳細レポート」をお読みください。
雇用統計の後はウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁とウォラー理事のスピーチが予定されている。FRB(米連邦準備制度理事会)は来週からブラックアウト期間に入るため、当局者の「生の声」を聴くことができるFOMC(米連邦公開市場委員会)前最後のチャンスになる。両名ともFRBの金融政策立案における指導者的立場であり、9月利下げに関する重要なヒントが示されるとマーケットは期待している。
株式市場にとっては、一般的に0.25%より0.50%の金利低下の方がプラス材料になる。しかしFRBが米国のリセッション予想を強めた結果の大幅利下げだとすれば、マイナス材料になる可能性もある。
2024年179営業日目は、前日始値より約2円低い143.63円カらスタート。上値が重い状況が続くなか、NY市場でADPが発表した8月の米民間雇用者数は市場予想を大幅に下回り、2021年以来の低い伸びとなった。昨日のJOLTS求人件数に続いて労働市場の急減速を示す内容だったことでドル売りがさらに強まると、東京時間夜遅くには約1カ月ぶりに143円台を割り142.85円まで下落した。
その後は買い戻しが入り144.23円まで急反発したが流れを変えるほどの勢いはなく、押し戻されて終値は143.45円。24時間のレンジ幅は1.39円。
FOMCの利下げは確実だとしても、問題は引き下げ幅が0.25%カ0.50%になるかだ。
今回の雇用統計で、失業率が「4.5%に上昇する」カ、あるいはNFP(非農業部門雇用者数)が「10万人を下回る」弱い結果になれば、マーケットの0.5%利下げ確率は急上昇するだろう。
市場予想によると、 8月の雇用統計では、失業率が4.1%に0.1ポイント下落して、NFPは、前月より5.1万人多い16.5万人増となっている。一方で平均労働賃金は、前月比0.3%増、前年比3.7%増と、再び上昇する予想だ。
今は雇用市場の減速を心配しているが、わずか数カ月前までは雇用市場の過熱が止まらないと騒いでいたのだ。 前回の雇用者増加数は急減したが、リストラなどの理由ではない。直近3カ月の平均は17.0万人で、FRB(米連邦準備制度理事会)が適当と考える10万人カら20万人のレンジに収まっている。むしろインフレ率が持続的に2.0%に向けて低下するにはちょうど良い水準だといえる。
雇用統計の詳しい予想は「雇用市場が急回復なら、利下げは「なかったことに」?8月米雇用統計 詳細レポート」をお読みください。
週末から来週前半の「円安・円高のメド」
円安のメドは、
148.05円
147.34円
147.20円
145.56円
144.23円
円高のメドは、
142.85円
141.68円 8月5日 安値
140.79円 2024年 安値
140.24円
138.06円
短期:再び円高。安値更新
8月15日カら9月5日までのドル/円のレンジは、142.85円カら149.38円。
レンジ幅は6.53円。
高値と安値の50%(中間点)は、146.12円。現在のレートは中間点よりも「円高」。
安値と中間点の50%は144.48円。:現在のレートはこの水準よりも「円高」。
高値と中間点の50%は147.75円。:現在のレートはこの水準よりも「円高」。
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
風で強い草がわかる。雪で強い木がわかる。挫折して人間がわかる
Everybody Have Fun Tonight
BLS(米労働省労働統計局)が8月2日に発表した雇用統計では、7月のNFPは11.4万人増となり、事前予想の17.5万人増を大きく下回った。7月は悪天候の影響で、同月としては過去最多となる43.6万人が出勤できなかったことが影響した。また、6月の雇用者数は20.6万人カら17.9万人に下方修正された。失業率は4.3%に上昇した。これらは雇用市場の減速を示すものだが、悪化しているというほどでもない。数字が示しているのは、新型コロナ後から続いてきた「異常な成長」が落ち着き、米国経済がトレンドに戻ったということだ。
雇用統計の詳しい予想は「雇用市場が急回復なら、利下げは「なかったことに」?8月米雇用統計 詳細レポート」をお読みください。
2000年以降のFRBの利下げとその主な理由
FRBは過去30年間に8回、臨時会合での利下げを行ったが、その全てにおいてショックが株式市場にとどまらず広く拡大していた。債券市場では、資金の流れが目詰まりを起こし企業活動に支障をきたすリスクが発生していた。
今回の状況は、強いて言えば2001年1月と似ているが、その前年の2000年に2回(6月と10月)に雇用者数がマイナスに落ち込むなど、 当時の経済はかなり弱っていた。現在の米経済に、このような変調は見られない。
株式市場を安定させるためにFRBが引き下げ幅を0.5%にするという意見もある。しかし、FRBが対応するのはインフレと成長であり、株価の水準や相場のボラティリティではない。FRBが株式市場の下落に対して利下げするのは、相場のボラティリティが金融の安定を脅かす時だけだ。今のところ、そのような状況ではないし、景気後退の兆候を示す証拠もない。
今日の注目経済指標
注目テクニカルレベル
Winners & Losers
(荒地 潤)
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