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日経平均の高値更新はいつ?米景気しっかり、円安株高に(窪田真之)

トウシル / 2024年10月8日 8時0分

日経平均の高値更新はいつ?米景気しっかり、円安株高に(窪田真之)

日経平均の高値更新はいつ?米景気しっかり、円安株高に(窪田真之)

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
石破総理はマーケットフレンドリーに、米景気しっかり 日経平均の高値更新はいつ?

石破ショックから持ち直した日経平均

 7日の日経平均株価は、前週末比697円高の3万9,332円でした。石破茂首相がマーケット・フレンドリーな政策方針を表明したことを受けて、「石破ショック」から立ち直りつつあります。

 それ以上に、インパクトが大きかったのが、米景気堅調を示す指標の発表です。10月に入って発表された、9月の雇用統計、9月のISM(米サプライマネジメント協会)景況指数が想定以上に強かったことを受け、米景気が冷え込む不安が低下しました。これを受けて、ダウ工業株30種平均が最高値を更新し、ドル高(円安)に戻りつつあることが、日本株の反発に寄与しています。

NYダウ・日経平均の日次推移比較:2024年7月1日~10月7日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

9月の米雇用統計強い、米利上げピッチ遅れるとの思惑も

 10月4日に発表された9月の雇用統計は、ポジティブ・サプライズ(強くて驚き)でした。非農業部門の雇用者は前月比25.4万人増と、景気好調とみなされる「20万人以上」の増加でした。完全失業率は4.1%と、前月比0.1ポイント低下しました。

 雇用が急速に悪化する不安があって9月18日にFRB(米連邦準備制度理事会)は0.5%の大幅利下げを実施しましたが、雇用悪化の不安がやわらいだことを受け、今後の利下げピッチが鈍化する思惑が出ました。それを受けて、ドル高円安が進みました。

米雇用統計:非農業部門の雇用者増加数(前月比):2021年1月~2024年10月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

米雇用統計:完全失業率:2021年1月~2024年10月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

 想定以上に良好だったのは、雇用統計だけではありません。10月4日に発表された9月のISM非製造業景況指数は54.9と、前月比3.4ポイントの大幅改善でした。製造業が50を割り込んでいますが、サービス産業を中心に米景気は堅調であることが示されました。

米ISM景況指数:2020年1月~2024年9月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

日経平均の高値超えはいつか?

 米景気ソフトランディングの可能性が高まったことを受け、当面日経平均は4万円に向けて上昇が続くと予想しています。それでは、7月11日の高値(4万2,224円)を超えていくのはいつごろでしょうか? それを考える上で、参考として、8月5日の暴落を過去の暴落と比較します。

 8月5日の日経平均は過去最大の下げ幅(下落率では2番目)で、令和のブラックマンデーとも言われます。これを、過去の3大危機(昭和ブラックマンデー・リーマンショック・コロナショック)と比較し、今回の危機がどれと一番似ているか考えます。3大危機との比較を踏まえた上で、令和ブラックマンデー後の日経平均が、次に高値更新するのは何カ月後くらいか、考えます。

令和ブラックマンデー後の日経平均を3大危機と比較:危機起点から5カ月の動き

出所:QUICKより楽天証券経済研究所作成、危機起点を100として指数化、令和ブラックマンデーは2024年10月7日まで

 上記グラフで、危機の起点として以下の年月日を設定しました。

◆令和のブラックマンデー:2024年7月11日(下落が始まる前の高値)

◆昭和のブラックマンデー:1987年10月19日(NYダウ暴落の日、日経平均暴落の前日)

◆リーマンショック:2008年9月12日(リーマン破綻が決まった15日の前営業日)

◆コロナショック:2020年2月12日(欧米株式が急落する直前の日経平均高値)

 3大危機から5カ月余りの日経平均の動きを比較すると、以下のことが分かります。

 昭和のブラックマンデー、コロナショックでは、半年くらいで日経平均は高値を更新しました。株価暴落によって危機的状況におちいったものの、半年くらいで景気はしっかり回復していったため、株価の回復も早かったと言えます。

 一方、リーマンショックでは、半年たっても、まだ株価は回復していませんでした。リーマンショックは、金融危機を伴う世界的な景気後退であったため、下落率が大きく、回復に時間がかかりました。

 令和ブラックマンデーがどういう暴落か、まだ完了していないので結論を出すことはできません。ただ、これまでに見えたことから判断する限り、昭和ブラックマンデーと類似点があります。

【1】先物主導で歴史的な下落率となった

 昭和ブラックマンデーは、NYダウが先物主導で暴落したことを受けて、日本に暴落が波及したものでした。令和ブラックマンデーも、これまでのレポートで解説した通り、海外投機筋による先物・オプション売買の影響で起こった暴落でした。

【2】株価が歴史的下落率となったものの経済危機にはならなかった

 昭和ブラックマンデーは、NYの暴落から始まりました。NYダウが歴史的下落率となったことを受け、世界恐慌の前兆かと不安視する声が広がりました。1929年にNYダウが暴落した後、世界恐慌が始まったことが、引き合いに出されました。

 ところが、1987年のブラックマンデーは、世界恐慌の前兆ではありませんでした。1988年には日本の景気も世界の景気も回復に向かいました。ブラックマンデーの株価暴落は、先物が引き起こした過剰反応であって、世界恐慌の前兆ではありませんでした。

 2025年にかけて米景気がソフトランディングし、日本の景気も緩やかな拡大が続くならば、日経平均は、来年1~3月にも高値(7月11日の4万2,224円)を超える可能性があると思います。

日本株の投資判断

 日本株は割安で、長期的に良い買い場との判断を継続します。米景気ソフトランディングの可能性が高まり、日本の景気も緩やかな拡大が続く可能性が高いとみています。

 ただ、日本株はこれからも急落・急騰を繰り返すと思われることから、リスク管理は大切です。割安な日本株を、時間分散しながら買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。

 最後に「株トレ」新刊出版のお知らせです。ダイヤモンド社より8月1日に、以下、私の新刊が出版されました。

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▼著者おすすめのバックナンバー

2024年10月7日:マーケット・フレンドリーは突然に。石破ショックから日経平均反発、円安へ(窪田真之)

(窪田 真之)

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