トランプトレードはやくも終了? ドル/円は米大統領選後の安値更新、150円台まで大幅下落
トウシル / 2024年11月28日 9時58分
トランプトレードはやくも終了? ドル/円は米大統領選後の安値更新、150円台まで大幅下落
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは152.90円
↓下値メドは150.10円
ドル最強:世界のどの地域もドル資産を振り替えるほどの魅力ない
中国不動産不況:新築販売が前年比マイナス20%。政府の対応策効果上がらず
政治と金融:パウエル議長は、米大統領選の結果次第で金融政策が変化することを明確に伝えるべき
債券:米国債の利払いが、米GDPの3%に達する
銅:5月の高値から20%下落。中国の需要後退で
前日の市況
11月27日(水曜)のドル/円相場の終値は151.14円。前日終値比1.97円の「円高」だった。
この日のドル/円は大幅に下落。米大統領選後の安値を抜けて10月21日以来の安値をつけた。
2024年238営業日目は153.05円からスタート。東京時間朝につけた153.23円をこの日の高値として南下を続けた。11月6日につけた米大統領選投票日の安値(151.28円)をあっさりスルーすると未明には150.46円に到達して、10月21日以来の安値をつけた。24時間のレンジ幅は2.78円。
この円高の背景には、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測や日銀の利上げ期待がある。今週26日に公開されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が「緩やかな利下げの継続」を示唆していることがわかり、金利市場では12月のFOMCでの追加利下げの確率が60%以上まで上昇している。日銀による12月の利上げ予想も50%程度あるなかで、日米金利差縮小の期待で円が買われた。
また、米国の長期金利は低下傾向にあり、これもドル安要因となっている。トランプ次期大統領が財務長官に指名したスコット・ベッセント氏が財政赤字の抑制に努めると発言したことで米国のインフレ抑制の期待が高まり、FRBは予定通り利下げを継続できるとの予想が強まっている。ベッセント氏は、貿易関税政策に対して消極的な姿勢を示しているが、通貨政策に関しては「ドルの準備通貨としての地位を維持する」考えのようだ。
先週はドイツの政治不透明感が材料となってユーロが売られたが、この日はフランス政府の予算案を巡る議会対立とフランス内閣の崩壊危機がユーロ安材料となった。
フランスのバルニエ首相が、政府の予算案が否決された場合、金融市場に「嵐」が訪れる可能性があると警告するなかで、野党連合は来週にも内閣不信任投票を行う考え。これが可決された場合フランスは深刻な経済的混乱に直面する可能性が高い。フランス国債のリスク指標はユーロ圏債務危機以降で最高水準に達し、フランス10年国債のドイツ国債に対する利回りスプレッドは86ベーシスポイントを超えた。
ユーロ/ドルは1.04ドル台半ばのユーロ安水準での取引が続いていたが、シュナーベルECB(欧州中央銀行)専務理事の発言でユーロが急速に買い戻された。シュナーベル理事は「ECBの利下げ余地はあまりない」と発言して、これによりECBの大幅利下げ観測が後退した。ユーロ/ドルは一時1.0590ドル近辺まで上昇した。ただし、ECBのタカ派姿勢維持は、悪化している欧州経済をさらに悪化させるリスクが高く、中期的なユーロ安要因になるとの見方もある。
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
失敗とは、よりよい方法で再挑戦する素晴らしい機会である
We're Not Gonna Take it
米経済データの中でも雇用統計は注目度も重要度もトップランクに位置していて、FRBの金融政策にも非常に大きな影響を持つ。FRBの政策はECBや日銀など世界の中央銀行に影響を与えるから、雇用統計が不正確であれば、世界の金融市場が間違った方向に進むリスクも高くなる。
雇用統計の精度が低い原因はいくつかある。まず、BLS(米労働省)の季節調整モデルが、雇用市場の構造変化に対応できていないことがある。例えば、クリスマス商戦の反動で1月の雇用者は少なくなるのが従来のパターンであった。BLSはこのパターンに従って雇用者増加数を推計するのだが、新型コロナ流行後は、そのようなトレンドは消え、逆に1月の雇用者は急増している。
また、データ数の少なさも問題である。米国の経済指標の多くはアンケート調査に基づいている。一般に、家計調査の回答率が60%を下回るとそのデータの信頼性は低くなるのだが、雇用に関する企業の回答率は、新型コロナ流行時から大きく下がり、現在では40%を下回っているといわれる。また、統計には副業やスタートアップの小さい会社の雇用状況も正確に反映されていない。
回答率が低いだけではなく、現存の事業所のデータに偏っていることも問題だ。倒産企業からのデータがほとんど得られないことで、当然ながら実態よりも失業者は少なく、就業者は多い結果になる。最近では、社員が退職したあと欠員補充をしない「サイレントレイオフ」をする米企業が増加している。BLSの雇用統計ではこのような実態を把握することが困難であり、そのため雇用市場の本当の弱点が見過ごされてきたおそれがある。
BLSは、2023年4月から2024年3月までの雇用者数が、81万8,000人程度の下方修正になったと今年の8月に公表した。月ベースでは約6.8万人少なくなる計算である。
雇用統計の不正確性は、「実勢よりも多めに計上されている」ことに偏っている。つまり雇用者数が予想よりも多くても割り引いて考えた方が良いということであり、逆に少ない場合には、雇用市場が予数字以上に悪化しているということである。実際の雇用市場の過熱状態はすでに消えているのに、FRBのデータ重視主義のために利下げのタイミングが遅れてしまったおそれがある。
今週の注目経済指標
注目テクニカルレベル
ヒートマップ分析
(荒地 潤)
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