米国人の56%が今後1年間に株価が上昇すると考えている
トウシル / 2024年11月28日 17時16分
米国人の56%が今後1年間に株価が上昇すると考えている
バフェット指標は205%
米国のM2(通貨供給量)は2024年9月時点で21兆ドルである。M2は現金や預金、個人向けMMF(マネー・マーケット・ファンド)などを含む指標で、中央銀行による金融引き締めの影響が端的に表れる。
米国は存在するお金の40%を18カ月間で印刷し(2020年から2021年のように)、無差別に雨のように降らせた。低所得者は必要性があるためにそれをすぐに使い、高所得者層は通常、問題がないためそれを貯蓄または投資する。
バイデン政権は現在の米国分断の最大の原因である「貧富の格差」と「富の偏在」を拡大しただけだ。このプロセスは4年間続いている。バイデノミクスはGDP(国内総生産)の「成長」の1ドルごとに正確に2.5ドルの「負債」をつくってきた。要は、市場はプリンティング・マネー(紙幣増刷)でジャブジャブなのである。
米国のマネーサプライ(M2 通貨供給量)2000年~2024年9月
こうした中、S&P500種指数の時価総額対世界のGDP比率が過去最高の46%となり、過去15年間でこの比率は4倍になっている。
この比率はスーパーバブルである2000年のドットコムバブルのピーク時に記録された39%よりも高い。S&P500時価総額は史上初めて50兆ドルを超え、米国株式時価総額対米国GDP比率(※バフェット指標)も205%と新たな記録を達成した。
世界のGDPに占めるS&P500の時価総額
S&P500CFD(週足)
このような金融市場の流動性と最も相関関係が高いのは株よりもビットコインで、ビットコインは世界の流動性のバロメーターとなっている。
ビットコイン/ドル(週足)
DOGE(政府効率化省)のイーロン・マスクは、「政府の過剰支出がインフレを生み出す。私たちはその関連性を米国民に明確に伝える必要がある!」と意気込んでいるが、果たして米国の借金は減るのだろうか?
指数関数的に増え続ける現在の負債を推定すると、2036年には米国の連邦負債は100兆ドルに達するとみられる。100兆ドルの負債は、高いインフレとデフォルトのリスクを意味し、はるかに高い金利につながる。
3~4%の利回りでは誰もリスクの高い米国債を保有しようとはしないだろう。本来、国家に財政規律を催促するのは、イーロン・マスクやビベック・ラマスワミではなく、国債市場や外為市場である。
米国の債務は1981年の44倍
中国や日本が米国債の保有を減らしているが、これから3年で15.5兆ドルの償還を迎える米国債は誰が買うのだろうか? おそらく、近い将来に米国は自分で国債を買うためにQE5をやるだろう。通常、中央銀行は、紙幣の印刷によって生じた問題を解決するために、紙幣をさらに印刷する。
米国は36兆ドルもの負債を積み上げて、たった3%成長の経済というのはちょっと怖い。これで景気後退に入れば、いったい幾らの負債をつくるのであろうか? <資産と負債の両方膨らませるという経済手法>は、簡単に言うと<ネズミ講(ポンジスキーム)>と同じである。ネズミ講経済はどこかで破綻する。
米国の債務残高
金融資本主義経済の中で、企業も個人も負債と資産の両建て経済に便乗してきたが、リーマン危機で個人や企業の負債は国家に付け替えられた。もう、この負債を転がす先はない。念のために言っておくが、国家は破綻しない。破綻するのは個人である。資産運用の究極の目的は将来到来するインフレへのヘッジに他ならない。個人資産は<文明>と強くつながっている。
これだけジャブジャブにカネをばらまいても、あまりインフレが上がらないのは、経済統計や原油価格が米国によってコントロールされているからだ。金融システムが壊れている(ブロークン・マネー)のである。金融機関は時価会計の凍結で保護されている。
しかし、将来のどこかで「本当に国債(借金)は返済できるのか」という疑心暗鬼が市場を覆ってくると思われる。現在のゴールドやビットコインへの買いは、そういったことへの懸念に過ぎない。
富裕層をさらに裕福にするために、さらなる金融化、さらなる不正操作(会計疑惑)された市場、そしてAIバブルの膨張を続けることは、壊れた米国経済を修復するのではなく、金融に全てを賭けている現状の崩壊を早めることになるだろう。
