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「投資」と「投機」は何が違うのか。資産形成に有効なもの、必要ないもの

トウシル / 2024年10月5日 11時0分

「投資」と「投機」は何が違うのか。資産形成に有効なもの、必要ないもの

「投資」と「投機」は何が違うのか。資産形成に有効なもの、必要ないもの

 資産形成では預貯金に加えて、投資も行っていくことで大きく増やしていける可能性が高まります。資産形成を目的として、インデックスファンドへの積立投資をしている人もいれば、暗号資産などの値動きを見ながら日々売買を繰り返している人もいるかと思いますが、前者は投資、後者は投機だと筆者は考えています。

「投資」と「投機」、いったい何が違うのでしょうか。

 今回は、筆者が考える投資と投機の違いについてご説明します。

投資も投機も利益を得ることが目的

 投資と投機は必ずしも厳密に定義されているものでもなく、人によって異なった意味で使われていることもあります。そのため、本記事ではあくまで筆者が考える投資と投機という前提で、ご説明していきます。

 投資と投機について、いくつかの観点から比較しながら考えていきましょう。

さまざまな観点からの投資と投機(1)

 goo辞書(デジタル大辞泉)によると、投資、投機はいずれも利益を得ることが目的とされていますが、投機の方は「価格の変動」に注目していることが分かります。

 言葉の意味としては、投資は「資本に投じる」ですが、投機は「機会(チャンス)に投じる」ですので、受ける印象が異なってくるのではないでしょうか。

 さらに、それぞれの対象資産は、投資は「付加価値を生み出す資産」が適切ですが、投機は「価格が変動する資産」であれば基本的には何でも対象といえます。

 ここで「付加価値を生み出す」というのは、世の中に商品やサービスという形で価値を提供することで利益を生み出す株式や、人に貸し出すことで賃料収入が得られる不動産などがイメージしやすいでしょう。

 一方、価格が変動するという意味では、株式や債券などの有価証券の価格も変動しますが、金(ゴールド)、暗号資産、原油、為替レートなど、日々取引されて価格が変動するものであれば何でも投機の対象となりえます。

 同じ株式であっても、長期で保有し続けていけば投資といえますが、デイトレードのように短期で売買するのであれば投機といえるでしょう。

資産形成に有効な投資と、必要のない投機

 投資では、対象資産が価値を生み出し、それが投資家に還元されることでリターンとなります。一般的に価値を生み出すためには時間がかかりますから、投資でリターンを得るためには時間がかかります。株式会社が商品やサービスを提供して生み出す利益は1年よりも2年、2年よりも10年などと期間が長くなるほど生み出す利益の総額は大きくなると期待されます。

 一方、投機の対象となる資産の価格は日々変動していますので、安く買って高く売ることができれば、それほど時間をかけずに利益を得ることも可能です。しかし、これは裏を返せば、一瞬にして大きな損失を被ってしまう可能性もあるといえます。

さまざまな観点からの投資と投機(2)

 ゲーム理論という研究分野がありますが、その観点では、投資はプラスサムゲーム(参加者全員の損益合計がプラスになるゲーム)、投機はゼロサムゲーム(参加者全員の損益合計がゼロになるゲーム)といえます。

 投資では時間がかかっても、価値を生み出し、それを従業員や投資家などで分配しながら関係者が少しずつ利益を得ることになります。一方、投機では、短期間で安く買って高く売れたということは、取引の相手方は反対に安く売って高く買わされたことになりますので、両者の損益を合計するとゼロになる、つまりゼロサムゲームになるのです。

 このような意味で投機は勝つか負けるか、誰かとの勝ち負けといったイメージになりますが、投資は時間をかけて価値を生み出し、それを関係者で分配する、分け合うというイメージになります(株式のことを英語でshareとも言います)。

 筆者はこのように投資と投機を考えていますが、みなさんはどのように思われますか。このように整理していくと、資産形成では投資をしていくことは一つの選択肢になる(他の選択肢は預貯金など)と考えていますが、投機は必ずしも必要ないと考えています。

 確かに個別銘柄を探しながら短期的に売買していくことは楽しい一面もあります。しかし、それは趣味・エンターテインメントの一つとして、あらかじめ金額を決めてその範囲内でやるべきことではないでしょうか(例えば、スポーツや推し活などの趣味と同様)。

 投資と投機を混同して区別できていない方もいらっしゃるのではないかと思います。資産形成として投資を行っていくか、趣味や楽しみのために投機的な売買を行っていくか、しっかりと区別した上で取り組んでいただければと思います。

(横田 健一)

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