「割安、内需、小型株」に上昇期待!ポートフォリオ見直しを(窪田真之)
トウシル / 2024年12月2日 8時0分
「割安、内需、小型株」に上昇期待!ポートフォリオ見直しを(窪田真之)
日経平均は「3万8,000~4万円の壁」抜けられず
先週(営業日:11月25~29日)の日経平均株価は、1週間で75円下がって3万8,208円となりました。好悪材料がきっこうして、上下とも大きくは動きにくい展開となっています。
日経平均週足チャート:2024年1月4日~11月29日
2024年の日経平均は、3万8,000~4万円のレンジを中心とした展開となっています。3月と7月に上値をトライしましたが、失敗しました。8月には、下値をトライしましたが、それも失敗しました。10月~11月の日経平均は、好悪材料きっこうで3万8,000~4万円の往来相場となっています。
好悪材料きっこう
以下【1】~【5】に示すように、好悪材料がきっこうしています。
【1】来年1月20日米大統領に就任するトランプ氏に対する期待と不安
トランプ氏が景気刺激策(法人減税や規制緩和)を進める方針であることへの期待から、米国株は上昇してきました。ところが、足元、トランプ氏の政策のネガティブな面にも焦点が当たり始めました。先週は、トランプ氏がSNSでメキシコ・カナダに25%の関税をかけ、中国に10%の追加関税をかけると表明し、新たな不安を生じました。
トランプ・リスクについて詳しい解説は、以下を参照してください。
2024年11月12日:米国株最高値の裏に、五つのトランプリスク。インフレ、米中摩擦、ロシアゲート…(窪田真之)
【2】米景気ソフトランディングへの期待とインフレ再燃の不安
米景気堅調のうちに、米インフレ率が低下してきたことが好感されて、米国株は上昇してきたものの、トランプ氏再選で財政支出がさらに拡大してインフレが再燃、金利が上昇する不安も出ています。
【3】日本の企業業績は非製造業が好調だが、製造業が悪化
9月中間決算はさえない内容でした。円安メリットを受けながら、自動車など製造業の業績が悪化しました。一方、金利上昇の恩恵を受ける金融株や、情報通信など非製造業が増益です。
楽天証券経済研究所予想では、今期(2025年3月期)純利益は4.8%増益となりますが、会社予想ベースではほぼ横ばい(0.2%の微増益)予想です。
東証プライム3月期決算主要841社の連結純利益(前期比%):2020年3月期~2025年3月期(予想)
【4】日本の衆院選で与党大敗、少数与党に
自民党主導で資本主義の成長戦略を進めるのが難しくなったことはネガティブ材料です。野党の要求によって、財政拡大政策が取られやすくなったことが株式市場にプラスとの考えもあります。国民民主党による「年収103万円の壁撤廃」などの政策に期待が高まっています。
【5】日米の金融政策・ドル/円為替レートの先行きに不透明
米金利が高止まりしているため、1ドル=150円前後の円安が続いています。この水準が続けば、日本の企業業績に追い風です。ただし、12月にFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを続け、日本銀行が利上げを行うと、円高になる可能性もあることが不安材料となっています。
12月重大イベント:日米の金融政策決定会合
12月の重大イベントとして、12月17~18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)と、18~19日の日銀金融政策決定会合があります。
【1】FRBは12月も利下げを行うか?
FRBが今年3回目の利下げを実施し、日銀が利上げを行うと、日米金利差縮小を受けて、円高が進む可能性があります。その不安が、日経平均の上値を抑えています。
ただし、FRBは、米景気が堅調で米インフレ再燃の懸念があることを受けて、「利下げを急ぐ必要はない」とのスタンスに転じています。もし、12月の利下げを見送ると、円安が進みやすくなることは日本株にプラスです。一方、米インフレ再燃・米金利上昇の不安が出ることは、米国株・日本株にマイナス材料となります。
【2】日銀は12月に利上げを行うか?
楽天証券のチーフエコノミスト・愛宕伸康は、12月に日銀が利上げを実施すると予想しています。利上げは、円高要因であり、日本株全体の上値を抑える要因となります。ただし、金利上昇メリットを受ける金融株には、逆に上昇要因となります。
詳しい解説は、以下、愛宕が執筆したレポートをご参照ください。
2024年11月27日:新たな均衡に向けて着実に回復する日本経済(2024~2026年日本経済見通し)
日本株の投資方針:「割安、内需、小型株」の組み入れ増やしたい
日経平均は、当面、上値の重い展開が続くと思われます。そうした中、小型株のパフォーマンスが相対的に良くなると予想しています。日本株投資では、中小型株の組み入れを増やしたいタイミングです。
投資信託を通じて日本株に投資している投資家は、大型株主導の日経平均インデックスファンドだけではなく、中小型株に投資する投資信託を組み入れて良いタイミングと思います。長期のパフォーマンスの良好なアクティブ型「中小型グロース投信」『中小型バリュー投信』を選別すべきと思います。
小型株のパフォーマンスが改善すると予想する理由について、詳しくは、以下のレポートを参照してください
2024年11月28日:「割安・内需・小型株」に注目する四つの理由(窪田真之)
(窪田 真之)
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