米国人の56%が、今後12カ月間に株価が上昇すると考えているらしい。この比率は史上最高である。
株価はもっと高くなると思う米国人の割合
過去これまで何度も経験してきたことであるが、市場の狂気は時に人をとりこにしてしまう。近代物理学の父祖の一人であるアイザック・ニュートンは世界三大バブルの一つといわれている英国の南海泡沫事件で現在の価値にして約300万ドルに相当する額を失ったといわれている。
1720年イギリス政府が売り出した「南海会社」の株式が爆発的な人気を集め、この動きに乗じようと、実態のない会社、つまり「泡沫会社」(Bubble company)の株価も急騰し、株式市場は狂乱状態となった。南海泡沫事件はこの投機ブームによる株価の急騰と暴落のことで、泡沫=バブルの語源となった出来事である。
南海会社の株価の推移(1718年12月~1721年12月まで)
2000年から2020年までの数十年間は比較的安定していたため、われわれはグローバル・システムが非常に強固で、リスクは払拭(ふっしょく)されないまでも管理可能で、容易にヘッジできると自己満足的に信じていた。
来年から『フォース・ターニング(第四の節目)』相場が始める。
「ミーゼスが80年前に指摘したように、無能で腐敗した下劣な男たち(今は女も含む)による政府ほど危険なものはない。まるでバイデン、ハリス、そして彼らの堕落した政権全体を表しているかのようだ。さて、第2次トランプ政権が第1次政権と異なるかどうかを見極めなければならない。ディープ・ステートの塊は深く浸透しており、壮絶な戦いなしに消滅することはないだろう。私が恐れているのは、ガバード、ヘグセス、ボンディ、そしてRFKジュニアが、たとえRINOが支配する上院で承認されたとしても、それぞれの部署内の裏切り者を粛清するのに十分な冷酷さを持たないことだ。私は、イーロンとヴィヴェックは十分に冷酷で、自分たちの提言についてスワンプがどう思うかを気にしないほど裕福だと思う。トランプ大統領が彼らにどれだけの権限と後ろ盾を与えるかは、いざというときになればわかるだろう。 私は、この7兆ドルの肥大化した腐敗した根深い官僚主義国家に実質的な削減が行われるのは望み薄だと考えている。 ディープ・ステートを倒すには、スワンプを支配する悪意ある寄生虫を冷血に、残忍に無視する必要がある」
(ジム・クイン)
『フォース・ターニング(第四の節目)』のニール・ハウは、米国の再生と素晴らしい時代の前には「危機とインフレ」がやってくると警鐘を鳴らしている。危機に対してわれわれができることは、相関関係のない資産への分散投資、ゴールドやビットコインの保有、そして仲間と家族を大切にすることである。
11月27日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
11月27日のラジオNIKKEI『楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー』は、土信田雅之さん(楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト)をゲストにお招きして、「株式市場のテクニカル分析」「割高な米国株を買い上がっていいのか?」「トランプ関税と日本企業」「煮詰まってきた日経平均」「中国経済の現状」というテーマで話をしてみた。
ぜひ、ご覧ください。
ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
11月27日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
<セミナーのお知らせ 12月7日(土) FX・CFDアカデミーin 大阪>
2024年12月7日(土)10:00~15:25
梅田スカイビル ステラホール/オンラインセミナー
『FX・CFDアカデミーin 大阪』梅田スカイビル ステラホールにおじゃまします!
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(石原 順)
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