「割安・内需・小型株」に注目する四つの理由(窪田真之)
トウシル / 2024年11月28日 8時0分
「割安・内需・小型株」に注目する四つの理由(窪田真之)
トランプ氏が関税引き上げに言及、日経平均・大型株の上値が重くなってきた
毎日のレポートに書いている通り、日本株は割安で、長期的に大きく上昇すると予想しています。日経平均株価で言うと、5年以内に5万円まで上昇すると予想しています。
ただし、短期的には不安材料が増えています。気になるのは「トランプ・リスク」。株式市場はこれまで、来年1月20日に米大統領に就任するトランプ氏が掲げている公約のうち、株式市場に都合の良いところだけを見て「トランプ・ラリー」と呼ばれる株高をつくり出してきました。
ところが、トランプ氏の公約には、株式市場にとってマイナスになる内容も含まれています。今後は、トランプ氏公約のネガティブな面にも焦点が当たることが考えられます。一番心配なのが、輸入関税の引き上げです。世界中の製造業にダメージを与えるとともに、米国でインフレを悪化させ、金利を上昇させるリスクがあります。
トランプ氏はまだ大統領に就任していませんが、早速、関税引き上げについてSNSで情報発信を始めました。来年1月20日、大統領に就任するとともに、【1】中国からのほぼ全ての輸入品に追加で10%の関税をかける、【2】メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税をかけると表明しました。
トヨタ、ホンダ、日産自動車、マツダなどは、メキシコで生産した自動車を米国に輸出しています。メキシコに25%の関税がかかると大きなダメージとなります。
さまざまなリスクが表面化してきたことを受けて、日本株は上値が重くなってきました。グローバルにビジネス展開する大型株は、上値を追いにくくなっています。
小型株不振が長期化している
過去4年以上にわたり、日本株で、「大型株好調・小型株不振」が続いています。2020年以降のTOPIX100【注1】と、TOPIXスモール【注2】の動きを比較した以下のグラフをご覧ください。
【注1】TOPIX100
東京証券取引所上場の時価総額の大きい100社から構成される株価指数
【注2】TOPIXスモール
東京証券取引所上場の時価総額の小さい銘柄から構成される株価指数。時価総額の大きい500社から構成されるTOPIX500に入らない指数対象銘柄全てが含まれる。
TOPIX100とTOPIXスモールの月次推移比較:2019年末~2024年11月(25日)
この現象は、日本株だけでなく、米国株も含めて世界的な傾向です。小型グロース株(小型成長株)も、小型バリュー株(小型割安株)も、どちらもさえない展開が4年以上も続いています。
これはとても珍しいことです。長期的に見ると、小型株の方が大型株よりもパフォーマンスが高いことが多いからです。参考まで、TOPIX100とTOPIXスモールの2001年以降のパフォーマンスを比較すると、以下の通り、小型株の方が高くなっています。
TOPIX100とTOPIXスモールの月次推移比較:2000年末~2024年11月(25日)
今後、小型株のパフォーマンスが良くなると予想する四つの理由
グローバル展開している大型株が買いにくくなる中、今後、割安な内需・小型株のパフォーマンスが良くなると予想しています。それには、四つの理由があります。
【1】経験則:大型優位と小型優位は循環する
最初の理由は、経験則です。過去4年以上、大型株優位の相場が続いてきました。ただし、大型株が永遠に小型株より良いパフォーマンスが出続けることはあり得ません。過去そうであったように、「大型株優位」の相場と「小型株優位」の相場は、循環的に繰り返します。
過去4年以上、大型株優位が続いたので、経験則からは、そろそろ小型株優位の相場になってもおかしくないと思います。
【2】日本も金利上昇局面に入る可能性がある
これも過去の経験則ですが、金利上昇局面は、大型株のパフォーマンスが不振になり、小型株が相対的に見直される傾向があります。
【3】緩やかな円高が進む可能性
これまで円安がどんどん進む中、グローバル展開している大型株の業績が好調でした。今後、米国金利が下がる中で日本の金利が上がると、緩やかな円高が進む可能性があります。円高局面は、グローバル企業の上値が重くなり、代わって好業績の内需株が見直される可能性があります。
【4】東証のガバナンス改革進む
東京証券取引所が、PBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業に「株主価値改善策の開示と実施」を求めてから、日本企業に自社株買いが増えてきています。この流れが続けば、PBR1倍割れが多い小型株が見直される可能性があります。
具体的な投資の参考銘柄については、来週以降、順次本欄でご紹介していきます。
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