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日経平均を動かす外国人投機筋の動きが丸分かり、裁定買い残の変化を読む(窪田真之)

トウシル / 2024年12月12日 8時0分

日経平均を動かす外国人投機筋の動きが丸分かり、裁定買い残の変化を読む(窪田真之)

日経平均を動かす外国人投機筋の動きが丸分かり、裁定買い残の変化を読む(窪田真之)

日本株の動きを支配する外国人投資家

 本欄で繰り返しお伝えしている通り、日本株を動かしているのは外国人投資家です。外国人が買い越す月は日経平均株価が上昇し、外国人が売り越す月は日経平均が下落する傾向が30年以上、続いています。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2023年1月4日~2024年12月11日(外国人売買動向は2024年11月29日まで)

出所:東京証券取引所データ、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 2023年の日経平均は、年初から外国人の買いで上昇しました。特に4~6月は外国人買いが多く、日経平均の上昇率が高くなりました。ただし、外国人が売り越した3月や8~9月は日経平均が下がっています。

 2024年も、年初は外国人の買いで大きく上昇しました。外国人売買で激しく乱高下したのが7~8月です。7月11日には外国人の大量買いで日経平均が4万2,224円まで上昇しました。ところが、その直後から外国人の大量売りで日経平均は急落し、8月5日には3万1,458円まで急落しました。

 9月は珍しく、外国人が売り越す中で、日経平均が急反発しました。年金基金の買いや、日本企業の自社株買いが上昇要因となりました。

「令和のブラックマンデー」は外国人の先物売りが原因

 短期的な日経平均の急騰急落は、外国人投機筋による株価指数先物(日経平均先物・TOPIX(東証株価指数)先物など)売買によって引き起こされることが多いです。

 それをまざまざと見せつけたのが、「令和のブラックマンデー」とも言われた8月5日の急落(日経平均が4,451円安、過去最大の下落幅)です。その翌日、8月6日には急反発(日経平均が3,217円高、過去最大の上昇幅)となりました。

 以下の通り、外国人の先物売買が、急落・急騰を引き起こしています。

日経平均と、外国人投資家の日本株売買動向(売り越し・買い越し):2024年6月24日~2024年8月30日

出所:東証データ・QUICKより楽天証券経済研究所が作成。外国人売買は、株式現物と株価指数先物の合計

日経平均騰落幅と外国人売買(買い越し・売り越し):2024年6月24日~8月30日

出所:東証データ・QUICKより楽天証券経済研究所が作成。外国人売買は、株式現物と株価指数先物の合計、億円未満概数のため合計が一致しないことがある

投機筋の動きをくっきりと映す「裁定買い残高」の変化

 投機筋(主に外国人)の動きをくっきりと映しているデータがあります。それが、東証が発表している「裁定買い残高」の変化です。「裁定売り残高」にも表れますが、説明が複雑になり過ぎるので、今日は「裁定買い残高」だけ説明します。詳しい説明は割愛して結論だけ述べます。

 東京証券取引所が発表している「裁定買い残」の変化に、投機筋(主に外国人)の日経平均先物「買い建て」の変化が表れます。外国人の先物買い建てが増えると裁定買い残が増え、買い建てが減ると裁定買い残が減ります。

 2021年7月以降の日経平均と裁定買い残高の動きは、以下の通りです。

日経平均と裁定売り残・買い残の推移:2021年7月4日~2024年12月11日(裁定買い残高は12月6日まで)

出所:QUICK・東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成

 日経平均の上昇下落に合わせて、裁定買い残高が増加減少していることが分かります。相場が大きく動く時は、以下【1】【2】のどちらかが起こっていることが多いことが分かります。

【1】外国人の日経平均先物買いの増加→裁定買い残の増加→日経平均上昇
【2】外国人の日経平均先物売りの増加→裁定買い残の減少→日経平均下落

 2021年7月~2023年12月までは、裁定買い残高が1.5兆円(紫の線をひいたところ)に近づくと、減少に転じることが多かったことが分かります。つまり、裁定買い残高が1.5兆円まで増加したら、日経平均反落を警戒した方が良かったことになります。

 2024年に入ってから、裁定買い残はさらに大きく増加しました。一時、2.7兆円まで増えました。投機的な先物買い建てが増えている時は注意が必要です。足元は、1.7兆円まで減っています。

 裁定買い残高がいくらになったら反落に向かうという、特定の警戒水準はありません。過去には、買い残が3.5兆円まで増加してから反落に向かうことを繰り返したこともあります。その時々で、どこがピークとなるか異なります。

 少し説明が難しくて分からなかったかもしれません。結論だけ理解してください。結論は、「日経平均の短期的な値動きは、投機筋、主に外国人の日経平均先物売買が先導している」ということ、そしてその動きが、「裁定買い残高」の変化に表れる、ということです。

2024年12月6日の裁定残高の意味

 12月6日時点で、裁定買い残は1兆7,107億円です。直近のピークより1兆円くらい減っています。現在の水準が高すぎるとも、低すぎるとも言えません。裁定買い残高がいくらになったらピークアウトするか、あるいは底入れするか、その時々の投資環境によって異なります。

 これだけで、短期的な日経平均が予想できるわけではありません。先行きを予想するためには、ファンダメンタルズ(景気・企業業績)の変化と、投機筋の動きを両方見ていく必要があります。

(窪田 真之)

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