NYダウ最高値だが製造業は世界的に不振、年末対策は?(窪田真之)
トウシル / 2024年11月25日 8時0分
NYダウ最高値だが製造業は世界的に不振、年末対策は?(窪田真之)
NYダウ最高値でも日経平均は上値重い
先週(営業日:11月11~15日)の日経平均株価は、1週間で359円下がって3万8,283円となりました。先々週(営業日:11月5~8日)はトランプ・ラリーが波及して日本株にも外国人買いが入り、日経平均が上昇しましたが、トランプ・ラリーが一服すると日経平均は2週続落となりました。
ダウ工業株30種平均(NYダウ)は11月22日も史上最高値を更新、ナスダック総合指数(ナスダック)も高値圏で推移しています。米国株が強いのに、日本株は上値が重くなっています。企業業績の差が、日米の株価の差につながっています。
アマゾン・ドット・コム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット クラスA(GOOGL)、エヌビディア(NVDA)など大手ハイテク株・半導体株の決算が好調で、米国株の上昇を支えています。一方、日本株の9月中間決算はさえない内容でした。
日経平均週足チャート:2024年1月4日~11月22日
2024年の日経平均は、3万8,000~4万円のレンジを中心とした展開となっています。3月と7月に上値をトライしましたが、失敗しました。8月には、下値をトライしましたが、それも失敗しました。10月・11月は、3万8,000~4万円のレンジの往来相場となっています。
外国人売買が、日経平均を急落・急騰させている
過去30年以上、日本株を動かしているのは、外国人投資家です。外国人は買う時は上値を追って買い、売る時は下値をたたいて売ってくるので、短期的な動きはほとんど外国人によって決まっていました。
日経平均と、外国人投資家の日本株売買動向(売り越し・買い越し):2024年1月4日~11月22日(外国人売買は11月15日まで)
2024年も日経平均はほとんど外国人の売買で動いていますが、8~9月は珍しく外国人が売り越す中で、日経平均が急反発しました。8~9月は、自社株買い・年金基金の買い増しが日本株を上昇させる要因となりました。事業法人の自社株買いは、8~9月だけで2兆円超出ています。
2024年は12兆円を超える自社株買いが見込まれ、自社株買いが日本株の最大の買い主体となる見込みです。
9月中間決算は内容が良くない
日本企業の9月中間決算が出そろいました。東証プライム上場企業の今期(2025年3月期)連結純利益(会社予想)は、わずかに上方修正されました。会社予想ベースでは、前期比微増益で、過去最高益を更新する見通しとなりました。その意味ではトータルで悪い決算ではありませんでした。
東証プライム3月期決算主要841社の連結純利益(前期比%):2020年3月期~2025年3月期(予想)
ただし、円安メリットがあったにもかかわらず、自動車など製造業が不振であったことから、「内容が良くない」決算です。製造業の不振を、金融などがカバーした決算でした。銀行・損保など金融業は、金利上昇が増益に貢献しています。それに加えて、持ち合い株式の売却益も拡大して、好決算につながりました。
また、ソフトバンクグループ(9984)の増益も、製造業の不振をカバーしました。金融やソフトバンクグループの大幅増益によって、覆い隠された形ですが、中身としてはあまり良い決算と言えません。
製造業不振が世界的に広がっている
気になるのは、製造業不振が日本だけでなく、米国、欧州、中国にも広がっていることです。世界的に製造業の景況が低下しています。日本は円安が製造業に追い風になっていますが、円安を除くと、製造業はかなり悪化しています。
以下は、米国のISM(米サプライマネジメント協会)景況指数です。米国は製造業が不振でも、非製造業(サービス産業)が好調なので、景気は堅調を保っています。
米国ISM製造業・非製造業景況指数:2020年1月~2024年10月
日本株の投資方針、年末対策
日本株の投資方針については、いつも述べていることと、変わりません。日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいと考えています。日経平均は5年以内に5万円まで上昇すると予想しています。
ただし、企業業績のモメンタムが低下していることから、短期的には上値の重い展開が続く見込みです。トランプ・ラリーが終わり、トランプ・リスクが顕在化する局面では、一時的に下値を試す可能性もあります。
日経平均は、これからも急落・急騰を繰り返すと思います。時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。
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