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米雇用統計など重要指標連続!トランプ版「3本の矢」政策と関税脅迫外交で米国株一強相場続く!?

トウシル / 2024年12月2日 14時20分

米雇用統計など重要指標連続!トランプ版「3本の矢」政策と関税脅迫外交で米国株一強相場続く!?

米雇用統計など重要指標連続!トランプ版「3本の矢」政策と関税脅迫外交で米国株一強相場続く!?

 今週の株式市場もトランプ次期米国大統領が繰り出す人事や発言を材料にしたトランプ相場が止まらないようです。

 基本的な構図はトランプ氏の掲げる減税や規制緩和を好感して米国株の上昇が続き、トランプ関税の発動で被害をこうむる自動車株など日本株の停滞が続くというもの。

 先週のこの特集のタイトルは「世界的金利上昇でトランプ・ラリー失速か」というものでしたが予想ははずれ、米国の長期金利の指標となる10年国債の利回りは4.4%台から4.1%台後半まで急低下。

 11月22日(金)にトランプ氏がウォール街で長年、ヘッジファンドの運用を行ってきたベッセント氏を財務長官に指名したことが金利低下の主因になりました。

 トランプ氏の熱烈な支持者であるベッセント氏は米国の財政赤字縮小を唱えており、米国政府の借金である国債の新規発行が減れば金利が低下しやすいからです。

 また、26日(火)深夜に発表された11月7日終了のFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録でも緩やかで慎重な利下げに対する幅広い支持が示されました。

 これが12月18日(水)終了の次回FOMCで想定通り0.25%の追加利下げが行われる見通しにつながり、より一層の米国金利低下につながりました。

 金利が下がれば株価は上昇しやすくなります。機関投資家が運用指針にするS&P500種指数は前週末比1.06%高。29日(金)終値は6,032ポイントに達し、未到の高値圏を今後も上昇していきそうです。

 一方、先週の日経平均株価(225種)は前週末比75円(0.2%)安と小幅ながら3週連続の下落。

 トランプ次期大統領が25日(月)に中国だけでなく、隣国のメキシコ、カナダからの全輸入品に25%の関税を課すとSNSに投稿。

 これが自動車株など日本の外需株を直撃。主力のトヨタ自動車(7203)が4.2%安になるなど輸送用機器セクターが週間下落率ワースト2位に沈みました。

 28日(木)には日本銀行の植田和男総裁が日本経済新聞とのインタビューで追加利上げの時期は「近づいているといえる」と発言。

 12月19日(木)終了の金融政策決定会合で米国とは真逆の0.25%の追加利上げに踏み切る可能性が高まり、日米金利差縮小に対する警戒感から先週の為替市場では1ドル=149円70銭台までの5円近い円高が進行しています。

 今週は米国で重要な景気・雇用指標の発表が集中します。

 特に12月2日(月)にISM(全米供給管理協会)が発表する11月ISM製造業景況指数では、前回10月分が予想以上に低下し、好不調の境となる50を7カ月連続で下回っています。

 3日(火)には雇用動態調査(JOLTS)の10月求人件数、4日(水)には米国の給与計算代行会社ADP(オートマチック・データ・プロセッシング)社の11月民間雇用統計も発表。

 4日には米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が民間の会議に出席。12月利下げを肯定するような発言があるかどうかも注目です。

 6日(金)には米国の11月雇用統計も発表。前回10月の非農業部門新規雇用者数はストやハリケーンといった特殊事情で前月比1.2万人増という異常値まで落ち込んだだけに今回も注目されそうです。

 ただ、米国では景気・雇用指標が多少落ち込んでも、トランプ次期大統領の景気浮揚に積極的な「アニマルスピリット」に対する超楽観的な見通しが台頭しているため、株価の上昇に大きな変化はないかもしれません。

 週明け2日(月)の日経平均終値は2営業日ぶりに値上がりし、前週末比304円高の3万8,513円でした。

先週:米国の次期財務長官ベッセント氏の「3-3-3」政策で米国株活況!日本株はトランプ関税で低迷!

