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[今週の株式市場]なるか?日経平均4万円台定着~「不確実性のトランプ」&「企業決算」&「FOMC」~

トウシル / 2025年1月27日 12時5分

[今週の株式市場]なるか?日経平均4万円台定着~「不確実性のトランプ」&「企業決算」&「FOMC」~

[今週の株式市場]なるか?日経平均4万円台定着~「不確実性のトランプ」&「企業決算」&「FOMC」~

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の土信田 雅之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
【テクニカル分析】今週の日本株 なるか?日経平均4万円台の定着~不確実性のトランプと企業決算とFOMC~<チャートで振り返る先週の株式市場と今週の見通し>

 先週末1月24日(金)の日経平均株価は3万9,931円で取引を終えました。前週末終値(3万8,451円)からは1,480円高、週間ベースでも2025年相場に入って初めての上昇となりました。

 前回のレポートでも指摘したように、先週の国内株市場は、トランプ政権2.0のスタートと、日銀の金融政策決定会合の「2つの試練」を迎えたわけですが、その初期反応は、週末の日経平均終値が示す通り、良好だったと言えます。これに加え、米トランプ大統領が米国内で巨額のAI投資計画が行われる旨を表明したことも、日米の株式市場にとって追い風となりました。

 さらに、翌25日(土)の朝方に取引を終えた、日経225先物取引のナイト・セッション(夜間取引)でも、大阪取引所の終値が4万0,480円と一段高していることもあり、今週は、日経平均の4万円台乗せの定着や、その先の上値トライの動きが出てくるかに期待したいところではあります。

 その一方で、日米で相次ぐ決算をはじめ、FOMC(米連邦公開市場委員会)やECB(欧州中央銀行)理事会といった金融政策イベントが予定されているなど、先週に負けないぐらい注目イベントが多く、その都度出てくる材料に反応しながら、株価の方向感を探って行くことになりそうです。

日足チャートの日経平均は上値を試しやすい?

 早速、いつものように、先週の日経平均の値動きからチェックして行きます。

図1 日経平均(日足)の動き(2025年1月24日時点)

日経平均(日足)の動き(2025年1月24日時点)
出所:MARKETSPEEDII

 冒頭でも触れた通り、先週の日経平均は週を通じて上昇基調が続きました。上の図1でも、日経平均が前週末17日(金)の安値(3万8,055円)から、週末24日(金)の高値(4万0,279円)まで、ちょうどレンジ相場の下限から上限まで駆け上がっていた様子がうかがえます。

 また、5日移動平均線に注目すると、下向きから上向きへクイっと転じていることが確認できますが、チャートを昨年9月まで遡ると、似たような形状があったことが読み取れます。

 あくまでも経験則ではありますが、短期の移動平均線がこのような形状となった場合、買いの勢いが結構続くことが多く、足元の日経平均は上を目指しやすい形状となっています。週初の段階で昨年12月27日の高値を超えることができれば、「もうひと伸び」できるかもしれません。

 次に、ローソク足の並びに注目すると、「試練」とされていた、トランプ政権2.0のスタートを受けた21日(火)と、日銀金融政策決定会合の結果が公表された24日(金)は、ともに陰線となっています。

 そこで、この21日(火)と24日(金)の動きについて、もう少し細かく見て行きます。

図2 2025年1月21日の日経平均(1分足)の動き

2025年1月21日の日経平均(1分足)の動き
出所:MARKETSPEEDII

 まずは、米トランプ大統領の就任式と演説を終えて迎えた21日(火)です。上の図2はこの日の日経平均の1分足チャートになります。

 トランプ大統領の就任演説では、市場が警戒していた関税政策について、具体的に踏み込んだ発言が無かったことが好感され、21日の日経平均は一段高で始まり、取引開始直後の9時3分に3万9,238円の高値をつけました。

 ただし、10時になる少し前に、「トランプ大統領がカナダとメキシコに関税をかけるべく調査を命じた」と報じられたのをきっかけに、相場が一転して下方向に舵を切り、一気に3万8,643円の安値まで下落していきました。

 しかしながら、「すべての国に一律に関税を賦課する」という懸念がひとまず後退していることは安心材料としては大きく、相場はすぐに持ち直して、前日比からのプラス圏に戻し、3万9,000円台を維持して取引を終えました。

 続いて、日銀金融政策決定会合の結果が公表された24日(金)の動きについても確認していきます。

図3 2025年1月24日の日経平均(1分足)の動き

2025年1月24日の日経平均(1分足)の動き
出所:MARKETSPEEDII

 この日、午前中の日経平均は概ね4万円台を維持する展開となっていましたが、前場と後場とのあいだの昼休み中に、日銀が市場の予想通り、0.25%の利上げを決定したと報じられました。

 日経平均は後場の取引開始直後に4万0,279円の高値をつけたものの、その後は下落に転じて、前日比でマイナス圏に沈む展開となりました。ただ、13時27分に安値(3万9,806円)をつけてからは、前日終値(3万9,958円)を意識した攻防となり、結局、終値ではマイナスだったものの、前日比20円ほどの小幅安にとどまっています。

