「株価急騰しているけど今から買っても大丈夫?」に対する一つの考え方
トウシル / 2024年11月21日 11時0分
「株価急騰しているけど今から買っても大丈夫?」に対する一つの考え方
初心者投資家から圧倒的に多い質問とは?
筆者は株式投資を25年以上実践していますが、その間さまざまな個人投資家からの質問を受けました。
実は個人投資家からの質問の内容は大体似通っていて、株価が大きく上昇しているときに圧倒的に多い質問が「今から買っても大丈夫ですか?」というものです。
足元では米国大統領選挙でトランプ氏が勝利した後、暗号資産が急騰したり、為替相場で円安が急速に進行しています。「暗号資産を今から買っても間に合いますか?」というのも極めて多い質問です。
それらに対する筆者の回答は極めてシンプルです。「そんなこと、分かりません」です。
これは何もご質問者の方に意地悪をしているわけではなく、本当に株価がどこまで上がるか、そして今から買っても間に合うかなど分からないので、その通りに答えているだけです。
とはいえ、それだとあまりに適当な回答だ、と言われてしまいそうですので、筆者がどのように対応しているかをお伝えしたいと思います。
筆者の行動基準は「大きな損失を被る可能性が高いかどうか」
上で述べたように、株価が大きく上昇している株を今から買って間に合うかどうかは分かりません。
であれば、別の切り口から買うかどうかを判断した方が良いと思っています。それは「今から買ったとして、大きな損失を被る可能性が高いかどうか」です。
筆者であれば、25日移動平均線割れで売却・損切りというルールで基本的に動いているので、25日移動平均線からの乖離(かいり)率がすでに大きくなっている場合は買いません。
もし買った後株価が下落に転じた場合、25日移動平均線割れで損切りとなったときの損失がかなり大きくなってしまうからです。具体的には乖離率5%超だとめったに買いませんし、10%超ならまず買いません。
これをもっとざっくりと表現するならば、「乗り遅れたな…」と感じたらもう買わない、ということです。
株価が一本調子で上がっていると、まさに天まで上るような上昇をするのではないかと錯覚してしまいますが、ある日突然急落することが頻繁にあるのが株価です。
過去、株価が急騰したケースの株価チャートを見ていただければすぐ分かるはずです。
株価が短期間に大きく上がれば上がるほど、急落のリスクも高まる、ということは押さえておくべきです。
損失を許容できるのなら飛びつき買いも一考だが…
なお、筆者も時には25日移動平均線からの乖離率が5%超とか10%程度の銘柄を飛びついて買うこともあります。その銘柄をどうしても欲しい、ということがたまにあり、そういう場合には普段のルールを逸脱して買ってしまいます。
ただこの時も、飛びつき買いの後に株価が下落して損切りとなった場合、損失が大きくなることを許容できるかどうか、というのがポイントです。
ですから、飛びつき買いをするときはあまり多額の資金を投下しないようにしますし、頻繁にこのようなタイミングで買うこともしません。
毎回、移動平均線からの乖離が大きいところで買うことを繰り返していると、塩漬け株になってしまう銘柄が一定割合で生じます。投資期間が長くなればなるほど塩漬け株に苦しむことになってしまう恐れがあります。
株式と暗号資産は考え方がだいぶ異なる
最近は、株式だけ、FXだけ、というよりは、利益を得られそうなものは株でもFXでも先物でも暗号資産でも、何でも手掛ける、という方が増えている印象を持ちます。
そういう筆者もさまざまな投資をしているわけですが、特に「株式」と「暗号資産」とは考え方がだいぶ異なります。
株価が形成される要因は「企業価値」です。平たく言えば、今後その会社がどれだけ利益を上げて、企業価値を向上させて、株主に配当金や株価上昇で還元してくれるか、で株価は決まっています。
ですから、いわゆる「理論株価」というものが計算できます。もちろん、実際の株価は理論株価とは同じとならないケースが圧倒的に多いのですが、株価が大きく上昇している株を買おうとする際の判断材料となるのは間違いありません。要は、ファンダメンタルにより株価が割高なのか、割安なのかが判断できるということです。
従って、株価が急騰していても、企業価値からすればまだまだ割安、と言えるのであれば、上記で説明したような損失拡大の防止策を取りつつ、飛び乗ってしまうというのも一つの考え方です。
ところが、暗号資産の場合は、暗号資産そのものが利益を生むことはないので、ファンダメンタル分析ができないのです。その結果「理論価格」も計算できません。
筆者自身も暗号資産への投資をしていますが、正直申し上げて、ゼロになるかもしれないし100倍になるかもしれないという覚悟と期待で投資しています。言ってみれば「宝くじを買う」感覚です。
もし、毎年企業価値を生み出し続けている株式であれば、多少高値づかみをしたとしても、我慢して持ち続けていれば買値を上回ってくれる可能性は高いでしょう。
でも暗号資産の場合は、高値づかみをしてその後価格が大きく下がった場合、再び買値まで戻るかどうか正直不透明です。
筆者の場合、株式と暗号資産で投資手法が大きく異なっている
ですから、株式よりも暗号資産の方が、買い時の決定はよりシビアになるべきだと思います。筆者は株式と暗号資産とでは、いつ買うか、買った後どうするかが全く異なります。
具体的には、株式であれば株価が下がっている間は買わず、上昇トレンドになったら買い、上昇トレンドを維持している間は保有して利益を伸ばし、下降トレンドに転じたら売却する、というルールにしています。
一方で暗号資産の場合は、「〇〇ショック」のように価格が急落したときのみ買うようにし、買った後はそのままバイ・アンド・ホールドするようにしています。
暗号資産は日々の値動きが大きいため、株式と同じように価格のトレンドに応じて売買しようとしても、適切なタイミングでの売買がしづらいです。結局は持ち続けていた方が利益を伸ばせることになると思いますし、筆者自身は今のところそうなっています。
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(足立 武志)
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