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小型割安株、銘柄選択の切り口:最高益を更新する銘柄に注目(窪田真之)

トウシル / 2024年12月3日 8時0分

小型割安株、銘柄選択の切り口:最高益を更新する銘柄に注目(窪田真之)

小型割安株、銘柄選択の切り口:最高益を更新する銘柄に注目(窪田真之)

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
小型割安株に上昇期待!最高益更新に注目

「割安、内需、小型株」に注目する四つの理由

 今日は、11月28日のレポートの続編です。以下は、11月28日のレポート内容要約です。

 私は、今後、小型割安株のパフォーマンスが良くなると期待しています。

 過去4年以上、配当利回りの高い型株の上昇率が高くて注目されました。その間、割安小型株のパフォーマンスはさえませんでした。

TOPIX100(大型株指数)とTOPIXスモール(小型株指数)の月次推移:2019年末~2024年11月末

TOPIX100(大型株指数)とTOPIXスモール(小型株指数)の月次推移:2019年末~2024年11月末
出所:2019年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 これは、とても珍しいことです。長期的に見ると、小型株の方が大型株よりも上昇率が高いことが多いからです。

TOPIX100とTOPIXスモールの月次推移比較:2000年末~2024年11月末

TOPIX100とTOPIXスモールの月次推移比較:2000年末~2024年11月末
出所:2000年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 今後、割安な内需・小型株のパフォーマンスが良くなると予想しています。それには、四つの理由があります。

【1】経験則:大型優位と小型優位は循環する

 過去4年以上、大型株優位の相場が続いてきました。そろそろ小型株優位の相場になってもおかしくないと思います。

【2】日本も金利上昇局面に入る可能性がある

 金利上昇局面で、小型株が見直される傾向があります。

【3】緩やかな円高が進む可能性

 緩やかな円高局面では、好業績の内需株が見直される傾向があります。小型株には内需株が多く、見直されるきっかけとなる可能性もあります。

【4】東証のガバナンス改革進む

 東京証券取引所が、PBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業に「株主価値改善策の開示と実施」を求めています。PBR1倍割れが多い小型株が見直される可能性があります。

小型割安株、銘柄選択の切り口

 今日は、具体的な銘柄選択の切り口について、書きます。

 以下三つを全て満たす銘柄があれば、投資候補として有望です。

【1】最高益を更新中、あるいは、近い将来更新する見込みがある

 今期(3月決算企業ならば2025年3月期、12月決算企業ならば2024年12月期)に最高益を更新する見込みであることが望ましい。今期最高益でなくても、来期以降、最高益を更新する力があると判断されれば、それでもよい。

【2】PER(株価収益率)などの株価指標で見て、割安である

 一時的利益(特別利益など)を除くベースで、PERが割安であると良い。

「PER何倍以下ならば割安」という数値基準はない。将来の成長期待が高ければ、PER20~30倍でも良いが、成長性が低い割安株の場合はPERは15倍以下が良い。

 PERだけでなく、PBR(株価純資産倍率)や配当利回りも参考にする。

【3】差別化された競争力を有する

 過当競争におちいっている企業は、今、最高益でも、数年後には利益が大きく落ち込むことがある。他社に簡単にマネされない、差別化されたビジネスモデルを有していることが必要。

 上記三つを完璧に満たす銘柄はありません。なんらかの瑕疵(欠点)があるからこそ、PERなどの指標で見て、割安に据え置かれるわけです。

 ただし、上記三つの条件のかなりの部分を満たすのに、株価が割安に据え置かれている銘柄はあります。特に、今のように小型株が全般に割安になっている時には候補銘柄が多くなります。

 流動性が低い、IR(投資家向け情報提供)が不十分などの理由から、株価が不当に割安に据え置かれていると考えられる小型株を発掘するのに、今は良いタイミングと思います。

