日経平均は衆院選や米大統領選前で上値重いが、長期投資で「買い」変わらず(窪田真之)
トウシル / 2024年10月22日 8時0分
日経平均は衆院選や米大統領選前で上値重いが、長期投資で「買い」変わらず(窪田真之)
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著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「日経平均は重大イベントを控え上値重い。長期投資で「買い」変わらず」
3回の円高ショックを乗り越えた日経平均、足元ふたたび上値重く
日経平均株価は、円高ショックから立ち直り、回復が続いてきましたが、3万9,000円台では戻り売り圧力も強く、また上値が重くなりつつあります。米景気ソフトランディング(軟着陸)期待が強まって、ダウ工業株30種平均(NYダウ)が最高値を更新しているのと対照的です。
NYダウ・日経平均の日次推移比較:2024年7月1日~10月21日(NYダウは10月18日まで)
上の日経平均チャートをご覧いただくと分かる通り、7月11日以降、日経平均は3度にわたり「円高ショック」に見舞われています。
7月には、米景気への不安から円高が急伸して日経平均は急落しました。8月5日には一日で4,451円安と過去最大の下げ幅を記録しました。
その後、「米景気はそんなに悪くない」との見方が広がり、円安に戻ると日経平均も急反発しました。ところが、9月にまた、米景気の不安、円高が再燃して、日経平均は一時急落しました。
その後、米景気は「けっこう強い」と市場コンセンサスが変わり、円安が進み、日経平均は一時4万円近くまで戻しました。ところが、9月30日に「石破ショック」【注】とも言われるミニ円高ショックがあって、日経平均は1,910円安と急落しました。
【注】石破ショック
金融市場が石破茂氏の自民党総裁就任に「円高株安」で反応した理由が二つあります。
【1】円高急伸
自民党総裁選で、日本銀行の利上げを批判している高市早苗氏が敗北、利上げを許容すると考えられていた石破氏が逆転勝利したことを受けて、円高が急伸しました。円高を嫌気して、日経平均が急落しました。
【2】石破氏は9月2日のBS日テレ番組で金融所得課税強化を「実行したい」と発言
石破氏が9月2日のBS日テレ番組で金融所得課税強化を「実行したい」と発言していたことが、不安材料となっていました。石破氏の総裁選勝利を受けて、金融所得課税強化の不安が高まり、日経平均が急落しました。
【注】金融所得課税の強化
株式の売買益や配当金などにかかる金融所得課税は、現在一律20.315%(復興特別所得税を含む)となっています。累進課税となっていないため、高所得者の恩恵が大きくなります。岸田文雄首相は、2021年の自民党総裁選で格差是正の一環として金融所得課税の見直しを公約に盛り込み、税率引き上げを目指していました。ところが、総裁選で勝った後に株価が下落したことに加え、多方面から反対が多かったことから、金融所得課税の強化は見送りました。石破氏は2日のテレビ出演で、この経緯に触れた上で、金融所得課税強化を「実行したい」と発言しました。
10月1日に首相に就任した石破氏が、「追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」「資産運用立国の方針を継承する」など、次々とマーケット・フレンドリー(株式市場に友好的)な発言を繰り返しました。それで日経平均は再び、戻り歩調となりました。米景気好調を示す指標の発表が続き、NYダウが最高値を更新したことも追い風となりました。
日経平均は、このように3回の円高ショックを乗り越えて、回復してきましたが、足元、上値が重くなりつつあります。
円高が「外国人売り」を招いた
米国株に比べて日本株の上値が重いのは、円高への不安が原因と考えられます。円高は、外国人投資家の売りを招くことが多くなっています。足元では円安が進んできましたが、先行き、米利下げが続くことで、円高になる不安は残っています。
日経平均とドル円為替レートの推移:2023年1月4日~2024年10月21日
いつもお伝えしているように、日本株は過去30年以上、外国人投資家の売買で動いています。外国人は買う時は上値を追って買い、売る時は下値をたたいて売る傾向が強いからです。
その外国人が、7月以降、売り越しに転じたことが、日経平均急落を招きました。外国人はその後も売り越し傾向が続いていますが、日経平均は急反発しました。8月9月は珍しく、外国人が売る中での日経平均急騰となりました。個人投資家の買いや、自社株買いなど国内勢の買いが、外国人の売りをこなして日経平均を上昇させる要因となりました。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2023年1月4日~2024年10月21日(外国人売買は10月11日まで)
日本株の投資判断
日本株は、長期投資で良い買い場との判断を継続します。ただし、短期的には上値の重い展開が続く可能性があります。
10月27日の衆院解散総選挙、11月5日の米大統領選、11月6~7日のFOMC(米連邦公開市場委員会)など重大イベントが控えていることに加え、これから本格化する7-9月決算を見極めたいとのムードが続くからです。
これらのイベントを大過なく通過し、米景気ソフトランディング、日本の景気の緩やかな拡大継続が見えてくるまでは、上値が重いと考えられます。
ただし、いつも述べているように、短期的な相場予測はあまり重要とは考えていません。日本株は割安で、長期的な上値余地は大きいと私は考えています。短期的な相場予測に過度にベットする(賭ける)ことなく、割安な日本株を時間分散しながら買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えます。
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(窪田 真之)
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