 このように、「試練」とされていた、21日(火)と24日(金)はともに陰線となりましたが、日中の取引時間の値動きを見る限りでは、相場のムードを大きく損なうことはなかったと言えそうです。

目先の相場のシナリオと目安は変わらず。

 先週の日経平均の値動きに大きな波乱がなかったこともあり、目先の相場シナリオと株価の目安については、前回の見通しから変更をしなくても良さそうです。

図4 日経平均(日足)の動き その2(2025年1月24日時点)

日経平均(日足)の動き その2(2025年1月24日時点)
出所:MARKETSPEEDII

 上の図4は日経平均の日足チャートに、2つのトレンドラインを描いたものです。

 ひとつは、昨年7月11日と10月15日の高値どうしを結んだ「上値ライン」、そしてもうひとつは、昨年8月5日の安値から10月15日の高値までの上昇幅を基準とした上向きの「ギャン・アングル」です。

 日経平均の動きをこれらのトレンドラインと組み合わせて見てみると、「上値ラインをサポートにして株価が反発し、トレンドの方向は2×1ラインと3×1ラインに挟まれた範囲まで戻した」ことが読み取れます。

 今後も相場の勢いが続くのであれば、株価は2×1ラインを目指すことになり、その途中で、昨年3月22日の高値(4万1,087円)があり、そして、昨年7月11日の高値(4万2,426円)をクリアできるかが、チェックポイントになります。

 反対に、株価が下落してしまった場合には、先週上抜けた3本の移動平均線(25日・75日・200日)や上値ラインがサポートの目安として意識されることになりますが、今週予定されているイベントでネガティブサプライズがあった場合には、4×1ラインが視野に入ってくることになります。

企業決算が相場を支えられるか?

 冒頭でも触れたように、今週もイベントが多い週になりますが、まず注目されるのが日米の企業決算です。

 もう少し詳しく見て行くと、国内では、日立製作所(6501)キーエンス(6861)三井住友フィナンシャルグループ(8316)信越化学工業(4063)アドバンテスト(6857)ファナック(6954)などの注目企業の決算が相次ぐほか、米国でもメタ・プラットフォームズ(META)マイクロソフト(MSFT)テスラ(TSLA)アップル(AAPL)といった「マグニフィセントセブン(M7)」の4銘柄をはじめ、インテル(INTC)IBM(IBM)、そして、エクソン・モービル(XOM)などのエネルギー関連株などが決算を発表します。

 とりわけ、先週の株式市場では、トランプ大統領が打ち出した巨額のAI投資計画などが材料となって、半導体関連株や電線株などの関連銘柄が賑わっただけに、引き続きテック株の決算動向が注目されそうなほか、エネルギー関連株についても、トランプ大統領が就任式で「エネルギー非常事態」宣言をし、すぐさまエネルギー関連で5本の大統領令に署名するなど、政策の動き出しが早いこともあり、決算のタイミングでさらに動意づくかもしれません。

図5 「M7」銘柄の株価推移比較(2023年末を100)(2025年1月24日時点)

「M7」銘柄の株価推移比較(2023年末を100)(2025年1月24日時点)
出所:Bloombergデータを基に作成

 また、上の図5は2023年末を100とした、マグニフィセントセブン銘柄のパフォーマンスを比較したチャートになりますが、今週に決算が控えるマグニフィセントセブン4銘柄のうち、2025年のAI投資額が前年を上回る見込みと発表したメタ・プラットフォームズの株価が24日(金)の取引で約1カ月ぶりに最高値を更新しました。

 一方、AI分野で出遅れ、中国でのスマートフォン販売も低迷しているアップルの株価は昨年末あたりから下落基調が続いているなど明暗が分かれています。

 そのため、決算を機に、さらに銘柄の選別が進む可能性があるほか、メタ・プラットフォームズの株価がさらに上を目指して行けるか、そして、アップル株が悪材料出尽くしで反発できるかも焦点になり、相場全体のムードに影響を与えそうです。

米トランプ大統領の不確実性には要注意

 このほか、今週の株式市場では、欧米で金融政策イベント(FOMCとECB理事会)も予定されています。市場では、FOMCでの政策金利維持とECB理事会での利下げが予想されていて、サプライズはないとされていますが、FOMCについては、政策金利の結果よりも、トランプ大統領の政策に対するFRB(米連邦準備制度理事会)の対応や姿勢が注目されることになります。

 先週開催された、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)にオンラインで参加したトランプ大統領が、FRBに対して「原油価格が下がれば、政策金利をただちに下げるよう要求する」と発言したことが話題となっており、今後も金融政策の面でFRBに関与する懸念がくすぶりやすい状況となっています。

 これ以外にも、トランプ政権が現在検討している、カナダ・メキシコ・中国への関税賦課についても、決定日とされる2月1日(土)が近づくにつれて緊張感が高まり、トランプ大統領からのメッセージ次第で相場が荒れることも考えられます。

 このように、相場の推進役にもブレーキ役にもなり得るトランプ大統領の不確実性には注意が必要ですが、決算内容を理由にしっかり買われる銘柄は出てくると思われますので、今週の株式市場は森(相場全体)ではなく、木(個別銘柄)を中心に物色される場面が増えることになりそうです。

(土信田 雅之)

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