配当利回りランキング~全般神経質な展開継続も、高配当利回り銘柄にはNISA資金の先回り買い妙味も
トウシル / 2024年12月4日 7時30分
配当利回りランキング~全般神経質な展開継続も、高配当利回り銘柄にはNISA資金の先回り買い妙味も
アナリスト評価◎の割安高配当株TOP15
※コンセンサスレーティング…アナリストによる5段階投資判断(5:強気、4:やや強気、3:中立、2:やや弱気、1:弱気)の平均スコア。数字が大きいほどアナリストの評価が高い。
※移動平均線乖離(かいり)率…株価が移動平均線(一定期間の終値の平均値を結んだグラフ)からどれだけ離れているかを表した指標。この数値がマイナスならば、移動平均線よりも現在の株価が安いということになる。
上表は、長期投資に適した銘柄の高配当利回りランキングと位置付けられます。
11月29日時点での高配当利回り銘柄において、一定の規模(時価総額1,000億円以上)、ファンダメンタルズ(コンセンサスレーティング3.5以上)、テクニカル(13週移動平均線からの乖離率20%以下)などを楽天証券の「スーパースクリーナー」を使ってスクリーニングしたものとなっています。配当利回りはアナリストコンセンサスを用いています。
なお、上場市場は各社ともにプライム市場となっています。
米大統領選やエヌビディア決算発表通過もボックス圏推移が続く
11月(10月31日終値~11月29日終値まで)の日経平均株価(225種)は2.2%の下落となりました。
10月に続いて、3万8,000~4万円レンジ内でのもみ合い状況となっています。米国時間11月5日に大統領選が行われ、トランプ前大統領が勝利を収めました。直後には、米長期金利の上昇を織り込んで為替市場でドル高・円安が進行、日本株のフォローとなりました。
ただ、4万円台手前では上値が重くなり、月中旬にかけて株価は反落となりました。米中貿易摩擦による世界経済の先行き懸念が高まったほか、長期金利上昇によって米国の利下げペースが鈍化するとの見方も強まる形となったようです。
中旬から下旬にかけては、もみ合いに終始する展開となっています。20日には米エヌビディア(NVDA)が決算を発表、市場の期待通りの好決算となりましたが、その後は出尽くし感なども強まって、国内半導体株のムード好転にはつながりませんでした。また、月末にかけて、日本銀行の追加利上げ観測が強まり、円高が進んだことも逆風となったようです。
こうした中、ランキングTOP15銘柄の株価は総じて売り優勢の展開となっています。値下がりは3銘柄、値上がりは12銘柄となっています。7-9月期の決算発表が本格化したことで、銘柄ごとに大きな株価変動も見られています。
10%以上の大幅下落となったのは、ホンダ(7267)、コスモエネルギーホールディングス(5021)、アステラス製薬(4503)の3銘柄です。ホンダは7-9月期の大幅な下振れ決算が弱材料視されました。円高の進行も月末にかけての一段安につながりました。
コスモエネルギーは中旬にかけての原油相場の下落が影響したほか、7-9月期決算も市場予想を下振れました。アステラスは目の治療薬「アイザーヴェイ」の一部承認変更が米FDA(食品医薬品局)に認められなかったことが売り材料となりました。
一方、大和工業(5444)はトランプ次期政権によるインフラ投資拡大、米国第一主義で恩恵を受ける銘柄としての期待などが高まったようです。
新規ランクインのうち3銘柄は11月に10%超もの株価下落
今回、新規にランクインしたのは、ホンダ(7267)、武田薬品工業(4502)、コスモエネルギーHD(5021)、アステラス製薬(4503)、AREホールディングス(5857)の5銘柄で、除外となったのは、UTグループ(2146)、TOYO TIRE(5105)、SBIホールディングス(8473)、SANKYO(6417)、三ツ星ベルト(5192)となっています。
ホンダ、コスモエネルギーHD、アステラス製薬は前述のとおり、株価が大きく下落したことでランキングが上昇した格好です。武田薬品工業も先月にランク外となりましたが再度返り咲きの格好です。AREHDも月半ばにかけての金相場の下落が嫌気されて株価が下落しています。
半面、UTグループは業績・配当予想の上方修正で株価が大幅下落となり、時価総額水準が基準未達となっています。TOYO TIREはコンセンサスレーティングが基準未達となりました。他の3銘柄は、先月はそろって株価が上昇し、相対的に利回り水準が低下しました。
アナリストコンセンサスが会社計画の配当予想を上回っている銘柄としては、JFEホールディングス(5411)、日本郵船(9101)、ホンダ(7267)などが挙げられます。会社計画ベースでの配当利回りはJFEHDが5.85%、日本郵船が5.42%、ホンダが5.27%となっています。
JFEHDは会社側が配当計画を下方修正しており、会社計画が妥当と判断されます。ホンダや日本郵船も足元の業績動向から見て、同様に会社計画が妥当とみられます。
一方、コンセンサス水準が会社計画を下回っているものはインフロニア・ホールディングス(5076)で、会社計画ベースでは、4.94%となっています。上半期大幅減益決算からは、コンセンサス水準まで配当計画が引き下げられる可能性もありそうです。
12月中旬に開催の日米金融政策決定会合が注目イベントに
2000年以降の日経平均の月別騰落率を見ると、11月のパフォーマンスが最も高く、次いで12月となっています。今年は11月がマイナスパフォーマンスとなっており、年末高に対する期待感は薄れている状況です。トランプ次期政権の政策の行方を見極めたいとするムードが継続する可能性は高そうです。
12月の注目イベントは日米の金融政策決定会合となるでしょう。12月17~18日にかけてはFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。雇用統計の大幅な上振れがない限りは、0.25%の追加利下げ実施が想定されます。
また、18~19日には日銀金融政策決定会合が開催されます。11月の東京都区部CPI(消費者物価指数)の上振れなどで、追加利上げ実施の可能性が高まっているようです。米利下げ、日本利上げの組み合わせとなれば、一時的にドル安円高が進行する余地は広がりそうです。
全体相場は神経質な展開が続きそうですが、相対的に高配当利回り銘柄に関しては、年明け後のNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)資金流入を想定して底堅い動きが期待できるでしょう。短期的に調整が進んでいる高配当利回り銘柄、「地方創生」政策や日銀の「利上げ」で注目度の高まりそうな地方銀行株など妙味と判断します。
(佐藤 勝己)
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