スクリーニングで選んだ銘柄

 ご参考まで、スクリーニング(指標に基づく銘柄抽出)だけに基づいて、投資候補銘柄をあげると以下の通りです。スクリーニング結果を示しているだけで、必ずしも投資推奨銘柄ではありません。ご注意ください。

 小型株だけでなく、中型株まで対象を広げました。以下三つの条件からスクリーニングしました。

【1】今期、連結純利益が会社予想ベースで最高益となる
【2】今期予想PERが、12倍未満
【3】株式時価総額3,000億円以上、1兆円未満

【スクリーニング結果、最高益更新予想、PER12倍未満の中小型株:時価総額3,000億円以上1兆円未満:時価総額の大きい順に26社】

コード 銘柄名 株価(円) PER(倍) PBR(倍)
7735 SCREEN HD 9,784.00 11.9 2.4
9024 西武HD 3,042.00 9.9 2.1
5334 日本特殊陶業 4,647.00 9.7 1.4
5831 しずおかFG 1,367.00 11.3 0.6
8439 東京センチュリー 1,521.50 9.2 0.7
3289 東急不動産HD 995.8 9.7 0.9
3231 野村不動産HD 3,745.00 9.2 0.9
5406 神戸製鋼所 1,557.50 5.1 0.6
9001 東武鉄道 2,572.00 10.5 1
5101 横浜ゴム 3,047.00 6.1 0.5
9008 京王電鉄 3,916.00 11.6 1.2
5830 いよぎんHD 1,592.00 9.5 0.6
8334 群馬銀行 1,112.50 10.6 0.7
5233 太平洋セメント 3,818.00 7.8 0.7
8088 岩谷産業 1,863.00 7.9 1.1
4088 エア・ウォーター 1,861.00 8.5 0.9
5991 ニッパツ 1,740.00 8.3 0.9
8233 高島屋 1,218.00 10.1 0.8
8418 山口FG 1,641.00 10.6 0.5
9987 スズケン 4,699.00 10.3 0.8
7337 ひろぎんHD 1,163.00 10 0.7
8012 長瀬産業 3,083.00 11.9 0.8
8341 七十七銀行 4,525.00 9.5 0.6
5076 インフロニア・HD 1,207.50 7.7 0.6
4516 日本新薬 4,345.00 9.7 1.2
7189 西日本FHD 2,047.00 10.6 0.5
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 繰り返しになりますが、上記はあくまでもスクリーニング結果であって、推奨銘柄ではありません。

 スクリーニングで対象から外した範囲にも、有望銘柄はたくさんあります。時価総額3,000億円以下、PER12~15倍など、範囲を広げて、今後、さまざまな中小型割安株を紹介していきたいと考えています。

日本には、「技術一流、利益三流」の小型株がたくさんある

 日本企業は、技術が一流でも、利益をほとんど稼がない企業がたくさんあります。例えば、電子材料で差別化された技術を持ち世界シェアが極めて高いにもかかわらず、安値で買いたたかれてあまり利益の出ない会社があります。

 たまに品不足になって、価格を上げるチャンスが来ると、欧米の経営者ならば価格を釣り上げて稼げるだけ稼ぎまくるのに、日本の経営者はそれが苦手です。「供給責任を果たさなければならない」と言って、即座に増産して、自ら価格を下げてしまいます。

 そのような、「技術一流、利益三流」は、いつまでも割安株のまま放置されることがあります。そういう企業も含めて、いつか分からないが、いつか評価されるビジネスを持つ企業を、割安な株価で仕込んで長期投資していくのも良いと、私は思っています。

 最後に「株トレ」新刊出版のお知らせです。ダイヤモンド社より8月に、以下、私の新刊が出版されました。

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 一問一答形式で、決算書の読み方など、株式投資のファンダメンタルズ分析を学ぶ内容です。

▼著者おすすめのバックナンバー

2024年11月28日:「割安・内需・小型株」に注目する四つの理由(窪田真之)

(窪田 真之)

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