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PERの高い株・低い株、どちらを買うべき?PER何倍なら割安?

トウシル / 2024年12月14日 22時1分

PERの高い株・低い株、どちらを買うべき?PER何倍なら割安?

PERの高い株・低い株、どちらを買うべき?PER何倍なら割安?

「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第59回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

今日のクイズ

 株式投資をするとき、投資する銘柄のPER(ピーイーアール:株価収益率)を見ていますか? PER10倍だから株価は割安とか、PER40倍だから割高といった話を聞いたことがありますか?

 今日は、株価の割安割高を測る上で、もっとも重要な指標である、PERについて学びます。まずはクイズです。

<クイズ>以下に、PERの計算式が出ています。【A】および【B】に入れる正しい言葉を、それぞれ【1】【2】のいずれかから選んでください。

 個別銘柄のPERは以下の式から計算されます。
 PER=【株価】÷【A】

 PERは以下の式でも計算できます。
 PER=【株式時価総額】÷【B】

 【A】および【B】に入れる言葉を、以下【1】【2】から選んでください。

【1】当期純利益(今期予想)
【2】1株当たり利益(今期予想)

用語の説明

 クイズを解いていただくに当たり、会計用語が分からない方のために、以下説明します。

◆当期純利益とは?

 当期純利益とは、1年間の事業活動の最終的な成果を示す利益です。「純利益」ということもあります。売上収益から、売上原価、販売管理費、支払利息、税金など全てのコストを差し引き、最終的に残る利益なので、「最終利益」と呼ぶこともあります。持分法損益・特別損益なども加えた最終利益です。

 当期純利益は、損益計算書に計上され、企業の経営成績を表す重要指標です。損益計算書の一番下に出ているので、英語で「ボトムライン」とも言います。これに対して、損益計算書の一番上に出ている売上収益は「トップライン」とも言います。

◆1株当たり利益とは?

 当期純利益を、発行済み株式総数で割ったものが、1株当たり利益です。

 例えば、当期純利益が200億円で、発行済み株式総数が1億株ならば、1株当たり利益は200円(200億円÷1億株)となります。

◆当期純利益(今期予想)とは、どういう意味か?

 クイズでは、当期純利益(今期予想)と書いてあります。3月期決算企業でいうと、今期予想とは、2025年3月期の予想ということです。日本の上場企業は、原則、今期の業績予想を開示する義務があります。PERを計算する時、企業が開示している、当期純利益の今期予想値を使うことが多いです。アナリストの予想平均を使う場合もあります。

◆1株当たり利益(今期予想)とは、どういう意味か?

 当期純利益(今期予想)を、発行済み株式総数で割ったものが、1株当たり利益です。

 例えば、2025年3月期の当期純利益(会社予想)が200億円で、発行済み株式総数が1億株ならば、1株当たり利益(今期予想)は200円(200億円÷1億株)となります。

正解は…

 正解は【A】=【2】、【B】=【1】です。

PER=【株価】÷【1株当たり利益】
PER=【株式時価総額】÷【当期純利益】
どちらで計算しても、同じ値が出ます。

【株式時価総額】=【株価】×【発行済み株式総数】
【当期純利益】=【1株当たり利益】×【発行済み株式総数】
なので、どちらで計算しても同じです。

 PERは、株価が割安であるか割高であるかを測る指標として使われています。日本だけでなく、世界中の投資家が見ている重要指標です。

 一般的には「PERが高ければ割高、低ければ割安」ですが、実際にはそう単純ではありません。

「何年で元が取れるか」という考え方から、PER評価が出てきた

「PER10倍は、PER20倍より割安」といっても、どういう意味か少し分かりにくいですね。そこが分かるように説明します。

 PER10倍は、「もし毎年同じ純利益が得られるならば、10年で元が取れる」という意味です。株式時価総額が5,000億円で、当期純利益が500億円ならば、PERは10倍です。毎年500億円の純利益を10年間上げ続ければ、10年で5,000億円の利益が得られます。つまり、会社をまるごと買うのに必要な投資元本(5,000億円)を、10年間の純利益によって回収できるわけです。

 同様に、PER20倍は、「同じ利益を上げ続ければ、20年で元本を回収」という意味です。PER40倍は、「同じ利益を上げ続ければ、40年で元本を回収」という意味です。

