円を売らないことが「リスク」に? ドル/円 は151円台へ突入
トウシル / 2024年10月23日 11時19分
円を売らないことが「リスク」に? ドル/円 は151円台へ突入
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは151.30円
↓下値メドは150.60円
日銀:大幅でサプライズの利上げが、円安とインフレ是正の残された唯一の武器
米大統領選:ヘッジファンドはトランプ勝利をアンダーバリューしていた
雇用統計:FOMCは雇用統計の精度を疑問視。「就業者が実際よりも多い」
プラチナ:世界的供給不足に
英経済:労働党政権が増税を回避できるほど早く英経済を拡大成長させるのは困難
前日の市況
10月22日(火曜)のドル/円相場の終値は151.10円。前日比0.25円の「円安」だった。
米大統領選のトランプ候補の優勢が伝えられ、日本では石破自民党の衆院選挙単独過半数割れの予想が出るなか、米長期金利上昇によるドル高と、国内政治不透明感による円安の同時進行でドル/円が上昇した。
2024年212営業日目は150.67円からスタートした。東京市場から底堅い動きで、昼前につけた150.49円がこの日の安値となった。昼前には前日の高値(150.89円)を上抜けて151円台にのせた。未明には151.20円まで上値を伸ばしてこの日の高値をつけた。24時間のレンジ幅は0.70円。
わずか数週間の間に、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策に対するマーケットの評価は大きく変化したようだ。7月に利下げをしなかったことが失敗であるという議論が、一転して9月の0.5%は下げ過ぎだったという議論になっている。
米国のインフレ率はいまだ目標値を上回ったままで、ダウ平均株価は史上最高値を更新し、金先物は上昇の勢いが止まらない。米国の経済成長はトレンドを上回り、銀行の収益は良好だ。FRBが心配するような、引き締め状態には全く見えない。
FRBがデータ重視の政策を唱えながら、このような強いデータに基づいて0.50%の利下げを実施したのは辻褄が合わない。FRBがバックワード(振り返り)・ガイダンスからフォワード・ガイダンスに戻るリスクをおかす必要はないが、データが今後も強いままならば、その事実を率直に認める必要があるだろう。
投資家は、現在のマーケットの状況とFRBの政策をよく比較検討した結果、FRBが11月と12月に連続して利下げを行うことに懐疑的になっている。
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
過ちを犯したことを悔やんで、あれこれと取りつくろおうと心配するのは、たとえば茶碗を割って、そのかけらを集めて合わせてみるようなもので、何の役にも立たぬことである - 西郷隆盛
I'm In The Mood For Dancing
FOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーの多くが利下げに後ろ向きの考えを示していたのは、わずか3カ月前のことだ。6月のFOMC会合後に公表した経済見通し(SEP、Summary of Economic Projections)では、メンバーの過半数が今年の利下げ見通しを1回(以下)と予想していた。
パウエルFRB議長がその時心配していたのは、FRBが利下げすることで金融市場が急速に緩和状態になり、経済がオーバーヒートを引き起こすことでインフレ率を2%まで低下させるチャンスを台無しにしてしまうことだった。
ところが、FRBが利下げをためらっているうちに、米国の今年の失業率はわずか半年の間に3.7%から4.1%まで上昇した。リセッション時(景気後退期)以外で起きることはめったにないといわれるほどの急上昇である。
マーケットが、ファンダメンタルズを無視した緩和状況に逆戻りするというのは杞憂だ。より急激でより大幅な利下げが必要になるリスクが高まるなかで、FRBは、利下げもっと早くに開始するべきだったという見方は少なくない。
2021年から2022年にかけて米国でインフレが上昇し始めたとき、FRBは「インフレは一過性にすぎない」と痛恨の判断ミスをした。「早すぎる利上げは健全なインフレの芽を摘む」などという理屈でインフレが上昇するなかでも利上げすることに抵抗した。その結果、米国のインフレ率はギズモからアッと今に凶暴なグレムリンに変貌して、一時9%台まで暴走した。
9月のFOMC会合でFRBが異例の0.50%の大幅利下げを決断した理由は、3年前と同じ轍は踏まないという強い意志の表れだったのかもしれない。
今週の注目経済指標
今日の重要ブレークアウトレベル
コーンチャート分析
(荒地 潤)
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