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円高?円安?日米政策金利の変更ペースが焦点

トウシル / 2024年12月18日 16時37分

円高?円安?日米政策金利の変更ペースが焦点

円高?円安?日米政策金利の変更ペースが焦点

日米金融政策は見方が固まりつつあり、ドル安は限定的な動きになると予想

 先週の月曜日(9日)には1ドル=149円台後半だったドル/円は、一連の日本銀行利上げ見送り報道によって12月利上げ観測が一気に後退し、1ドル=154円台に乗せました。

 一方で、米国の12月利下げ観測は、米国11月CPI(消費者物価指数)、PPIを無難に乗り越え、97%の確率まで市場の期待は高まりました。この結果、今週開催の日米金融政策はFRB(米連邦準備制度理事会)利下げ(17~18日)、日銀利上げ見送り(18~19日)との見方が大勢になっています。

 12月はFRB利下げ、日銀利上げ見送り、来年1月はFRB利下げ見送り、日銀利上げとの見方が多いようです。FRBの12月利下げ、日銀の利上げ見送りはほぼ織り込まれているため、利下げとなってもドル安は限定的な動きになることが予想されます。

 市場の焦点は来年の日米の政策ペースに移っているため、FOMC(米連邦公開市場委員会)の金利見通しによってはドル高優勢になるかもしれません。また、日銀については1月利上げの可能性が焦点になりそうです。

 実際に1月利上げとなれば、円高に進むことが予想されますが、12月会合での1月利上げ慎重姿勢、1月会合での利上げ見送り、先行きも慎重姿勢となれば円安が加速する可能性もあるため注意する必要がありそうです。

サプライズはあるか?

 サプライズが起こるとすれば、FRBのパウエル議長が「利下げを急ぐ必要はない」と発言していることから、『12月利下げ見送り』、日銀は『利上げ』となります。さすがの植田和男総裁も学習効果によって、市場の大混乱を引き起こす12月サプライズ(利上げ)は起こさないだろうと思われますが、果たして市場予想通りになるのかどうか注目です。

 FRBの利下げペースが鈍化するとの見方は市場で一致していますが、この鈍化ペースがどの程度であるのかが注目されています。9月の見通しでは2025年は2024年末から1%の利下げ見通しとなっています(4.4→3.4%)。0.25%刻みで年4回利下げとなりますが、このペースが年3回なのか、2回なのかが焦点となっています。

 加えて、2026年の利下げペースがどうなるのかも注目です。9月見通しでは、2026年は年2回の利下げとなっていますが(3.4→2.9%)、このペースが変わらず2回なのか、1回、あるいはゼロになるのか注目です。

 合わせて2025年、2026年の合計の利下げ回数6回がどの程度減るのかにも注目です。その結果として、長期金利見通しが9月見通しの2.9%から引き上げられた場合、ドル高要因となるため注意する必要があります。

 このようにFRBが12月に利下げをしても、来年以降の利下げペースが緩やかになる見通しとなり、パウエル議長の記者会見での発言がしばらく様子見を匂わせるような慎重姿勢になれば、利下げによるドル売りよりも、利下げペースの鈍化が明らかになることによるドル買いの方が勝ることも予想されます。

 日銀の12月利上げ見送り報道が相次いだことから、ドル/円は円安地合いに変わりました。それまでは、11月末の日本経済新聞のインタビュー記事で、追加利上げの時期について「データがオントラック(想定通り)に推移しているという意味では近づいているといえる」と植田総裁が述べたことから、12月の利上げ期待が高まっていただけにその反動も大きいものでした。

 しかし、1ドル=153円台、154円台の円安スピードは緩やかになっており、理由としては、12月は見送られても1月の利上げ期待が維持されていることがあるようです。もし、1月に利上げがあることを前提とした動きだとすると、日銀会合後の記者会見でその期待をそぐような、あまりにも慎重な姿勢が伝わった場合には円安に動く可能性もあるため注意が必要です。

 例えば、今後の賃上げの動向も見極めたいと強調し過ぎると、市場は正常化への道はさらに遠のくと思わざるを得ず、円安が進む可能性が高まります。

トランプ2.0の動きを見極めるまでは相場シナリオの想定には時間がかかりそう

 また、12月利上げ見送りの理由として、米経済動向とともにトランプ次期政権の関税引き上げリスクを挙げた場合、このリスクは不確実性が高いことから予見が難しいため、大統領就任(1月20日)直後の1月(23~24日)の日銀会合も慎重姿勢が続くのではないか、その影響を見極めるまではさらに数カ月かかるのではないかと市場が捉える可能性があります。

 そして、あまりにも慎重姿勢を続けていると、「日本は日銀が金融緩和で円安誘導している。だから関税引き上げ」のような展開になることも、日銀が考慮すべきリスクになるかもしれません。1ドル=154円台は、4月に34年振りの円安を更新して154円台に乗せた時に、トランプ氏が「米国の製造業にとって大惨事だ」と発言した水準です。

 今回の日米中銀イベントで注意したいのは、クリスマス、年末休暇を控えていることから、金融イベントに絡む円売りは短期取引の可能性も考えられるという点です。

 今年の夏場以降にみられたように、円キャリートレードの膨張→ポジションの巻き戻し、トランプ氏優勢によるトランプトレード台頭→ポジションの巻き戻し→「日銀利上げ見送り」トレードと、ドル/円相場は短期的ポジションに振り回されているだけかもしれません。

 そうだとすると、トランプ大統領就任までは来年に向けての長期的なポジションメイクもしづらいことが予想されるため、金融イベント終了後のポジション調整が終わると、閑散相場になるかもしれません。

 来年はトランプ第2次政権の誕生によって、経済、通商政策だけでなく、地政学リスクにも影響を及ぼすことが予想され不確実性が高まることから、トランプ2.0の動きを見極めるまでは相場シナリオの想定には時間がかかりそうです。

 おそらく、日米金融当局の見通しも、不確実要因を織り込んでいない見通しになっていると予想されるため、その点には十分留意する必要がありそうです。

 FRBの利下げ方向、日銀の利上げ方向が変わらなければ、円安の動きは抑制的になると思われますが、政策変更のペースが鈍ければ、ドル安・円高にも行きづらい相場となりそうです。来年はこのペースを見極めることが最重要となるでしょう。

(ハッサク)

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