 他の条件が同じならば、PER10倍が一番割安で、20倍が次に割安で、40倍が一番割高となります。

PERだけを見て、割安・割高と判断することはできない

 PERだけを見て、割安・割高と判断するのは適切ではありません。PERの問題をよく理解した上で見る必要があります。

 それを説明するために、まず、個別銘柄のPERを具体例に見てみましょう。

<PERの低い銘柄群:2024年12月10日時点>

出所:PERは、2024年12月10日の株価を、今期会社予想1株当たり利益で割って計算。今期とはINPEXだけ2024年12月期、他は2025年3月期

<PERの高い銘柄群:2024年12月10日時点>

出所:PERは、2024年12月10日の株価を、今期会社予想1株当たり利益で割って計算。今期とはファーストリテイリングは2025年8月期、MonotaRO・中外製薬は2024年12月期、他は2025年3月期

 上の表を見ると分かりますが、PERは銘柄ごとにかなり開きがあります。日本郵船(9101)のPERは5.7倍です。東証プライム市場の平均PER(加重平均)が、15.6倍であることを考えると、PERで見て、株価は割安とみえます。

 一方、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(4661)のPERは46.5倍です。東証プライムの平均と比較して、割高にみえます。

 ただし、PERを単純に比較して、割安割高を判断するのには問題があります。PERはあくまでも、今期予想利益に対して、株価が何倍まで買われているかを示しているだけだからです。

今期と同じ利益が、今後ずっと得られるわけではない

 今期と同じ利益がこれから毎年ずっと得られるならば、PERだけで割安割高を判断しても問題ありません。ただし、現実には、今期と同じ利益が将来も続くわけではありません。将来の利益がどうなるか、増えていくのか減ってしまうのか? そのイメージによって、今期PERで高い水準まで株価が買われるか、低い水準に放置されるかが決まります。

 PERの低い銘柄群には、一般的に以下の特色があります。

  1. 利益の成長性が低いと考えられている銘柄
  2. 利益が不安定と思われている銘柄(景気敏感株など。景気が悪化すると業績が大幅に悪化する)
  3. 特別利益(株や土地などの売却益など)によって、一時的に利益水準が高くなっている銘柄

 一方、PERの高い銘柄群には、一般的に以下の特色があります。

  1. 利益の成長性が高いと考えられている銘柄
  2. 利益が安定的と思われている銘柄(ディフェンシブ株。景気悪化の影響が小さい)
  3. 特別損失(不採算事業からの撤退損など)によって、一時的に利益水準が低くなっている銘柄

PER何倍なら割安?低PER割安株・高PER成長株に分散投資を

 さて、PER何倍だったら、株価は割安といえるのでしょうか? 一般的には、東証プライムの平均PER15.6倍より、低ければ割安、高ければ割高といえます。

 ただし、そういう画一的な見方には問題があります。利益の成長性や安定性が考慮されていないからです。

「PER何倍なら割安」という問いへの私の答えは、以下の通りです。

  • PERだけでは、割安割高の判断はできない
  • 利益の成長性・安定性を総合的に考慮した上で、割安割高を判断すべき
  • 利益の成長性や安定性を考慮すると、PER10倍でも割高、PER40倍でも割安な銘柄もある

 PERが低いということは、株式市場の評価が低いことを意味します。ただし、中には、不当に低い評価を受けている銘柄もあります。私は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)INPEX(1605)三菱商事(8058)ホンダ(7267)などは、割安株として「買い」と判断しています。

 一方、PERの高い銘柄でも、成長性の高い銘柄は「買い」となります。PERの低い割安株、PERの高い成長株は、両方とも持っていた方が良いと思います。割安株ばかり、成長株ばかりに投資している人は、割安株・成長株への分散投資を考えた方が良いと思います。

テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく学びたい方へ

 私の「株トレ」新刊が、8月にダイヤモンド社から出版されました。お知らせします。

2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの 株トレ ファンダメンタルズ編

 一問一答形式で、株式投資のファンダメンタルズ分析を学ぶ内容です。

 2021年12月出版の前作で、テクニカル分析を学ぶ「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ」の続編です。

(窪田 真之)

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