円安の終わりの始まりか? 今夜の米雇用統計で大波乱も
トウシル / 2024年11月1日 10時13分
円安の終わりの始まりか? 今夜の米雇用統計で大波乱も
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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「「円安の終わりの始まりか? 今夜の米雇用統計で大波乱も」」
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは153.25円
↓下値メドは151.45円
中国AI: IT関連のスタートアップ企業が育たないのは中国政府の「規制の厳しさ」が理由
FRBと米大統領選:パウエル議長「金利決定において政治は考慮しない」
米利下げ:FRBが嫌うのは「利下げしてそれをすぐ取り消す(利上げする)こと」
米利下げ:利下げの理由は、「引締め水準の相対的調整」
ラテンアメリカ通貨:2015年以来の大幅安。今年の上昇分全て打ち消す。キャリー復活には時間
前日の市況
10月31日(木曜)のドル/円相場の終値は153.40円。前日終値比1.40円の「円高」だった。
2024年219営業日目は153.32円からスタートした。日銀がこの日の金融政策決定会合で政策金利を据え置くことは市場のコンセンサスだったが、今後しばらく日銀は政策変更に対して慎重なままとの予想から結果発表前にドル/円を買い増す動きがあり、東京時間昼前に前日の高値(153.49 円)を超えて、153.63円まで上昇した。しかし、結局これがこの日の高値となった。
日銀は31日の金融政策決定会合で、2会合連続で政策金利を0.25%で据え置くことを決定した。決定は9人の政策委員の全会一致。しかし日銀の植田総裁は「経済・物価が見通しに沿って推移していれば金利を引き上げる」考えを示したことで、日銀の年内利上げ観測が浮上した。これが引き金となってドル/円は一時152円を割れた。
海外市場では反発する場面もあったが、153.00円近辺で押し返されると、明け方には再び152円を割り、151.83円まで下落してこの日の安値をつけた。24時間のレンジ幅は1.79円。
FRB(米連邦準備制度理事会)が「金利は景気抑制水準まで高くなった」と考えているならば、米国景気見通しがこれほど強いのはどうしてなのか。あるいは、FRBとしては充分に利上げしたつもりだったが、中立金利が以前より上昇したために、以前考えていたほど引き締め状態になっていない可能性もある。いずれにしても、米国景気がまだ過熱状態にあるのならば、利下げよりも「利上げするべきだ」という議論になってくるだろう。
米国経済の好調の背景は、個人消費の強さだ。ドジャースとヤンキースのワールドシリーズのチケットは一枚20万円してもスタジアムは満員だった。雇用の安定や求人の多さなどが、将来の生活に対する不安をやわらげ、貯蓄よりも支出を増やすという行動となって表れているのだ。
しかし、実際は支出が前倒しされているだけのことだ。2025年には、その反動で急速な消費の落ち込みが発生するリスクがある。来年第1四半期には、雇用市場の就業者数がマイナスになる可能性が高いといわれている。積極的な消費行動は今年が最後かもしれない。
今夜の雇用統計の詳しい解説は「雇用者急減、景気不安再燃、FRB利下げで円高」リスクを忘れていませんか?10月米雇用統計 詳細レポート」をお読みください。
週末から来週前半のドル/円 サポートとレジスタンス
レジスタンス:
155.22円 07/30 H
153.90円 07/31 H
153.87円 10/28 H
153.86円 10/29 H
153.63円 10/31 H
サポート:
151.83円 10/31 L
151.46円 10/25 L
150.97円 10/23 L
150.49円 10/22 L
149.09円 10/21 L
ドル/円短期:(高値+安値)x 1/2 =148.41円
10月1日から31日までのドル/円のレンジは、142.95円から153.87円。
レンジ幅は、10.92円。
高値と安値の50%(中間点)は、148.41円。現在のレートは中間点よりも「円安」 に位置する。
高値と中間点の50%は、151.14円。::現在のレートはこの水準よりも「円安」。
2024年 主要指標
今日の為替ウォーキング
今日の一言
わが国には、言葉では言い表せぬほど尊い宝物が三つある。それは、言論の自由と良心の自由と、その両者を決して使おうとしない慎重さだ - マーク・トウェイン
Born to Run
9月雇用統計レビュー
米国の雇用市場は、本当に減速しているのだろうか?
前回9月の米雇用統計によると、NFP(非農業部門の新規雇用者数)は25万4,000人増加し、予想(13.0万人増)を大きく上回った。さらに8月のNFPは14.2万人増から15.9万人増へ修正された。失業率は4.1%に低下し、前月の4.2%から改善した。平均時給は前月比で0.4%、前年比で4.0%増加し、賃金の伸びも予想(0.3%、3.7%)を上回っている。
広範囲の業種で雇用が増え、雇用者増加数の6カ月平均は17.7万人になった。米国経済の成長トレンドと合致した増加数は、15.0万人といわれているから、雇用市場の新型コロナ後の過熱状態が依然として続いていることになる。企業は従業員を繋ぎ止めるために賃金を引き上げているから、平均労働賃金は再び上昇傾向を示している。最新の賃金データは、FRBの目標値を上回るインフレ率3%の環境を示している。
前回の雇用統計の結果が示しているのは、米国の労働市場は相変わらず堅調だということだ。リセッションのリスクは低下したが、インフレのリスクは低下していない。それどころか再上昇のサインが点滅し始めた。これは、FRB(米連邦準備制度理事会)が、景気後退回避とインフレ低下を理由に実施した9月大幅利下げに対して疑問を投げかけるものである。
FRBは今後も25ベーシスポイント(0.25%)の利下げが続くと予想しているが、今回の雇用統計と前月の上方修正により、少なくとも年内の0.50%の大幅利下げの可能性はなくなったと考えられる。
今回の雇用統計は、大型ハリケーン「ミルトン」や米東海岸の港湾ストライキの影響で悪化する可能性が高い。しかし、ウォラーFRB(米連邦準備制度理事会)理事は「FRBは雇用統計の一時的なブレに過剰反応するべきではない」と述べている。
今週の注目経済指標
今日の注目テクニカルレベル
Winners & Losers
(荒地 潤)
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