 先週はトランプ次期政権の財務長官に指名されたベッセント氏の「3-3-3」政策を好感した「ベッセント・ラリー」で米国株は絶好調でした。

 ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、ベッセント氏は日本のアベノミクスの「3本の矢」政策にならい「3-3-3」政策を提唱。

 この「3-3-3」政策は、2028年までに財政赤字を対GDP(国内総生産)比3%に削減、日量300万バレルの原油増産、規制緩和によるGDP3%成長を目指す政策といわれます。

 トランプ氏の掲げる高額関税や不法移民の流入阻止、減税といった政策は物価高に直結するため、米国ではインフレ再燃と金利上昇に対する警戒感が広がっていました。

 しかし、ベッセント氏が財政赤字削減で金利を下げ、原油増産でインフレを緩和するという、ある種の新発想でインフレ抑え込み政策を進める期待感が台頭しました。

 またトランプ氏はメキシコに対して25%の関税をかけるぞと脅すことで、メキシコ政府から国境封鎖に関する同意を取り付けたと自画自賛。

 メキシコ大統領は国境封鎖に同意したというトランプ氏の発表を否定していますが、トランプ流の高額関税を盾にした強引なディール推進も米国株高につながっているようです。

 また11月28日(木)には米国のバイデン現大統領が進める対中国への半導体輸出規制が想定されたよりも厳しい措置にならないという見方が広がり、AI(人工知能)半導体メーカーの主力株・エヌビディア(NVDA)が29日(金)に前日比2.15%上昇しました。

 日本でも中国向け販売比率の高い半導体製造装置の主力株・東京エレクトロン(8035)が28日(木)に前日比6.7%高となるなど持ち直しています。

 ただ先週は1ドル=149円台まで円高が進行したこともあり、外需株よりも内需株が買われる展開でした。

 物言う株主の旧村上ファンドによる株式買い増しの動きや今期2025年3月期通期の業績上方修正と5円増配を発表した京成電鉄(9009)が前週末比17.0%高。

 三菱商事(8058)系列の三菱商事ファッションを完全子会社化すると発表したアパレルのワールド(3612)が13.9%高。

 また三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)による買収報道が伝えられたロボ資産運用のウェルスナビ(7342)が32.6%高、NTTドコモの買収観測が浮上した住信SBIネット銀行(7163)が15.8%高となるなど、メガバンクや携帯キャリアによる新興金融関連企業取り込みの動きは今後も金融株の上昇につながりそうです。

 一方、本業だった繊維事業からの撤退と官民ファンドによる優先株発行による経営再建策が報じられたユニチカ(3103)が株主価値の希薄化懸念から19.2%安。

 欧州市場の規格に適合しない製品の出荷を続けてきたことが発覚した産業用ロボット大手のファナック(6954)が5.5%安となるなど、経営再建策や不祥事で下げる銘柄も目立ちました。

今週:植田日銀総裁発言で円高?年収103万円の壁引き上げによる消費拡大で内需株に投資妙味!

 今週は30日(土)に、植田日銀総裁が日本経済新聞のインタビューで一段の円安はリスクが大きいという認識を示したことが報じられるなど、先週1ドル=149円70銭台まで進んだ円高の加速に注意が必要です。

 今週発表される米国景気・雇用指標が弱含むようだと米国の長期金利が4.1%台からさらに下がって日米金利差が縮小します。

 急速な円高は、ただでさえトランプ関税の悪影響で株価低迷が続く自動車株など日本の外需株にとって試練になります。

 ただ国内では、11月29日(金)開会の臨時国会に少数与党として臨んだ石破茂首相が、国民民主党の主張する「年収103万円の壁」引き上げを2025年度に実施すると所信表明。

 年収103万円の壁引き上げは所得税の減税や主に主婦層の就労意欲を増加させ、国内消費の喚起につながるはず。

 先週は円高が収益増につながる家具メーカーのニトリホールディングス(9843)が6.7%高、「業務スーパー」運営の神戸物産(3038)が5.4%高と上昇しました。こうした円高メリット株を中心に個人消費増で潤う内需株全般には今週も買いが入るかもしれません。

 トランプ関税に対する不安感で売りが目立つ自動車株も、ホンダ(7267)が11月1カ月で前月末比17.1%安となり予想配当利回りが5.2%を超えるなど、さすがに売られ過ぎの面もあります。

 12月6日(金)発表の米国11月雇用統計の非農業部門新規雇用者数は前月比20.0万人増の予想です。

 結果が良過ぎた場合のほうが12月18日(水)の次回FOMCでの追加利下げ見送り懸念が台頭するため、ネガティブかもしれません。

 先週11月28日(木)にはロシアのプーチン大統領がウクライナの意思決定の中枢を新型弾道ミサイルで攻撃する可能性があると警告しています。

 即時停戦を実現すると豪語するトランプ次期米国大統領の就任まで、ロシア・ウクライナ双方が停戦交渉を有利に進めるために戦闘を激化させる流れが続きそうです。

 良くも悪くもトランプ次期米国大統領に対する期待感や次にどんな発言をするかという警戒感が今週も株式市場を席巻する可能性が高いでしょう。

(トウシル編集チーム)

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