「指値」「成行」注文の賢い使い方。ETF・株式投資デビューを考える方必見!(窪田真之)
トウシル / 2024年12月5日 8時0分
「指値」「成行」注文の賢い使い方。ETF・株式投資デビューを考える方必見!(窪田真之)
毎日のレポートでお伝えしている通り、日本株は長期投資で良い買い場と考えています。ただし、短期的には下がるリスクもあります。時間分散しながら、割安な日本株に投資していくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。
さて、投資デビューですが、日経平均株価インデックスファンドやS&P500種指数(米国株)インデックスファンドなど、投資信託から始めるのが良いと思います。少し慣れてきたら、個別株投資やETF(上場投資信託)の売買にもチャレンジしたら良いと思います。
今日は個別株やETFを買う時に必要な、売買注文の出し方について解説します。
「指値(さしね)注文」の意味を復習
株式を売買するときの注文の出し方は、いろいろあります。もっともよく使われるのが、指値注文と成行(なりゆき)注文です。この二つの注文方法を、しっかり理解して、適切に使い分けられるようにすることが、大切です。
それでは、具体例を見てみましょう。取引時間中、801円の株価がついている以下のA社株に対し、以下のような指値注文が入っているとします。
<A社株の取引時間中の板(いた)情報>
板(いた)情報とは、売買注文がどう入っているか示すものです。上記、A社では、801円で9,200株、802円で1万2,500株、803円で1万3,200株の売り指値注文が入っています。また、799円で2,300株、798円で5,200株、797円で8,400株の買い指値注文が入っています。
買い注文の入れ方:五つの戦略
◆買い注文の入れ方【1】下値に買い指値を入れる
上記の板状況でA社株を買おうとするとき、「797円で100株の買い」のように、現値よりも下に、買い指値を入れることもできます。ただし、その場合は、株価が797円まで下がらないと、買えません。株価が797円まで下がっても、すぐに買えるわけではありません。
先に入っている買い指値注文8,400株が全て約定(やくじょう)した後、さらに797円で売り注文が入れば、その時、797円で買えます。
もっと早く買いたいときは、どうしたら良いでしょう?
<A社株の板情報と、買い指値の入れ方>
◆買い注文の入れ方【2】先頭に買い指値を入れる
「800円で100株の買い」というように、今、見えている買い指値よりも上に買い指値を入れることもできます。こうすれば、800円以下の売り注文が入ったときに、最初に約定します。ただし、800円以下で売る注文が入らないと、買うことはできません。
すぐに買いたい場合は、どうしたら良いでしょう?
◆買い注文の入れ方【3】売り指値のあるところに買い指値する
「801円で100株の買い」というように、今、売り指値が入っているところに、買い指値することもできます。場にある指値注文が変わらなければ、801円で100株買えます。
ただし、一瞬先に、801円以上で9,200株以上買い注文が入ってしまうと、801円の売り指値はなくなりますので、買うことはできません。その場合は、801円で100株の買い指値注文として、場に残ります。
より確実にすぐ買いたい場合は、どうしたら良いでしょう?
◆買い注文の入れ方【4】上値に買い指値を入れる
「803円で100株の買い」というように、上値に指値を入れることもできます。場にある指値注文が変わらなければ、801円で100株買えます。
「803円で買い指値したら、803円で買えてしまう」と勘違いしている人もいます。803円の買い指値注文とは、正確に言うと、「803円以下の最も有利な価格で買う」注文です。801円に売り指値があれば、801円で買えます。801円に買い指値するのと、結果は同じです。
それでは、801円ではなく、あえて、803円に買い指値する意味は何でしょう? それは、一瞬先に、801円や802円の売り指値を買われてしまったときでも、803円で買うことができるということです。
価格を指定しないで確実に買うには、どうしたら良いでしょう? その場合は、指値ではなく、成行で買い注文を入れます。
◆買い注文の入れ方【5】成行で買い注文を入れる
確実に100株買いたければ、指値ではなく、成行の買い注文を入れるべきです。成行で買いを出せば、その時点で場に出ている指値売り注文のうち、一番安いものにヒットし、即座に買いが成立します。上記のA社で、板が変わらなければ、801円で100株買えます。
成行ならばほぼ確実に買うことができますが、まれに、成行買いが一時に大量に入り過ぎて、約定しないまま終わることもあります。
トンでもない高値の買いを避けるには、成行でなく、上値に指値した方が良い
今日中に、必ず買いたい銘柄には、成行で買いを入れるのが普通ですが、成行注文には、欠点もあります。高速取引が普及している今日、一瞬先に大量の成行買いが入って、板に出ている安値の売り物が全部取られてしまうこともあります。そうなると、一瞬後に入ったあなたの成行買い注文は、とんでもない高値で約定することになります。
以下のような板のときは、要注意です。
<B社株の取引時間中の板情報>
798円に1万2,600株もの買い注文が入っています。一方、売り指値は少ししか入っていません。下値の買い注文の一部が成行に変わると、見えている売り指値は全て取られて、あっという間に、株価が急騰することもあります。
804円までならば買いたいが、それ以上、高値では買いたくないならば、成行ではなく、804円の指値で買いを入れるべきです。
運よく、板が変わらなければ、801円で買えます。801円の売り物が先に取られても、804円の売りが残っていれば、804円で買えます。
売り注文の入れ方:五つの戦略
考え方は、買い注文の入れ方と同じです。以下の5通りを、うまく使い分けましょう。
◆売り注文の入れ方【1】上値に売り指値を入れる
◆売り注文の入れ方【2】先頭に売り指値を入れる
◆売り注文の入れ方【3】買い指値のあるところに売り指値する
◆売り注文の入れ方【4】下値に売り指値を入れる
◆売り注文の入れ方【5】成行で売り注文を入れる
最後に一つ注釈です。
今日は、全てザラバ取引(取引所が開いている時間中の取引)を前提に、株価の決まり方を解説しました。取引所の寄付(開始時)の初値や、大引け(終了時)の終値の決まり方は「板寄せ方式」という、やや異なる価格決定方式となります。「指値」「成行」注文の使い方は、変わりません。
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(窪田 真之)
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