ウォーレン・バフェット指標は200%を超えている
トウシル / 2024年10月17日 17時14分
ウォーレン・バフェット指標は200%を超えている
世界のマネーサプライは107兆ドルと過去最高を記録
米国のマネーサプライは8月に21兆1,700億ドルに達し、2023年1月以来の高水準となった。これは米国のマネーサプライが5カ月連続で増加したことを意味する。
米国のマネーサプライ(M2)
バイデン大統領が政権をとってから米民主党は借金を50%も増やし、負債と資産を両方膨らませる自作自演相場を続けてきた。
米国だけではない。現在、世界のマネーサプライは107兆ドルと過去最高を記録している。世界中、ジャブジャブだ。米国のマネーサプライは一度縮小した後、米大統領選挙に向けてバラマキが続いているが、株式市場の上昇は、マネーサプライの増加を反映している。
世界の流動性 107兆ドルと過去最高を記録
S&P500CFD(日足)
日本では選挙相場で株高をはやす声もあるが、オーストリア経済学派のピーター・オンジェは、「日本は借金植民地になる。日本は支持率15%という驚くほど不人気なリーダーを解任した。問題は、新首相も同じように嫌われるということだ。なぜなら、GDP(国内総生産)の260%が借金で、日本経済は彼らの手に負えないからだ。数年後には私たち(米国)もそこにいるでしょう」と述べている。
日本の借金システムは日本の政治家に資金を提供する銀行や大企業に奉仕しているため、状況はすぐには変わりそうにない。日経平均株価は円安と米株高と日本銀行の「半年に1回の0.25%利上げ」というのらくら金融政策に支えられているが、膨大な負債と少子高齢化の中で、長期的な上昇要因は「インフレ」が焦点となるだろう。
日経平均CFD(日足)
円相場は石破茂首相の「利上げできる環境にない」という発言が、「日本は追加利上げを断念した」と海外では受け取られており、円キャリートレードが復活している。だが、冷静に見ると米国の長期金利に連動しているだけだ。
ドル/円(日足)
米国10年国債金利(黒)とドル/円(赤)の推移(月足)
米国も日本も中央銀行と政府が持続不可能な財政赤字と債務を永続させるために働いており、市場を国家主導のポンジスキーム(ねずみ講)に変えてしまった。
最近の株式市場は実体経済とはほとんど相関がないようだ。最初の投資家は、その後で投資した投資家によって株価が上がり、その結果、もっと多くの人が株式を購入するので投資収益を得る。宴は何かが新しいお金の流れを遮断するまで続き、突然全てがクラッシュする。
現在、ウォーレン・バフェット指標は200%を超えており、これは2000年と2008年の暴落という過去2回の危機よりもはるかに高い数値となっている。
バフェット指標とは、株式市場の時価総額と名目GDPの比率を計算した指標で、株価の割安・割高を判断する際に用いられる。バフェット指標が100を超えると割高とされ、株価が急落する可能性があるとみられている。ウォーレン・バフェットは、この指標が200%に近いときに株を購入するのは「大きなリスク」だと警告している。
米国のウォーレン・バフェット指標
米国が覇権を維持して生き残る唯一の方法は、何兆ドルもの紙幣を印刷することだった。市場をポンジスキームに変え、持続不可能で急速に増大する国家債務を管理していた。世界の政府債務は年末までに100兆ドルを超える見通しだ。だが、そんな時代は終わりに近づいている。
ゴールドCFD(週足)
米国の巨大な債務の壁が満期を迎える。発行残高28兆ドルの米国債のうち16兆ドルは6年で償還されてしまう。乗り換える時の金利が低ければ米国債なんて誰も買わない。
巨大な債務の壁と米国債の償還
ドルが武器化されている今、中国もロシアも誰も買わない米国債を買うのは日本だけである。買い手が足りないので、結局、米国はまたQE(量的緩和)をやる(自分で買うしかない)ことになる。問題は現在の粘着性のインフレ下の中でQEをやるには、経済の停滞や相場の急落といった大義名分が必要なことである。
個人投資家がバブル相場につぎ込んでいいのは、失ってもいいお金だけである。流行とかブームに乗ると、最後にはしっぺ返しが待っている。相場で一番大切なことは、大きな損をしないことだ。大きな損をすると、投資効率が死んでしまうからだ。だから、「事業としての相場とは何か?」と言えば、「分散」と「ストップロス」が全てである。
資産運用の究極の目的はインフレヘッジである。『フォース・ターニング (第四の節目)』のニール・ハウは、米国の再生と素晴らしい時代の前には「危機とインフレ」がやってくると警鐘を鳴らしている。危機に対してわれわれができることは、分散投資、ゴールドの保有、そして仲間と家族を大切にすることである。
10月16日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
10月16日のラジオNIKKEI『楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー』は、荒地潤さん(楽天証券FXアナリスト)をゲストにお招きして、「日米の金融政策と為替相場の行方」「米大統領選挙とメキシコペソ相場」「ウォーレン・バフェット指標は200%を超えている」「ASMLショック」というテーマで話をしてみた。ぜひ、ご覧ください。
ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
10月16日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
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(石原 順)
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