米インフレ再上昇のおそれで利下げは年内で終了も?ドル/円は155円台まで円安
トウシル / 2024年11月14日 9時48分
米インフレ再上昇のおそれで利下げは年内で終了も?ドル/円は155円台まで円安
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは155.85円
↓下値メドは154.60円
ドル:米景気減速下では「ドル高 」になりやすい
円高:歴史的に円のトレンド変化は、 FRB利下げサイクル、米リセッション、為替介入で起きる
株価下落:株価の下落時は、損失回避の行動により上昇時に比べて動きは加速する
英利下げ:BOEが利下げサイクル入り。今後3年で英インフレは1.5%に低下
ラグジュアリー部門:中国景気後退でラグジュアリー部門の成長悪化。売上がコロナ前より14%減
前日の市況
11月13日(水曜)のドル/円相場の終値は155.47円。前日終値比1.29円の「円安」だった。
米大統領選後からのトランプトレードはこの日も続いた。
海外投機家は10月の大幅なドルショートを、米大統領選直後から大幅なドルロングへとポジションを180度切り替えている。さらにドイツ経済の暗い見通しや英国の財政悪化が、ユーロやポンドの下落を加速している。
2024年228営業日目は154.55円からスタート。
この日発表された米国の10月CPI(消費者物価指数)は事前予想通りの結果となった。インフレ率が上振れしてFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが減ることを警戒していたマーケットは、この結果にドル売りで反応した。ドル/円は東京時間夜遅くに前日の安値(153.41 円)を超えて154.38円まで下落した。
しかし、今回のCPIを受けてFRB高官からインフレ再上昇リスクを警戒する発言があったことや、トランプ次期大統領の政策が米国のインフレを加速させるとの見方が強いなかで再びドル買いが優勢となると、明け方には7月30日の高値(155.22円)を超えて155.62円まで上昇してこの日の高値をつけた。24時間のレンジ幅は1.29円。
10月の米消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前月比+0.2%で、4ヵ月連続で同じ伸びとなった。前年比は+2.6%で、3年半ぶりの低水準となった前月の2.4%から上昇した。コアCPIは3.3%で、3ヵ月連続で同率の伸びとなったものの、ここ数年で最も低い水準にとどまっている。
中古車価格が2022年11月以来の高さになったことがCPIを下げ止めた。ただ価格は今後低下する見込み。一方で、今回大きく下がり、CPI上昇抑制に貢献したアパレル価格の下落は、月の変動が大きいためインフレ低下の確かな証拠とはなりにくい。OER(所有者居住相当家賃)は、8月に0.5%と急上昇したあと9月には一転0.3%まで低下してが、10月には0.4%上昇と下げ渋り状態が続いている。
全体として10月CPIは予想よりやや強かったが、ひどく高かったわけではない。しかし、ムサレム・セントルイス連銀総裁はコアCPIの上昇リスクを懸念するなど、FRBは慎重姿勢を強めている。
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
相場は、気合だけでは勝てない。大きく稼ごうと思っても稼げない。爆益か微益かは相場が決めることだ
Free Fallin'
11月FOMCレビューと今後の利下げ見通し
FOMC(米連邦公開市場委員会)は11月6、7両日に開催した定例会合で、主要政策金利を0.25ポイント引き下げることを決定した。これにより、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは4.5-4.75%となった。決定は全会一致。声明では、インフレが持続的に2%に向かいつつあることに関して「自信を深めている」との文言が削除され、インフレは当局の目標に向けて「進展した」と記した。
パウエルFRB議長は会見で、インフレ率が目標に向けて持続的に下がっていることを確認しつつ、経済成長と労働市場の強さを維持する自信を示した。ただし、FRBはフロントランニング的な金融政策をするつもりはなく、今後の利下げについても、経済成長を「時価評価」して、会合毎に決定すると述べた。パウエルFRB議長は9月のドットチャートで示された2025年の1.0%利下げの妥当性については明言を避けたが、中立金利に近づいていた場合には利下げペースを緩やかにする可能性があることを述べた。
また、パウエルFRB議長は大統領選の結果が、近い将来の金融政策に影響を及ぼすことはないと言明した。またトランプ次期大統領から辞任を求められてはいないし、求められたとしても応じるつもりはないと述べた。
FRBは、中立金利までの利下げを急がない考えのようだ。CPIの上昇率も横ばい状態が続いていて大きな進展が見られない。FRBは市場の動揺を避け、成長カーブより前でいるために、12月に0.25%の追加利下げを実施する可能性が高いが、来年の利下げ幅は狭まる可能性がある。
今週の注目経済指標
今日の注目テクニカルレベル
ヒートマップ分析
(荒地 潤)
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