ドル/円4日ぶりに反発、151円台へ戻す
トウシル / 2024年11月29日 9時42分
ドル/円4日ぶりに反発、151円台へ戻す
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは152.00円
↓下値メドは150.90円
中国とインド:多国籍企業が中国の代替先を探す。インドは港湾設備の拡充が課題
FRB:引き締め過ぎを再調整するが、それ以上のことをするつもりはない
ECB:ECBの利下げ慎重姿勢が、欧州成長見通しに不安もたらす
豪ドル:RBA「2025年中にインフレ目標達成は難しい」
CTA:株式ポジション70%減。今後数週間で700億ドルのドル売りの可能性
前日の市況
11月28日(木曜)のドル/円相場の終値は151.52円。前日終値比0.39円の「円安」だった。円安の終値は4営業日ぶり。米国市場がサンクスギビング・デーで休場のため全体的に動意が薄く、海外市場のドル/円は151.50円をはさんだもみ合いが続いた。ユーロ/ドルは小幅に反発した。
2024年239営業日目は151.01円からスタート。東京時間朝に150.85円まで下落してこの日の安値をつけたが、前日の安値(150.46 円)に届く前に折り返し、夜の初め頃に151.95円まで円安に動いた。24時間のレンジ幅は1.10円。
今週ドル/円が円高に動いた背景には、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測や日本銀行(日銀)の利上げ期待があった。11月26日に公開されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録は「緩やかな利下げの継続」を示唆した。これを受けて金利市場では12月のFRB利下げの確率が60%以上に上昇した。一方で、日本銀行による12月の利上げ期待も50%程度あることから、日米金利差縮小が縮小方向に向かうとの予想で円が買われた。
米国の長期金利は低下傾向にあり、これもドル安要因となっている。トランプ次期大統領が財務長官に指名したスコット・ベッセント氏は「3-3-3」政策、すなわちGDP(国内総生産)成長率3%、2028年までに財政赤字をGDPの3%に削減、原油生産量を日量300万バレル増産という政策を提案している。米国のインフレ抑制が期待できるということで米長期金利が低下した。またベッセント氏は、貿易関税政策に対して消極的な姿勢を示している。通貨政策に関しては「ドルの準備通貨としての地位を維持する」考え。
ユーロ/ドルは、先週はドイツの政治不透明感を嫌気して下落したが、今週はフランス政府の予算案を巡る議会対立とフランス内閣の崩壊危機が新たなユーロ売り材料として加わった。
フランスでは政府の予算案を巡って議会で対立が続いている。野党連合は政府の予算案を否決し、来週にも内閣不信任投票を行う可能性がある。そうなった場合、フランスは深刻な経済的混乱に直面することになり、バルニエ首相は、金融市場に「嵐」が訪れる可能性があると警告している。フランス国債のリスク指標はユーロ圏債務危機以降で最高水準に達し、フランス10年国債のドイツ国債に対する利回りスプレッドは85ベーシスポイントを超えた。
ECB(欧州中央銀行)のシュナーベル専務理事が「ECBの利下げ余地は少ない」と発言したことが、ECBの大幅利下げ観測を後退させている。もっともフランス中銀総裁のビルロア理事は「大幅利下げの余地がある」と全く反対の見解を述べている。投資家はECBが強気姿勢を続けている間に、欧州経済がさらに悪化してしまうとの懸念を持っている。2年前はECBの利上げが遅れたせいで欧州のインフレの暴走を許したが、今回も同じような間違いを犯すおそれがあるというのだ。欧州がリセッションになり、結局ECBは大幅利下げに追い込まれることになる可能性がある。これは中期的なユーロ安要因になる。
週末から来週前半のドル/円 サポートとレジスタンス
レジスタンス:
155.03円 11/22 H
154.72円 11/25 H
154.49円 11/26 H
153.23円 11/27 H
151.95円 11/28 H
サポート:
150.85円 11/28 L
150.46円 11/27 L
149.09円 10/21 L
148.86円 10/16 L
148.85円 10/15 L
中期:(高値+安値)x 1/2 =148.17円
8月1日から11月28日までのドル/円のレンジは、139.58円から156.75円。
レンジ幅は17.17円。
高値と安値の50%(中間点)は、148.17円。現在のレートは、中間点よりも「円安」。
高値と中間点の50%は152.46円。 現在のレートはこの水準よりも「円高」。
2024年 主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
最大の危険は、目標が高すぎて、達成出来ないことではない。目標が低すぎて、その低い目標を、達成してしまうことだ - ミケランジェロ
99 Red Balloons
インフレはなぜ悪いのか
FRBが高金利を長く維持しようとするのは、それが人々に期待されていると思っているからで、「われわれはちゃんと仕事していますよ」というアピールのようなものだ。しかし、金利の影響を受けにくい品目の物価が下がるまで金利を下げないというのは、合理的とはいえない。
金利上昇がもたらす「不平等な痛み」を放置することは、高所得者層を助ける一方で、低所得者層をより長く苦しめる。それによって生じる不均衡が経済と資産市場を歪める。「より高く、より長く」の高金利政策は、単に「より高いリスク」を意味するだけかもしれない。
一方で、低金利政策に固執する中央銀行のもとで上昇するインフレによる「不平等な痛み」もまた、所得格差が開くほど大きくなる。それだけではなく、インフレの不平等性そのものが、所得の不平等を悪化させている。
食品や日用品が一斉に上昇するなかで、ナショナルブランド商品よりも比較的安価なプライベートブランド商品を選んだり、普通サイズよりも単価が安い大容量サイズを購入したりして生活費を抑える工夫をしている家庭は多い。
しかし、貧しい家庭は初期費用を持っていない。5キロの米を買うお金がないからコンビニのおにぎりを買うしかない。炊飯器がなければ米を炊くこともできない。おにぎりが割高だとわかっていても、生活の全てにおいて選択肢がないのだ。インフレは、高所得者よりも低所得者により厳しく、貧富の差をさらに拡大させる。インフレの真の邪悪さはここにある。
今週の注目経済指標
注目テクニカルレベル
Winners & Losers
(荒地 潤)
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