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9月米FOMC利下げ幅0.25%か0.5%か焦点に、年内、来年の金利見通しも相場を左右

トウシル / 2024年9月18日 16時0分

9月米FOMC利下げ幅0.25%か0.5%か焦点に、年内、来年の金利見通しも相場を左右

9月米FOMC利下げ幅0.25%か0.5%か焦点に、年内、来年の金利見通しも相場を左右

米利下げ0.5%観測高まり一時1ドル=139円、大幅利下げで市場混乱も

 9月16日、日本が祝日で休場の時にドル/円は1ドル=139.60円近辺へと1年2カ月ぶりの円高となりました。今週17、18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.50%利下げへの思惑と警戒感が強まり、ドルが売られる展開になりました。

 先週前半は0.25%の利下げ観測が大勢でしたが、先週後半に米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのFEDウオッチャー、ニック・ティミラオス記者が0.50%の利下げの可能性を示唆したことや、英紙フィナンシャルタイムズも0.50%の利下げが実施される選択肢はなお残っていると報じたこと、さらにダドリー前ニューヨーク連邦準備銀行総裁も0.50%の利下げを実施する強い論拠があるとの認識を示したことから、FOMCでの0.50%利下げ期待が再浮上し、警戒感が高まりドル安・円高となりました。

 先行きの米政策金利の織り込み度を示す米CME(シカゴ先物取引所)のフェドウオッチ(FedWatch)によると、9月の0.50%利下げ期待はCPI(消費者物価指数)発表後は30%程度でしたが、週明けは60%超となっています。

 ドル/円は日本の祝日中に1ドル=139円台を付けましたが、その日の内に1ドル=140円台後半の円安に戻しています。FOMCの前哨戦という感じですが、フェドウオッチの0.50%利下げ期待の60%超は期待が大き過ぎる印象です。

 また、17日の米8月小売売上高や鉱工業生産指数が予想を上回ったことからドル/円は1ドル=142円台半ばまで円安に行きましたが、0.50%利下げ期待の60%超は変わっていません。雇用市場は鈍化していますが、景気に大きなブレーキがかかっていない状況では、予防的利下げとしての0.50%利下げは大き過ぎるかもしれません。

 0.50%の利下げになった場合、市場予想通りとはいえ、再度ドル売りになることが予想されます。一方で、「0.50%の利下げをしなければいけないほど米景気は悪いのか」との警戒感が高まるシナリオも想定しておいた方がよさそうです。市場が悲観的になれば、米株安、金利低下、ドル安が予想されます。

 また、FRB(米連邦準備制度理事会)の大幅利下げや米景気悪化懸念は、日本銀行の追加利上げ時期を後退させるとの見方が強まり、円高にブレーキがかかるシナリオも想定されます。FRBのパウエル議長が記者会見で大幅利下げの背景を丁寧に説明しないと市場は混乱することも予想されます。

年内利下げあと何回?米FRB議長は追加利下げ示唆するか

 今回9月のFOMCでは、0.50%の利下げは温存され、0.25%の利下げになる可能性にも留意しておく必要があります。0.25%の利下げの場合、失望感からドルの買戻し(円安)が進むかもしれません。

 ただ、注意しなければいけないのは、FRBが追加利下げを強く示唆する場合です。FOMC後の記者会見でパウエル議長が年内複数回の追加利下げを示唆するかもしれません。あるいは、記者会見よりも早く公表されるFOMCの金利見通しでそのことが分かるかもしれません。ハト派色を強く示した場合、円安も限定的になり、度合いによっては円高に動くことも考えられます。

 FOMCの前回(6月)の金利見通しは、現在の政策金利(5.25~5.50%)に対して2024年末5.1%で、年内1回の0.25%の利下げというものでした。その見通しが今回どの程度下方修正されるのかどうかが注目です。9月利下げはほぼ確実と予想されるため、11、12月にも2カ月続きで利下げされるのか、あるいはどちらか1回か、そして利下げ幅はどの程度になるのかも焦点になります。

 CMEのフェドウオッチでは9月に0.50%、11月に0.25%。12月に0.50%の利下げ期待となっており、この市場通りの見方であれば、2024年末4.0%の見通しということになります。さすがに年内に0.50%の利下げ2回は多過ぎる感があります。

 9月を含めて0.25%刻みで3回の利下げであれば、市場はそれほど失望しないのではないでしょうか。さらに、2025年末の金利見通しで、前回の4.1%以下であれば、FRBへの利下げ期待は強まり、ドルの上値を重たくすることが予想されます。0.25%利下げの失望感によって円安に行っても抑制的な動きになるかもしれません。

日銀の追加利上げ後ろ倒しの可能性、ドル安円高の動き抑制も

 FOMCが終わっても19~20日には日銀金融政策決定会合が控えているため、相場も動きづらくなるかもしれません。政策金利は今回据え置きとの見方が大勢ですが、日銀の追加利上げ姿勢は変わらないと予想されます。しかし、FRBの利下げペースが焦点になる中では、日銀のタカ派姿勢継続のみでは円高反応も徐々に鈍くなるかもしれません。

 9月のFOMC、日銀会合の結果次第で次の方向を見極めることになりますが、今月は日本の自民党総裁選、11月の米大統領選挙が控えていることから、FOMC、日銀会合後のひと相場が終われば、ドル/円の動きも様子見になるとも予想されます。

 7月の1ドル=160円台から9月の1ドル=140円割れへと約20円の円高になったのは、日米の逆向きの政策変更が明確になったことが背景ですが、金利差自体はそれ程縮小していないことから、ドル安・円高の勢いも、当面、小休止となるかもしれません。米大統領選挙が終わる年末から来年初めにかけて、来年は日米の金利差が拡大していくとの思惑が強まり、再び円高へと動き出すことも考えられます。

 9月12日、タカ派の田村直樹日銀審議委員が講演で、2025年度後半以降に、「少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが必要だ」と述べ、段階的に利上げを実施すべきだとの考えを示しました。この通りに日銀の利上げが進むのであれば、日銀要因だけでも円高が進みそうです。

 しかし、欧米景気が鈍化し、利下げペースが速まると、日銀の追加利上げのタイミングは難しくなるのではないかとの見方が浮上してくることも予想されます。欧米の景気動向、利下げペース次第では、日銀の追加利上げ時期も後ろ倒しになることも予想されるため注意が必要です。

 日銀の追加利上げ時期が後ろ倒しになれば、日米金利差拡大ペースを鈍化させ、FRBの利下げによるドル安・円高の動きを抑制するシナリオも想定されるため留意しておいたほうが良いでしょう。

(ハッサク)

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