ドルとユーロ、どちらを選ぶべきか? ECBが本当は利下げしたくない理由とは?
トウシル / 2024年9月12日 9時48分
ドルとユーロ、どちらを選ぶべきか? ECBが本当は利下げしたくない理由とは?
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは143.10円
↓下値メドは140.85円
ドル基軸通貨:中央銀行の56%が、今後5年でドル準備を縮小する考え
欧州政治:金融市場は不確実性の増大を嫌う
CPI:FRBは、政治的には重要だが経済的には意味のないCPIを重視しているため、利下げが遅れた
欧中貿易摩擦:中国EV追加関税:中国EVの優位性変わらず
米失業率:サーム・ルールを米国の42%の州で確認
前日の市況
9月11日(水曜)のドル/円相場は、前日比0.11円の「円高」だった。
米国時間10日夜に行われた米大統領候補者討論会でトランプ氏とハリス氏が直接対決したが、マーケットの反応はほとんどなかった。ただ、討論会の数時間後にテイラー・スウィフトが2億人のフォロワーに向けた投稿でハリス氏を支持する声明を発表したことが、トランプ候補の勝利確率を下げたとしてドルが売られた。
2024年183営業日目は142.39円からスタート。
東京時間昼過ぎに140.70円まで大幅下落して、ドル/円の年初来安値を更新した。日銀の中川審議委員が「現在の実質金利は極めて低い水準にある」と、将来の利上げに向けた考えを示したことが円買い材料になった。米大統領候補者の討論会後のドル売りと相まって一時ドル/円は1.50円を超える円高となった。
ただその後は買い戻しが優勢になり、夜遅くには142.53円まで反発した。終値は142.48円。24時間のレンジ幅は1.83円。
今日のFX市場は、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げテーマはいったん小休止して、ECB(欧州中央銀行)の政策金利に注目が集まりそうだ。
8月にユーロ/ドルは上昇して、対ドルで1年1ヵ月ぶりの高値となる1.12ドルをつけた。しかしその後は失速して9月11日には1.10ドル台割れ寸前まで下落している。なぜ、ユーロ高の勢いが続かなかったのか?ユーロが下落に転じたきっかけのひとつは、ドイツの8月CPI(消費者物価指数)が前月比マイナスまで下がったことである。ドイツはインフレも下がっているが、一方で経済も悪化していて、第2四半期の経済成長は、前期比マイナス0.1%に縮小した。ドイツの自動車大手のフォルクススワーゲン(VW)は経営悪化により、国内では初めてとなる工場閉鎖を決定した。労働組合との雇用保障協定も破棄して、近い将来大規模な人員削減をすると見られている。
ECBは、本日の会合で利下げすることはほぼ確実だが、9月以降については経済データを確かめてから決める考えだ。つまり、欧州の経済大国ドイツが苦境に陥っているというのに、まだ「利下げに後ろ向き」なのである。ECBは欧州の景気悪化よりもインフレ抑制を優先する姿勢を貫いている。これがECBを実際以上に「タカ派」に見せている。
それとは対照的にFRBは、インフレが目標値以下になる前に、パウエル議長がジャクソンホール会合で「インフレ勝利宣言」を出した。米国経済は堅調で、4-6月(第2四半期)の米GDP(実質国内総生産)は、前期比+3.0%に拡大した。それでもFRBは「予防的」に利下げを実施する。
FRBが弱気(ハト派)なのか、それてもECBが強気(ハト派)すぎるのか。マーケットがどちらの政策をより評価するかで、ユーロとドル方向が決まるだろう。
2024年 主要指標
今日の為替ウォーキング
今日の一言
トレーディングにおいては、不測の出来事を、それも極端な状況を考えておかなければならない - リチャード・デニス
Like A Rolling Stone
ECB(欧州中央銀行)は7月18日の定例理事会において政策金利を据え置くことを決定した。欧州でインフレ再燃のおそれがあるため、追加利下げを慎重に判断する必要があると考えたことが理由だ。
しかし6月の会合でECBは利下げをした。その時はインフレが落ち着いていたからと言うが、実際は経済状態よりもECB内の政治が理由だったようだ。6月の利下げをECB理事の面々がフォワードガイダンスとして強くアピールし続けたために、経済データは金利据え置きを示唆していたのに、引き下がることができなかったのだ。そのためか、今回のラガルドECB総裁は「今後の金利の方向性は事前に決めていない」と強調している。
政策変更を頻繁に繰り返せばECBに対する信頼は大きく損なわれる。ECBは7月の据え置きが、6月の利下げの間違いを認める結果になってしまったことで、欧州のインフレ下落を認識していながらも、利下げサイクルを開始することに非常に慎重になっているようだ。
あるエコノミストは、中央銀行総裁が経済の専門家ではないことに問題があると指摘する。ラガルドECB総裁やパウエルFRB議長は、二人とも経済の専門家ではなく、経済的イデオロギーを持っていないから、不正確なスタッフの予測に頼ったり、独自の解釈や思惑を持つ委員からの意見に簡単に影響されたりしてしまうというのだ。
今週の注目経済指標
今日の注目テクニカルレベル
ヒートマップ分析
(荒地 潤)
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